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![]() 決勝戦 ジュビロ磐田 効果的なサイドチェンジ、平間の突破、常にゴールへの意欲を見せた城、変幻自在のドゥトラ、予想外のボール支配で優勢のうちに終わった前半。45分のホイッスルが鳴ると、永野君が叫んだ。 「良〜い試合だぁ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!」 うん、良い試合だ。ハーフタイムに売店前に集まるウルトラの連中も、「良い試合だ」を口々に連発。女性サポーターも「良い試合だね」。今日の試合はこうだ。誰もが磐田の勝ちを予想している。だから、「勝てる!」「行ける!」ではなく、自然に口に出た言葉は「良い試合だ」なのだ。 「勝ち目のない戦に行く心境って、こういうことなんだな。」 「普通に考えれば磐田でしょう。」 「ま、何があるかはわからないですけどね。」 「実は国立のヤマハ戦って相性いいんだぜ。天皇杯の決勝で0-2からひっくり返したヤツとか。」 「おぉ、あれは最もエキサイティングな決勝戦だった。0-1から出てきたロペスがいきなりハンドでPk取られて0-2になって、でも最後は佐野で逆転。」 「あ〜あ、昔はなぁ、『あら、ヤマハさんですか、これはこれは』とか、『ヤマハさん、やっと上がっていらっしゃいましたか』とか言ってたのに、人間、落ちぶれたくないもんだなぁ。今じゃ、すっかり立場逆転。」 試合前の選手紹介はイカシテる。両クラブのメンバー紹介が、両クラブのホームのナビゲーターとビデオで行われたのだ。これはサポーターの気持ちが盛り上がる演出だ。オーレ!の声もいつも以上に大きく出る。 選手が入場する。ビッグフラッグが広がり青と白のツートーンに染められる磐田のゴール裏。対するマリノス側は、いつものようにマフラーを頭上に掲げる。 「すっかり優勝確信して、準備万端だな。」 「こっちは、なんいもないよ〜っん。」 いわゆる無欲だ。 試合は早くて激しい展開に。気持ちがいいサッカーだ。両サイドは平間とドゥトラが、ドリブルで再三に渡って突破を図る。無理なら一度引く。坊ちゃんは、巧く左右に捌く。ドリブルが多少強引なときも、踏ん張って抜き去る。スペースを作る動きがいつもよりも多く見えて、ボールは停滞しない。 「右だ!」 「撃て!!」 「逆サイド!」 「縦切れ!」 「囲め!!」 凶悪席から出る声援の通り、か、それを上回るプレーが続き、なんのストレスも感じない試合。もちろん、磐田があまりに強大なので、ある程度やられることは折り込み済みだから、少々攻められたくらいではストレスなど感じないということもあるが。 リーグ戦では、これまで散々の出来が続いている平間が獅子奮迅。サイドを縦に勝負する。得意の左脚ミドルシュートは惜しくもポストへ。 「撃ってけ」 「大神だぞ!!撃てば入る!」 「大神!俺は味方だと思ってるぞ!!」 展開はサイドチェンジが多用されて、支配している模様。特に、左サイドは完璧だ。ドゥトラは壁として立ちはだかり、ボールを奪えばドリブルでかわしていく。鋭い振りのロングキックでスペースへボールを送る。 「凄いぞドゥトラ!」 「今日は白いシューズだ。」 「みろ、ドゥトラは裸足だ!!」 「裸足のドゥ!!!!!!」 セカンドユニフォームの白いストッキングに、白いシューズは一体化して見えて、シューズを履いていないように見える。裸足でいつもよりもさらに迫力が増したドゥトラ。 「賞金獲ったらパスを買え!完全移籍させろ!!!」 坊ちゃんのコーナーキックは惜しいものばかり。高さもスピードも曲がりも、復調が見える。ニアに合わせるタイミングさえ合えば、巧く枠に流し込めそうだ。 「ニア!小村来い!」 「坊ちゃん、磐田の5番のいるところはダメ!」 「磐田の3番と2番の近くへ!!」 「大岩と鈴木秀人から大神は自殺点へのホットラインなんだけどなぁ。」 ところが、後半にはいると状況は一変する。ボールが奪えない。素早いパス回しに追いつけなくなる。前半の決定的な危険なシーンは西に突破を許したシーンからが多かったが、後半は、どこからやれれてもおかしくない45分が続く。わずかなマークの乱れからシュートを許す。ファールが増える。後ろからのファールが多くなりカードを続けてもらう。 「まずい、早く1点を獲っておかないとまずい。0-0から川口を投入されると目も当てられないことになるぞ。」 「サイドから何とかしろ。」 「一番年獲ってる永山が一番走ってるってのは、どういうチームなんだよ!頑張れ!!」 「おい、平間どうなってんだ!?」 後半開始早々から平間の動きが目に見えて落ちていた。あれだけ前半に動いたのだから無理もない。普段から後半は運動量が落ちる選手なのだから。前への動きが出来なくなる。パスが来ても(いつもの通りなのだが)止まりそうな緩いパスを中に短く出していターンをもらおうとする悪い癖。突破はしない。後半開始10分にして平間への野次が激しくなる。最大級に激怒を買ったのは、このシーンだ。 「攻めてるのに、なんで最終ラインの小村よりも後ろを歩いてるんだよ!!!!!」 平間にボールが行かなくなる。フリーでもボールが渡されないシーンが続く。不思議な時間だった。手を挙げてボールを要求する平間。ここでK林さんが爆発。 「なに様だ平間!前で手あげて要求してイイのは松田だけだ!!!あと、鈴木秀人も手あげるぞ。」 「それって、違う『手あげる』じゃん。」 うむ、なんだか、爆発とは違うようだ。 中山のシュートがゴールへ向かって飛んでくる。クロスバーへ当たったボールは真下へ。しかし、ゴールラインを割らず、なんとかクリア。 「うぉ〜川口の運が、まだ残っていた!」 が、逆に磐田は川口を投入。 「うわぁ〜来ちまった!」 「さぁあ、たいへんだ。」 川口は西に代わって右へ入ってきたので、マリノスの左サイドは上がれなくなる。ドゥトラは、川口の突破を感動的なディフェンス能力で完封したが、攻めに上がるチャンスは、ほとんどなくなる。 「左は守り一辺倒なんだから、サイド変えて右が攻めないと・・・。」 さらに追い打ちをかける永山の退場。悪質ではなかったが、角度は確かに後ろから。しかし、永山は、さすがに豊富な経験の持ち主。守りのリズムを崩さず、集中力を欠くことを避けるために、すんなりと、自らフィールドを去った。こうなると、一気に勝負をつけたい磐田と、延長戦に持ち込んで大勢を整えたいマリノス。選手もサポーターも、全ての思惑が一致した。ロングボールで逃げるマリノスを磐田は捉えることが出来なかった。 延長戦に入ると、磐田の攻めはさらに厳しくなる。なんと、平間の状況を見て、平間のサイドにジウコビッチを投入してきた。対するマリノスは、永山退場、さらに、90分の間で足を痛めていた遠藤が交代。金子を投入。この状況でサイドに木島を投入するのはリスクが高い。手堅いラザロニ監督は平間をフィールドに残し延長戦を迎えた。永山の退場と遠藤のアクシデントさえなければ展開は違っていただろう。磐田の両サイドを封じるために、左にドゥトラ、右に波戸と能力の高い選手を配置する4バックに移行。平間はボランチへ。当然、延長戦も攻められっぱなし。肝を冷やすシーンが連続する。川口は完封したが、ジウコビッチのFKは、あきらかに少ない壁の外からゴールをかすめる。ミドルシュートも、ボクォッ!と重い音を残して飛んでくる。が、結局、延長は両サイドを完封できたのだ。 なんとか、守るだけの延長前半を終えると平間に代えてナザを投入。 「ナザはリーグに温存して置いた方がイイと思うけどねぇ。」 さっきまで、みんな平間を代えろ!と、大合唱だったのにサポーターなんて勝手なもんだ。 前田が加わり、磐田は中央突破にも迫力が増す。マリノスのラインはずるずると下がる。動きが落ちていたブリットと城を同時に交代させる。代わりに入ったのは坂田と木島。 「なんで城を下げるんだよ!」 「放り込み出来ないじゃないか!!」 と、またしても怒り。城は実質1.5から2列目でプレーしていたので1トップだったのを2トップに代えたからだ。しかし、試合が進むにつれてわかったのは、坊ちゃんの位置を深くしてディフェンスをケア。前がかりに来る磐田のラインの裏に走り込ませるという作戦だ。が、成功はしなかった。わずかに、木島のがむしゃらな走りが、磐田のディフェンダーを多少混乱させたにとどまった。それでも、延長終了直前にはコーナーキックを獲得。ドゥトラと並ぶ90分間のMVPに挙げてもいい、身体能力の高さと存在感を発揮していた松田がゴール前に上がってきた。その姿に、みな驚かされた。ぐんと胸を張ってゴール前に向かってくる。俺だ!俺によこせ!という気持ちがハッキリと分かる、両手を強く握った拳で自らの胸を叩きながら、何事か叫びながら、ゆっくりと堂々とポジションをとったのだ。 「松田!カッコイイ!!決めてくれ!」 結局、スコアレスで延長戦も終了するのだが、マリノス側スタンドは大きな拍手で包まれた。対照的に磐田側には落胆が見られた。PK戦は説明不要。リーグの柏戦で弱気なPkを蹴りマリーシアメンバーの失望を買っていた坊ちゃんは、堂々とど真ん中に蹴り込んだ。榎本は見事に藤田とジウコビッチを止めた。そのたびに、スタンドは飛び跳ねて、立ち上がって、大歓声と大拍手を贈った。前田のキックを止めた後、座ることはもうなかった。そのまま、優勝を決めるキックを待った。主将・小村が冷静に決めると、その冷静さは、ほんの短時間で途切れる。あとは狂乱だった。 今日のポイント ●今季一番。素晴らしいゲーム。 今日のお値段
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