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2階の目線2002

第3節 ベガルタ仙台

スタジアムから地下鉄駅への、たった5分ほどの道のり。歩道の幅は広くなく、スタジアムから出てくる観客の数は約19,000人。私たちのすぐ前に人はなく、はるか前方にベガルタゴールドの人々。私たちの後ろには、数珠繋ぎのたくさんの人々。そう、あまりの足取りの重さに、渋滞を引き起こしたのだ。

決して広くはないがビジター席は埋まった。通路にも人が溢れた。マリーシアのコアメンバーも30名近くが掲示板脇の席に集まった。そして、スタジアムで再会したわけじゃない。青葉通りですれ違いざまに気が付いたり、名店と称される牛タン屋に並ぶ列で出会ったり、新幹線が一緒だったり、と、いたるところに何処か品のある城下町の片隅で知っている顔に出会った。いつもの顔が、いつものように集うゴール裏だった。そして、フィールドのサッカーも、結局はいつものサッカーだった。例えウイルがいなくとも、根本は何も変わっちゃいない。

序盤は順調だった。ウイル不在でボール回しが早かった。坂田、清水、飯田が自由に動き回り、奥と上野からボールが供給された。ボールも止まらず、左右へ縦へ、難しければ一度戻してワンタッチで局面を変えて前へ。早い時間に清水はシュートを放った。上野はドリブルで上がる。
「邪魔者がいないから前に上がりやすいね。」
そんな冗談も出た。波戸も守りだけでなく、左右にバランスを考えながらボールを最後尾から捌いていた。良い結果が出そうな、そんな予感を多くのサポーターは感じた。

しかし、失点がムードを一変させた。これはただの1点ではなかった。奥がサイドでボールを持って攻めに出ようとした矢先にボールを奪われた。下がって消えていたマルコスが中央から前に走り込んでくる。追うのは上野。だが、すこし遅れた。シルビーニョ、山下、そして逆サイドをケアするためにディフェンスラインにマルコスを受け渡すことはできない。山下からマルコスにボールが出る。抜かれる。撃たれる。シュートは見事なニアサイド上部への弾丸シュート。ゴール裏からは、ボールを奪った瞬間に猛然とダッシュするマルコスが見えた。だが、中盤の底からの組み立てが信条の、今日のマリノスは、それに誰一人対応ができなかった。

一気に流れが変わる。上野も奥も上がれない。全体に下がる。だから中盤のボールを奪われる。榎本とゴールポストで失点を防ぐが、とにかく危険だ。もう、右だ左だの指示も野次もない。歌っていられもしない。
「前半は我慢しろ!!」
「とにかく守り切れ!!」
「撃たせるな!!」
「辛抱しろ!!!」

この時間までは、やられるかもしれないが我慢すれば取り返せるかもしれない、そんなムードだった。それはそうだ。みな仙台までやってきて無惨な負けを予想しているわけがない。奥を高い位置に上げて局面の打開を計るラザロニ。大声援に後押しされて一気呵成に攻め込んでいた仙台も攻め疲れか、残り5分になって勢いが鈍る。マリノスのボールが、また回るようになる。だが、このボール回しは序盤のモノとは違う。攻めきれない、おどおどとした展開。横に動くボール。縦には入らず、難しくなればゆっくりと後ろに。驚くべきことに、この5分間+ロスタイムの間に、ボールを奪われたのは数回。しかも、それを一瞬で奪い返している。
「シュート撃て!!」
「勝負しろ!!!!」
「あ〜イライラする!!!!」
「ただ回してるな!!!」
「こんなの、パス回した回数で競う競技だったら、絶対にうちの勝ちだよ。」
「むずむずしてくる。何かやれ!!」
「終わっちゃうぞ!!」
「シュート撃たなきゃ永遠に点は入らないぞ!!」
「まさか、このまま前半終わるんじゃないだろうな!!」
「あ〜ほんとに終わりやがった!ば〜か!!!!!」
無駄な時間を過ごした。これで一気に、その後のゲーム展開に暗雲が立ちこめた。

後半が始まるが、気を引き締めてやり直しという雰囲気はない。キックオフ直後も、横パスし後ろに戻した。前半は繋ぎ役としてはポジションがあった飯田だが、やはり経験不足は気持だけではカバーできない。このポジションは怖さがなければいけないのだ。それにしては、まだ軽すぎた。次第に存在感を失い消えていく。気が付けば、トップのはずの清水が流れの中で下がって1.5列目でボールを受けた際に、時折見せるスルーパスや突破の方が、このポジションには適任に思えた。
左のドゥトラは研究されている。
「ドゥトラさえ押さえちゃえば守れるんだから仙台はやりやすいよなぁ。」
そんな言葉が漏れた。左脚でのクロスが少なかった。シュートチャンスにはボールは必ず右脚にあった。それだけ徹底して仙台はドゥトラの左脚にはボールを持たせなかった。そして、シルビーニョが右サイドのポジションを受け持ち、再三突破を見せる。ドゥトラが上がる機会は、次第に少なくなっていく。

それでもチャンスはあった。特に、後半も中程を過ぎた頃に、仙台の中盤はすっかり動きの量を落とした。中盤がルーズになり、ぽっかりとスペースができた。さらに、サイドも上がれるようになった。
「ここが勝負所だ!この時間に得点しろ!!!」
しかし、マリノスの中盤も押し上げが遅く、せっかくボールを前目で奪っても、ゴール前に殺到する選手がいない。いらだちが募る。
「上がってこい!!」
「前に行かないと点獲れないぞ!!」
「勝負をかけろ!!」
そして、ついに、Mの馬鹿3段活用が始まる。もう、止められない。
 ちょっと危ないプレーの時「ばぁ〜か」
 かなり危ないプレーの時「ばぁか、ばぁ〜か」
 30番がボールを持つ前後「ばぁか、ばぁ〜か、ばぁぁあぁぁあぁぁ〜かぁぁ〜」

完全に消えてしまった飯田に代わって外池が入る。もう、いつも通りに攻めていても得点できないから放り込むという諦めの采配だ。もしくは、いる選手に合わせて勝手にやってくれということか。とにかく今期初めての戦法に出る。清水が1.5列目に下がる。久永のポジションは、あまり高くない位置のままで、縦への勝負も少ないからアーリークロスが多くなるだろう。となれば直接のゴールは少ないだろうから、こぼれ玉を坂田で勝負だ。が、しかし、次に選手交代で出てくるのは平瀬。しかも坂田と交代だぁ?平瀬は元鹿島らしく仙台サポーターから痛烈なブーイングを受ける。そして、そのときマリノスのゴール裏からも大きなブーイングが。だが、これは平瀬に対するブーイングが大半なのではない。「なぜ坂田を下げるのか?」その疑問の意思表示だ。なにしろ、外池が入るまでの時間に、前線でサッカーをやっていたのは坂田だけだった。ゴールへ向かって勝負したのは、たった1人だけだったはずだ。

そして、案の定、平瀬は中央にポジションを取ることを許されなかった。監督の指示通りに左サイド。つまり、外池と坂田のツートップは外池のワントップに実施的に変更された。左サイドには平瀬。トップ下に清水。右の半端な位置に久永。中盤は闘鶏のように突っついてボールを奪い合う。プロらしくないサッカー。闘志は前に出るだろうが、戦術的にはうなずけるモノがない。
「とにかく奪ったら、バーッと上げてダーッと撃て!!」
「相手は小村とリカルドとマルコスだろが!!えぐって入れるとかできないのか!!」
「だいたい4バックにして波戸とドゥトラを両サイドで高くしてクロス入れまくると、やることがあるだろうが!!」
「相手は読売の補欠キーパーだろうが!!遠慮してないでシュート撃て!!」
みな、最後の最後での同点劇を期待していた。3連敗なんて見たくない。それに、この日は泊まりだ。延長戦だって大歓迎。何かが起きると期待していた。しかし、ゴールどころか際どいシュートも飛ばなかった。起きたこといえば、仙台のファンサービスのために財前が入ったことと、大したことのないファールなのにもかかわらず起きあがらない久永を無視して他のマリノスの選手がゲームを再開させてしまい岡田主審に止められたことくらいだ。

試合は終わった。歌声響き盛り上がるベガルタゴールドのスタジアムでトリコロールの部分だけが無言で頭を抱えている。ブーイングが飛んだが、もうブーイングを飛ばす気持も出ないほどの無惨な負けだった。

仙台スタジアムから地下鉄に乗り15分ほどで仙台市の中心部、国分町に出る。ここは夜の繁華街なので多くの仙台サポーターも地下鉄を降りる。今夜は22名で牛タン屋を22時から24時半まで貸し切りだ。二股の地下道を右に曲がり目指す店へ向かう。すると、ベガルタサポーターは、みな左側の道を進んでしまった。
「あれ、ベガルタは左に行ったぞ。」
「トリコロールだけじゃん。」
「ここは敗者専用地下道だからじゃないか?」
先の階段もトリコロールだけだ。
「敗者専用階段。」
昼間は、それほど人通りが多いとは思えなかった仙台市街だったが、夜の国分町は混雑していた。
「敗者のみなさんは、この角を右に曲がりま〜す。」

店は定員いっぱいだった。22名は飲み物を手にする。
「では、今日の敗者に乾杯!!!」
「かんぱ〜い!」
「完敗!!」
「惨敗!!!」
「連敗!!!!」
「全敗!!!!!」
乾杯が終わると会話に盛り上がりがない。完全貸し切りだから遠慮する必要はないのだが、試合の何を話せばいいのかわからない。料理が運ばれる。シーザサラダ・・・美味い。この店の料理は噂通りの素晴らしさだ。そして、厚みたっぷりの牛タンが運ばれてきた。
嬉しさのこもった「うぉ〜!」という歓声があがる。スタジアムでは叫べなかった私たちの、今日一番の歓声だった。二種類の牛タンの1つは肉厚の固まり。こりこりとした、しかも嫌な堅さではない心地よい食感。もう一つは串焼き。歯触りがない。口の中でとろけるような柔らかさなのだ。これが牛タンなのか。次第に22人の表情がほぐれる。次第に会話もはずむ。笑顔で今日のそれぞれの道中を語る。仙台にギリギリに着いたものもいれば、前日から松島に宿泊している者もいる。

不意に店内のテレビはスーパーサッカーを映す。先ほどの試合の模様が映し出されたときに誰かだ叫んだ。
「せっかく気持ちよく食事してるんだから、へんなもの思いださせるなよ!!」


今日のポイント

●トップ下の存在感があってこそのボランチ。
●長い芝とイレギュラーバウンドに戸惑いも見えた。
●仙台指定席の観客はコンサート乗り。
●試合前の掲示板に出された文字「仙台-横浜F」の文字。すぐに消える。
●榎本とディフェンスラインは悪くない。
●やってることは正しいが微妙にシュートがずれてる清水。
●仙台市内にあった「原宿アイドル写真館」という店。「ベッカム写真入荷しました!」という案内。

 
(左から)定禅寺通り、仙台城伊達政宗像、瑞鳳殿、円通院、瑞巌寺。

    
(左)駅方面から望む仙台スタジアム。開門前の列は駅前まで延びる。
   地下鉄降りてすぐ。建物の合間から見える様はロンドンのよう。
(中)アウエー側からの外観。スタンドの高さは改修前の鹿島程度。
   通路と座席が狭く、19000人収容にしては小さな印象。
(右)ベガルタゴールドで染まるスタンド。座席の照明は暗い。

    
(左・中)喜びを噛みしめて試合後の家路を急ぐおばちゃん。
(右)この後マフラーがヨコハマなのに気付いたベガルタ君は、
   マフラーをむしゃむしゃと食べる真似。なかなか芸達者な奴。

  
(左)スタジアムにあったイタリア代表の足形。
   繁華街のゲーセンには「アズーリ再び来仙!」のポスターがあった。
(中)牛タンの厚みに注目。

    
(左・中・右)美味いものを喰うと怒りが収まってくる。


今日のお値段 


石井和裕

寸評:試合当日の朝9時から翌日の夜9時まで仙台にいました。行ってよかった。充実した内容でした。
評価額:¥24600

姫さま奥さま最初の15分
1500
マルコスのファインゴール
500
ガネッシュ・ティールーム定禅寺通店
800
瑞鳳殿
1000
ずんだ餅
500
とろけるような牛たん
4500
円通院の庭+境内の雲外での懐石料理
4000
瑞巌寺と五大堂の木彫
800
塩釜すし哲の寿司(あぁ美味なる鮪、穴子、秋刀魚)
4000
松島やあぁ松島や松島や
5000


三沢まりの

寸評:横パスを繋いでもOPTAポイントって上がるんでしたっけ?だとすれば、OPTA的には上位争いをしているに違いない。
評価額:¥2200

「点を取るイメージ」が唯一見えた坂田
800
その坂田が途中交代
-200
しかもよりによって平瀬
-200
敵ながら見事な、先制点に至る2トップのコンビプレー
200
仙スタの雰囲気
800
仙台勝利の凱歌「おおシャンゼリゼ」大合唱
500
レアなシーン1(飯田デビュー)
100
レアなシーン2(外池久々出場)
100
レアなシーン3(余所のジャンマリと遭遇)
100
試合後、至福の牛タン 概算評価額:数千円
査定外


オムラー

寸評:試合以外は充実した遠征。守備重視でもいいからよかったときの原点に返ろう。
評価額:¥2800

基本給
1000
仙スタでアウェーの洗礼初体験
3000
期待の星・坂田
2900
横パスばっかり
- 1500
久永ブブッブー
-3000
鉄壁小村復活
400


寺山功

寸評:パス回しててポイントが入るようなゲームだったら大勝なのにね。点を取るために攻めているんならシュート打てっつーの!それでも後半は良かったと思う。3ヶ月前の日本ートルコ戦に比べれば気持ちは伝わってきたし、去年を思えば悪くないゲームだよ。
評価額:¥3500

後半はリスクを冒して攻めていた
1000
坂田の頑張り
1000
仙台スタジアム
1000
マルコス好シュート
500


吉田雅幸

寸評:途中の中盤の組み立ては、悪くないと思いますが、ゴール前までボールを運んでいく割には、シュートを打たずパスを回して決定機を逃してしまう。もう少し、シュート練習でもして、得点する意識を高めて欲しい。しかしマルコスナイスカット。ゴールは角度ないのに関わらず、すばらしかった。あんなゴールで勝ってくれー!
評価額:¥1200

今日の試合で、3歳の我が子がみなさんの「清水やめろ!」のまねをしてブーイングを覚えてしまった。(自分はブーイングしていませんでした)いいのか悪いのか??
100
負けましたが、運で守る伝統のゴールキーパー健在
500
シュートをもっと打ってくれー
-1000
奥パスがちょっと悪い。(もうちょっと前でプレーして)
100
ナザの中途半端なパスでカットされすぎ。
-500
基本給
2000


奥田幸一郎

寸評:作り出した決定機はゼロ。最早フットボールではない。ラストの放り込み大作戦はただの子供だましにしか見えない。あれこそ「低俗なポルノ」としか言いようが無い。今一度選手・監督達に問いたい。自分たちのやってるフットボールに何か価値があるのかと。
評価額:¥10

余りにも素晴らしい仙スタ
1000
ベガルタマニア新聞読めず
-90
瑞穂・博多の森に匹敵するアウェイ環境
1000
マルコスの「これぞストライカー」なゴール
500
坂田の頑張り
100
榎本の運
100
上野の闘志
100
メルダ・ラザロニ
-700
決定機を作り出そうともしない選手達
-2000


今野隆之

寸評:得点は歩いてこない、だから歩いていくんだね。真横に一本、おまけに二本、三本回して二本下げる。坂田以外は仲良くマーチか。ぐったりとした五臓六腑に染み渡る、牛タンのとろけるような柔らかさ。美味しゅうございましたとも。ぐすん。
評価額:¥4900

僕が住んでいた頃にはなかった仙台スタジアム
1000
芸達者なべがっ太君
500
今まで「牛タン」だと思わされていた薄い輪切りの物体は何だったんだ
4500
じゃじゃ麺は辛かった
500
試合はもっと激辛だった
-1000
ビールをこぼした
-500
マッチデイを忘れてきた
-100


なかむ〜

寸評:パスを10本以上繋がないと、シュートを打つゲージが溜まらないのか? そんなサッカーゲーム知らないぞ。
評価額:¥2000

基本給
300
飯田スタメンデビューご祝儀 
100
最初の 15 分だけ良かった上野
600
坂田だけ真面目に仕事してた
1000
それを代えたラザロニ
-200
負けてても横パスのオンパレード
-300
仙台スタジアム
500
至福の牛タン
査定外