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![]() 3回戦 駒澤大学 待ちに待ったシーズンの開幕。昔から日産と言えば天皇杯のはずだった。戦後最多優勝の6回を誇り68回大会から72回大会までは5大会連続の決勝進出。元旦と言えば国立で迎えるのが毎年の決まりだった。あれから10年の月日が経とうとしている。 スタンドへ足を踏み込むと、天皇杯のテーマ音楽が流れていた。 さぁ、いよいよ真剣勝負が始まる。だが、その前にしなければならないことがある。まずはプログラムを購入する。 「FCプリメーロって予選で負けちゃったんだ。」 「横河も佐川急便東京もダメだったのかよ。」 「テイヘンズはさすがだなぁ。」 「今年は宮崎予選の『おらが村』は何回戦まで行った?」 「ACフェロモンティーナはあと一つ勝てばキングカメハメハと当たったのに。惜しい。」 などと、各地区の常連クラブやまだ見ぬ名前が魅力的なクラブの動向に目を配り会話がはずむ。 「今日はよぉ、外池を使わないかなぁ。」 「そうねぇ、最後の三ツ沢だし。」 「いや、じゃなくって偏差値で勝てるような気がするんだ、上野と二人で。」 と対戦相手をいじり始めたのはK林さんだ。K林さんの出身大学は駒沢大学のライバル校なのだ。 「まず、横断幕をちゃんと見よう。文字とか間違ってるかもしれないから。」 「『駒大』って書いてあるのは『澤』って書けないからだぜ。」 「よし上野!難しい四文字熟語とか言って混乱させろ!」 と、今日も絶好調。 「国立へ行こう〜国立へ行こう〜。」と歌う駒大のゴール裏の応援歌を聴いて 「ほら、みんな本心では国立大学へ行きたかったんだろ。」 一方でプログラムと配布されていた駒大スポーツを読みながら 「どいつだっけ?鹿島国に拉致されるのは。」 と、試合前から注目選手を捜す者も。 ところが、試合が始めるといきなり緊迫した場面が連続で現れる。警告ギリギリの際どいファールを連発して駒大が前線からプレッシャーをかけてくる。これで、勢いを削がれた。そして、パスミスが続く。軽いトラップをさらわれる。いつもの天皇杯初戦の見慣れたゲーム運びに引きずり込まれる。 さらには、セルフジャッジがピンチを招く。もう軽口は叩いていられない。ゴール裏も駒大のゴールキーパーにブーイングを送るようになる。まずい。 駒大の攻めはシンプルなモノ。中央の巻(来期から市原、9番)に当てて、サイドに開いて素早いクロスを入れる。特にファーサイドに複数の選手を走り込ませてゴールの前をクロスを横切らせる基本的な攻撃パターンだ。さらに、二列目の選手達は豊富な運動量を活かして中盤でボールを奪い、一気呵成にゴール前に殺到する。いつもよりもボールさばきが遅く、トラップにも緊迫感の欠けるマリノスの選手達は簡単にボールを奪われた。そして、簡単に倒れてファールを要求するシーンも目立つ。 試合前に鹿島行きを揶揄されていた深井だが、驚きのシーンを何度も魅せる。重心が低くてドリブルは切れ味が抜群。ボールを受けての反転が早い。シュートまでの時間も短く、地を這うような弾丸シュートを枠に打ち込んでくる。 「やばい!」 「げげっ!」 と言う声が、試合が進むにつれて 「巧い!!」 「凄い!!!」 に変わっていく。 奥のフリーキックが壁に当たりコースが変わってネットを揺らす幸運な1点で先制するも、駒大の勢いを止めることは出来ない。かなり際どいシュートが飛び込み、Jリーグと同じように榎本のファインセーブで逃げる。 「これは1点じゃ安心できないぞ。まだ時間があるから何点獲られてもおかしくない。」 攻めで明確にカタチになるのは、坂田がラインの裏に走り込んだときだけ。他は、無意味にボールを回すか、安易なミスでボールを相手に渡すばかり。 後半に入っても展開が変わらない。深井を中心にあいかわらず決定機が多く鋭いシュートが飛んでいくのは駒大。ちぐはぐな攻めばかりのマリノス。ヘディングで競り負けることも目立つ。ボールを奪われることが多い平瀬へゴール裏から再三の大コールが送られる。だが、徐々に失望へ。 スタンドを沸かせ大きな拍手を受けたプレーは上野のループシュート。ミドルレンジからの弧を描いたボールは惜しくもクロスバーを叩く。逆に珍プレーも出た。ゴール前に残された奥の近くに山なりのボールが飛んできた。明らかにオフサイドポジションにいることを自覚している奥はプレーに関与していないことを示して反則にならないために動きを止める。ところが、ボールは、その静止した奥に当たってしまう。一瞬の間をおいた後に副審が旗を揚げる。 「迷うなよ!」 止まってたってプレーに影響を与えてしまったんだから。 2点目は坂田の見事のヘディングシュート。 ニアで合わせて山なりにファーサイドの角に流し込んだ。押される時間が多くピンチの連続だった時間帯だけに値千金のゴールとなったが、着地のときに坂田は顔をしかめて足を引きずる。歓声は途中で止み、心配な思い空気が支配する。幸い、ピッチの外に出た坂田を治療する様子からは脚が攣ったように見えた。 このあたりから駒大の動きがやや重くなり二列目の押し上げが遅くなる。しかし、シュートは枠に行くし、深井のドリブルも切れている。何度か招くピンチに、まだ2点差ではわからないという緊迫のムードが走る。ゴール裏も苛立ちから「清水コール」が混じる。ついに平瀬を見限ったか。 深井は度胸がある。まっこう勝負を挑んでくるし、パスもズバっと切り裂いてくるようなスピードボールが多い。終盤になると味方のフォーローもやや薄くなり孤立の時間もでてくる。ファールを冒し警告を受ける。だが反省の色見せず悪態をつく。 「入る前から鹿島色に染まってるなぁ。」 「いや、逆に、あの態度を見て『うちのスタイルに合ってる』って鹿島のスカウトに注目されたのかもしれないぜ。」 坂田に代わって入るのは久永。ところが、その久永はフィールドに入っても全くボールが来ない。かなり活発に動いてボールを引き出そうとするのだが、ボールは目の前を通過する。 「おい、誰か久永のことを気にしてやってくれよ!!」 という声が飛んだ直後のことだった。パスを受けた久永は右サイドでのファーストタッチ一発で駒大のディフェンダーを抜き去り、見事なカーブを描いたクロスをねじ込んだのだ。 「うわぁすげぇ!!」 おもわず声が出る。そのプレーを皮切りに、自由に動く久永が駒大ディフェンスを切り裂きにかかる。やっとゲームを完全に支配できてきた。 「いやぁ〜良いじゃないか久永。」 「ここにきて本領を発揮している。」 そして3点目は完全に久永の得点。 右サイドでタイミング良く裏に抜けて上野からのスルーパスを受ける。前へ出てきたゴールキーパーのタイミングをかわしゴール前に待つ平瀬の足元にパス。平瀬は慎重にインサイドで蹴り込んだ。 1点目は運良くコースが変わってのゴール。 2点目は直後に坂田に異変。 3点目は外したら一大事で心配。 どのゴールも喜びが今ひとつ爆発しないままに、得点差は安全圏になる。 内容は誉められないが、去年よりもずっとマシ。まずは初戦を通過し4回戦へ駒を進める。勝つことが全てに於いて優先されるカップ戦のスタートとしては合格としよう。今度こそ元旦は国立で。 今日のポイント ●浦和よりも強かった駒大。 ●「昨年のチームメイト那須が立ちはだかる」「磐田だった奥に昨年の借りを返す」など、 煽りまくりの「駒大スポーツ FORZA駒大」。 ●相手が格下だと余裕を持ちすぎる悪い癖。 ●遊びが出るとプレーが軽くなる奥と平瀬。 ●乱れを整えるために中央に波戸を置く時間帯もあったディフェンス。 ●試合後に永山親子(?)がフィールドでパフォーマンス。 今日のお値段
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