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![]() 第9節 東京ヴェルディ1969 右から入ったクロスボールを走り込んだ平瀬がヘッド! 「バーモンドシュート!!!」 「あ〜っ!!」 「甘口だったぁ〜!!」 「もっと辛口で撃てよ!!!」 「いや、良い。ドンドン行け!」 「何とか決めろよ!!」 大きな拍手とコールに送られて早くも初登場の平瀬は、何度も何度もディフェンスラインの裏を狙った。そのほとんどはオフサイドだったが、これまでにない動き出しで停滞ムードだったゲームに活気を与えた。何度オフサイドになっても良い。ここ一番のチャンスにさえ決めれば。だが、決まらなかった。五輪予選でもあった平瀬のガッカリのシーン。だが、最後の最後、予選突破を決める試合で平瀬は決めた。ライバルが活躍すれば燃えるタイプ。この日も途中出場で闘志をみなぎらせてのピッチインだっただろう。 前節のU-19コンビに代わって、いつもの2人が帰ってきた。ツートップはウイルと清水。だが、コンディションは完調ではない。特にウイルは見るからに重たい動き。ファールをもらいにいってもドサッと倒れる。煌めきを見せたのは直接狙ったフリーキックのみ。後半の高桑からのプレゼントボールを清水が右から入れて上野がスルーした絶好のボールも高桑に阻まれた。余計な動きが入って裏目に出た。 「なんで決められないんだ!!!」 「ふざけんな!」 「できないヤツは引っ込めろ!!」 「それに、なんで上野は撃たないんだ!!」 「フリーなのにスルーするか!?」 「テレビ見過ぎなんだよ、テレビ。リバウドの真似するな!!」 ある程度の覚悟は決めてきたとはいえ、みな焦れったい展開にフラストレーションが溜まっていた。満員の国立競技場。しかも相手は読売なのだ。 「永井選手に代わって・・・。」 後半開始早々に流れた選手交代の場内アナウンス。 「あちゃぁ〜永井出てたんだ。ぜんぜん目立たなかったなぁ。」 「失礼いたしました・・・。」 退くのではなく入ってくるのが永井だった。それほど読売の選手は誰がだれだかが判らなかった。目立つのはエジムンド。そして右サイドの田中。後半に入ってきた永井も永井らしさは見せなかった。 それでも苦戦するのがサッカー。エジムンドの見事なハイスピードのフリーキックには思わず拍手が出た。まさかの先制を許す。しっかりやらなければならない。降格争いをするクラブが、突如として信じられない力を出すことがある。それは昨年身に染みている。そして、同じ国立で、昨年は読売に惨敗しているマリノスだ。 前半は先制直後に、ややテンションの下がったスタンドだが、徐々にパワーを上げていく。応援歌の手拍子が揃う。バックスタンドの反対側もゴール裏もメインスタンドも。揃わないのはディフェンスの足並み。読売の選手がフリーになるケースが目立つ。特に中央が危うい。エジムンドの中途半端な1.5列目のポジションのせいなのか、どうしてもマークが安定しない。プレッシャーか?読売戦の威力か?それとも・・・。 失点から5分も経たずにゴール前でフリーキック。最初の見せ場だ。ウイルがボールを蹴る気満々で下がる。その後ろに坊ちゃん。話しかけている。決まらない。どちらが蹴る?だが、ポジションから行ってもウイルだろうし、蹴るにはウイルの立ち位置の方がよい。ところが不意に蹴った。いつもとは違う短い間合い。坊ちゃんの蹴ったボールは壁に当たった。 「焦ってるな。」 無駄な抗議で松田はカードをもらった。 しかし、しかしなのだ。やはりブランクがあっても坊ちゃんはやってくれた。右からのフリーキック。高桑の前の微妙なポジションにボールは飛び込んだ。パンチングするが、突っ込んできたナザに当たってゴールイン。失点から15分ほどで同点に追いつく。さらに5分後。今度は坊ちゃんの右からの突破を読売ディフェンダーがファール。PKだ。 坊ちゃんがボールをセットする。もの凄い歓声が沸き上がる。その大歓声の中で 「入れ込みすぎてる。」 という小さな声。明らかにいつもとは違う力を込めたボールのセットの仕方。期待もある反面、不安も膨らむ。シュート。右サイド。右過ぎる。サイドネット。揺れる。逆転した。狙った場所なのか?それとも右に来すぎたのか?絶対に捕れないコースをボールは通過しゴールへ。前半のうちに逆転することができた。 後半は落ち着いた試合になると思った。読売の反撃に、それほどのパワーはなかった。暑い真夏のゲームということもあり、スピードが落ちる。だからこそ、マリノスの独り相撲だった。結局、試合は落ち着かなかった。 暑さの他のも外的要因は備わっていた。国立で完売したホームゲームはいつ以来だろう。しかも52,000人はかなりの来場者数だ。そして、いつもとは違う、浮ついたムード。それがゲーム運びを狂わせた。 「普通にやれ!」 「いつも通りやれば勝てるから!!」 何度も声が飛んだ。 「いつも通りってのは上がりっぱなしでいいってことじゃないんだぞ!松田!!」 松田は入れ込みすぎていた。いつも通りなんてとんでもない。あそこまで前線何度も上がればスタミナもロスするしディフェンスのバランスも崩れる。中央でディフェンスラインと中盤の間にスペースができる。シュートコースが空く。たまたま読売の攻撃陣がふがいないがためにネットを揺らされることはなかったが明らかに今シーズンで最も危険なディフェンスだった。スタジアムの空気は恐ろしい。 それでも、途中からフィールドに加わった平瀬、遠藤、坂田はまずまずの動きを見せてくれた。夏場の坂田と平瀬の突破は魅力的だ。 「夏にカレーが効く!!」 過密日程の中、精一杯の補強をした。苦しい試合でも勝ち点3が取れている。まだファーストステージの後半は始まったばかり。セレモニーを終え最後にスタジアムに残ったのはトリコロールの選手達。降格争いの最中のセレモニーの昨年とは明らかに違う。「F・マリノス」のコールと手拍子は、感傷に浸るだけではなく、水曜日のゲームをも見据えてもいた。 今日のポイント ●クロスの精度が悪いとかいろいろ言われる波戸だが、なんだかんだと点に絡んでいる。 ●余計すぎるフェイントが目立ちだし、まずい時間に入ったときに坊ちゃん交代。 大拍手で見送ることができた。そして坊ちゃんが抜けた新マリノスのリスタートだった。 ●主審がでかすぎる。 ●次の試合への意気込みが感じられたセレモニー。 ●希望は相馬のミスキックを平瀬がゴールだったが、世の中上手くいかない。 今日のお値段
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