J1YAMAZAKI NABISCO CUP G-A 読売戦
『白昼の油断』
流れを変えるプレーがある。結果論ではなく、その瞬間にわかるときがある。いま、ここでくい止めないと、このプレーが命取りになる。それはミスの場合が多い。この日のプレーにおいては流れを変えたのはエムボマの投入ではない。
暑さにシビレを切らした集中力の欠如、と言って良いのだろうか。
右サイドのタッチライン際に浮き球が流れる。ワンバウンドさせずにヘディングでボールを止めることができるタイミングだ。だが、追うのを止め見送る。ワンバウンドのボールはタッチの内側。難なく触ることができたはずのボールだった。跳ねてボールは外へ出る。覇気なくボールを見送ったのは阿部祐太朗。いまだに超高校級のスキルを持つ。技術的には問題はないしガッチリとした体格にも恵まれているU-20日本代表のプレーヤーだ。
だが、あのボールを追わなくてよい理由はない。読売の選手は気が付いただろう。「油断している。疲れている。今がチャンスだ。」と。ボールをタッチに出してしまったら、ミスを挽回するために次のスローインを奪いに行くがよい。少なくとも早めにプレッシャーをかける必要がある。だが、阿部には、その素振りがなかった。
「まずいぞ!流れが変わる。しっかり守らないと。」
読売はノープレッシャーで、この日初めて、少ないタッチでの小気味よいテンポの繋ぎを見せ、右サイドを突破。残念だったのは、ここで誰も決死の覚悟を持って流れの変わることを防ごうとする選手がいなかったことだ。簡単にコーナーキックを許しゴールを奪われる。流れが変わるだけでなく、失点までしてしまった。
さらにはエムボマに振り向き直後のロングシュートを撃ち込まれる。これは撃たれたら仕方ない。誰も止められるボールではない。直後のドゥトラのフリーキックが決まり一点差に追いつめる。ここで、微かに阿部が働く。しかし、ほんの僅かな隙を突かれた失点の痛手は大きく、終盤の猛攻は実らなかった。猛攻といっても、トリコロールのディフェンスラインにエムボマがいる以上、栗原や松田が総攻撃で読売ゴール前
に張るわけにも行かず、上野の頭にロングボールを合わせるという苦肉の策ではあったが。
ナビスコカップとはいえ、ライバルとの対戦は楽しみだ。
試合前に読売の選手が出てくる。
「アツ亭潰れたな!」
横浜にあった三浦アツの兄が経営する焼き肉屋は閉店していた。アツがトリコロールの選手だったときに、仲間みんなで食べに行って、アツ本人を囲んで楽しい時を過ごしたのは、もう何年も前のことだ。手のひらを返すような野次。
「潰れたって事は、肉は和牛じゃなかったてことか!」
メンバーを見る。
「なんでいないんだよ。」
「ジーコジャパンだよ。」
「げ、あいつ代表だったのか。忘れてた。」
「で、何で2番はいるんだよ。」
「2番って山田かぁ。」
「そりゃぁジーコジャパンに選ばれなかったってことは『良い選手』ってことだよ。」
コントラストがクッキリと効いたフィールドで試合が始まる。
「14時キックオフで快晴の三ツ沢といえば・・・。」
「あいつが足りないなぁ。」
あの日も、ちょうど、こんな暑さだった。5月だったな。
試合開始早々に榎本の前に転がったボールを、榎本の直前で松田がかっさらう。どよめくスタンド。松田の気合いの現れだろうか。その後、何度か、榎本が脚で処理するボールは、松田経由でフィールドプレーヤーに戻る。
「榎本・・・あっ、松田に渡した。」
「やっぱり。」
松田はリーグ戦の2試合出場停止があり、このナビスコカップでは万全結果を残しておきたいだろう。ナビスコカップといえば、期待は山崎。ナビスコをもじったゲートフラッグや山崎の応援フラッグが目立つ。そういえば、ゲートフラッグもかなりの量だ。「The WHOだ!」「ナビスコのマークだ!」と新顔のゲーフラも発見。
もう一人の期待はハユマだった。読売に所属時代の思い切ったドリブル突破が見たい。ユキヒコが好調なだけに、今の停滞がもどかしい。
「なんで立ち止まっちゃうんだろう。」
キレが悪い。ディフェンダーと相対峙すると、必ず立ち止まってしまう。みな、スピードに乗ったアタックを期待しているのに。読売のゴール裏はハユマの魅力を知っている。だから、選手紹介でも、ボールを持ったときでもブーイングしてくれる。まぁ、これにはトリコロールを応援する者として、応戦しておかなかればならないな。
「お前ら、『借りたモノはちゃんと返す』って子供のときに教わらなかったのか!?」
それでも、突然、綺麗なクロスや意外性のあるパスを魅せてくれた。もう一息だ。
双方ともに守備が堅くフォワードの選手に思い切りがない。阿部も平本も同じだ。だから試合は盛り上がりを欠く。暑さで運動量もセーブ気味。特に印象に残るプレーといえば、中西がボールを奪って素早く相手の急所にパスを送り込みハユマが高木の位置を確かめて冷静にかつ思い切りよくシュートを放った場面くらいだ。今日の中西のプレーは冴えている。特に、簡単にボールを、相手の嫌がるスペースへ送り込み混乱を呼ぶ。余計な動作は省いて、ついに本領を発揮したか、という感じ。チャンピオンズリーグに敗退し、試合数が減った今、ポジヨン争いは、ますます熾烈だ。
読売の攻撃は迫力がなく、いつ得点が獲れるかが待ち遠しい。
たまには、前半から先制、追加点を加えて逃げきりという試合を見せてくれる期待を抱きながら、止まることなく時間は進む。左からのドリブルも、難なく体を張ってはじき飛ばす。読売の選手はファールを主張するが、そんなことはない。逆にトリコロールはシミュレーションをアピールする。
「倒れたの誰?」
「(偽)相馬かな。」
「なんなのシミュレーションじゃねぇよ。単に足腰が弱いだけじゃん。」
「 シミュレーションっていうのは一流選手がやるんだよ。(偽)相馬なんて弱いモノいじめするなよ。」
「だいたい(偽)相馬って言ったって、本物の相馬がたいしたことねぇじゃねぇか。」
来場予想よりも2000人以上多く9000人強の観客。自由席は、ほぼ満席。
前半を終えハーフタイム。いつもであれば、まっさきに混乱する三ツ沢のトイレの列が伸びない。みな、我先に、売店での水分補給を優先したようだ。
後半開始早々の猛攻にスタンドは灼熱の盛り上がり。心沸き立つ連続攻撃が始まる。ドゥトラのシュート、那須のヘッド、上野のエレガントなクロス。セットプレーも流れの攻めも、いつゴールラインを割っても良い心の準備をトリコロールのゴール裏に警告する。 松田も栗原も前へ強いディフェンスでボールを読売に渡さず、一方的に攻める。連戦の疲れが限界を越えたのか、ドゥトラは、すっかり絶好調になっている。阿部がシュートを撃たずパスを選択し「シュート撃てフォワードだろ!!柳沢じゃねぇんだぞ!!」とスタンドから怒鳴られるシーンもあったが、実に美しい攻撃を繰り返す。
ここで阿部に得点させなければならない。
岡田監督は阿部を開花させたいに違いない。だから阿部を連続して起用しているのだ。ならば、阿部にゴールさせるしかないだろう。消極的なプレーで、何度かチャンスを逸している。スムーズな流れも断っている。ヘッドのほとんどは競り負け。ポストプレーでは半身の体勢からワンタッチで斜め前に送る好プレーを一つ見せたが、全体には前進む推進力を失う流れに乗れないプレーが多い。良いとこナシだ。それでも、今、センターフォワードのポジションにいるのは阿部なのだから。
ペナルティエリアで団子状態になる。ボールを持った阿部が囲まれる。
「負けるな!!」
「ガンバレ!!」
「こんなんじゃ岡田さんは笛を吹かないぞ!!」
踏ん張ってボールをなんとか渡すまいとするトリコロールのユニフォームが、緑と白の読売に囲まれている。奪われかけても奪い返す。
「そうだ!ガンバレ!!」
声援に後押しされてか、読売を蹴散らし抜け出してドリブルして体勢を立て直すトリコロールのユニフォームは、あれれドゥトラだった。
「ありゃ、いつの間にか入れ替わってる。」
「阿部は?」
「あっちにいる。」
「頼むよ阿部。何とかしてくれよ。」
期待を一身に受けて7番が登場。
結果を残すと期待が変わる。今日も、ユキヒコ登場に、大音量の声援が沸き起こる。
「頼むぞ!!」
「決めてくれ!!」
そして、ここ数試合、必ず一度は見せている、一直線にスピードにのって相手を抜き去るプレー。今日も見せる。
「よし行け!!」
「上げろ!!」
「クロース!!」
見事にコントロールされたクロスがゴール前を横切る。
「あ〜。」
「阿部はぁ?」
「ず〜っと後ろ。」
枚数が足りない。坂田も懸命に動くが一枚では得点できない。
読売は防戦一方だ。
なんとか押し切って同点に追いつかなければならない。放り込みも多くなる。阿部が競り合う。ルーズボールが落ちる。それを拾って阿部の前のスペースに浮き球で送り込む。
「よし!ナイスボール!!」
「なんでだよ!!」
「てめぇ、いつまで倒れてるんだよ!」
見れば、阿部は倒れたまま。ボールは絶好の位置で転がっていた。
試合開始直後の印象ではトラップが収まらないウベダはは狙い目に見えたが、今はリードを許している。松田の魂のこもったヘッドは山なりながら枠を捉えているが、これも高木が判断よく好セーブ。ゴールは遠い。阿部にゴールを獲らせたかったためか、北野の投入は遅れゴールは奪えず。
2ヶ月ぶりの敗戦に、負けたときの振る舞い方を忘れていたことに気が付いた。
今日のポイント
●ファール基準ユルユルも覚悟して臨めば不満はない岡田さんの判定。
●榎本と松田の間になにかあったのか。
●存在感は見せた北野。
●あのシュートが当たり損ねでは修行が足りない大橋。
●ドゥトラゴールの後、ボールを持ってセンターサークルへ走った阿部。
今日のお値段
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石井和裕
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| 寸評:勝てる試合だったが、こういうときもある。 |
| 評価額:¥2400 |
| 貫禄が出てきた坂田 |
100
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| 松田が試合を仕切る |
200
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| ユキヒコの期待とドリブル |
200
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| 久々に魅せたドゥトラ |
600
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| 後半開始早々の猛攻 |
300
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| 大旗持ったり傘さしたり派手なマリノス君 |
200
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| エムボマの凄いシュート |
300
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| 気迫も感じた中西 |
200
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| 気品漂う上野 |
300
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今野隆之
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寸評:いくら層が厚いといっても、主力選手が何人も欠ければこういうものか。阿部よ、久保並のパフォーマンスを期待はしていないが、何一つ期待させないのはやばいだろう。
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| 評価額:¥2200 |
| MDPの表紙でアピールする山崎 |
500
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| お約束ゲーフラでアピールする山崎 |
500
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| プレーでアピールする山崎 |
500
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| で、何かアピールしたか阿部? |
0
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| ドゥトラの追撃FK |
500
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| 由紀彦連続ゴールはならず |
200
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まるいたろう
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寸評:天気は暑かった。試合はちょっと寒かった… 阿部が前線の基点となれなかったのが敗因の1つと思います。
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| 評価額:¥1700 |
| ハイボールの競り合いを1つも取れなかった阿部 |
-10
0
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| タツヤのファンブルが残念だった1失点目 |
-100
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| エムボマはやはり凄かった |
500
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| 大変に期待の持てる山崎 |
500
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| 調子の良かった坂田 |
400
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| ドゥトラのFK |
500
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奥田幸一郎
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寸評:前でボールが収まらなかったため、攻めの形が作れず。山崎はともかく阿部はもっとポストの練習するように。いくら足元が持ち味でも、もらう形が作れなきゃ駄目だろ・・・。
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| 評価額:¥1800 |
| 三ツ沢ではもう勝てんのか |
-500
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| ンボマの一撃 |
1000
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| ドゥトラありがとう |
1000
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| 達也は弾き方を勉強してくれ |
0
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| いい感じに吹っ切れた隼磨 |
300
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| 阿部はもっと考えろ |
1000
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| 唐辛子の着ぐるみにおおはしゃぎ |
0
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なかむ〜
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寸評:読売に負けたのは悔しいが、日韓で代表4人召集の他、怪我人も居た中での布陣では、よく頑張ったほうではないかと。
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| 評価額:¥2100 |
| 基本給 |
1000
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| ドゥの美しいFK |
500
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| “これは俺の大会”と言わんばかり、山崎の活躍 |
300
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| 運動量が目立った上野 |
300
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| スーパーサブ由紀彦 |
300
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| 今日のFWの面子ではエース級の坂田 |
200
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| エムボマの見事なゴール |
300
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| 帰りにバイクのオドメーターを見たら1969km だった |
-100
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