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2階の目線2003

ナビスコカップBグループ 第2節 FC東京

東急田園都市線を降りる。駅改札を出ると、そこには待ち合わせのトリコロールが一杯だった。駒沢といえば、東京ガスが最後のJFLで優勝したスタジアムだ。あの時はアウエーの観客は、ごく僅かだった。なにより22,000人収容の由緒正しいスタジアムにやってきたのはガスサポーターをあわせて1,000数百人。優勝がかかる試合でも、僅かにそれだけだった。J1に上がって以来、ガスは屈指の人気クラブに成長した。今日は、あの日の10倍くらいの観客が入るだろう。トリコロールのサポーターももちろんだ。だが、よく見れば、改札口に集まる赤・青・白のグッズを身に付けた多数のサポーター達は全て敵だった。

本家トリコロールの私たちは、アウエー側のゴール裏スタンドを、ほぼ8割埋めた。バックスタンドは7割、ホーム側のゴール裏は立ち見が多数の大盛況だ。スタンドの全ては赤・青・白に彩られた。フィールド上は赤・青のガス、マリノスは白とグレーの見慣れないセカンドユニフォームを披露。

今日はフォワードに注目だった。

選手紹介でユキヒコに大きなブーイングが送られる。アウエーの緊迫感が盛り上がる。注目のツートップは坂田でも阿部でもなく清水を起用してマルキーニョスとのコンビになった。対するガスの選手紹介では、戸田、阿部に「偽物〜!!」の野次が飛ぶ。私たちの気持ちは阿部の本物が見たいし、トリコロールはマリノスが本物だし、都会のクラブもマリノスが本物(ガスは東京郊外)。

派手に撃ち合いから始まった。

試合開始早々の左からのコーナーキック。低い弾道を叩きつけたヘッドがワンバウンドでゴールネットを揺らす。
「やった!!!」
「よし!」
「っていうか何で入っちゃうんだ!?」
「ちょっとは止めろよ小沢。」
叩き込んだのはユキヒコ。ブーイングの中を悠々と戻ってくる。これで、今日も主導権を握れる。過去、何度も先制点を奪われて苦汁をなめてきたガス戦だけに嬉しさが溢れる。
だが、今日のガスは前節とは違い、序盤から積極的に攻めてきた。すぐにゴール前正面でフリーキック。先制点の気の緩みか、マリノスの守備陣形が整わない。真正面のフリーキックなのに壁に青い選手が3人も。
「馬鹿!なんで3人も入られてるんだよ!!」
「しっかり壁作れ!」
「いいから押し出せ!!絶対に3人を押し出せ!!」
「3人もいたら、そこ通してくるに決まってるじゃないか。気抜くな!!」
つい数分前の先制点を忘れさせるくらいの緊迫の場面だ。キッカーは左脚に定評がある宮沢。ヘッドの強いジャーンも壁に入っている3人の一人だから、ここは絶対に直接だ。
撃ってきた!3人が壁に穴を空ける。その間を鋭いキックがゴールマウスを狙ってくる・・・はずだったが、なぜかボールは壁に普通に入っているマリノスの選手に当たった。
「助かった!!」
「っていうか3人もいるところになんで蹴れないんだ!?」
「助かったけど、酷いキックだ。」

最初のコーナーキックもあわやのシーンだった。ジャーンへのマークがはずれドフリー。幸いジャーンが直接ゴールへ打ち込まず緩いパスをヘッドで送ったのでピンチを免れた。
「なんでジャーンがフリーなんだよぉ!!!!」
まずい。絶対に気がゆるんでいる。
さらに、次のフリーキック。今度は距離も角度もある。
「絶対にジャーンをフリーにするなよ!」
「当たり前だぞ!ジャーン見とけよ!!」
と、声が飛んだが、飛んだジャーンに中沢が吹っ飛ばされて、身体一つ飛び出したジャーンは難なくヘッドを突き刺した。同点。
「あぁ・・・なんでジャ〜ン。」

ここで中沢は奮起する。珍しく中盤でボールをカットして、そのままドリブル。ミドルレンジから左脚のシュート。枠は捉えられなかったが、気持の見える積極的なプレーだった。これは良い中沢。しかし、責任感のためか、なにかと裏目にも出た。
左サイドから山なりのボールがペナルティエリアに入ってくる。中沢は戸田(偽)に着く。中沢の頭の上を超えたボールはワンバウンドでファーサイドへ。さらに波戸の頭の上を超えて阿部(偽)に押し込まれた。
「・・・・・・」
「なぁみんな、まだ負けたわけじゃぁないんだから。」
中沢と那須の負担は大きい。なぜなら、松田のポジションが変幻自在だからだ。髪型も髪の色も変わりキャプテンマークをつけない松田は、スタンドから見ると、どこにいるのか見失う。それをカバーするのはたいへんだ。守備的と揶揄されていた岡田監督のサッカーだが、こんなところに、攻撃的な姿勢が見える。
その後、中沢とエノテツの連携に微妙なすれ違いが起こる。それは、中沢の責任感が、いつもよりも過剰に働いていたからだろう。誰が悪いというわけではない。

東京のプリンスから日産プリンスへ。

それにしてもユキヒコは、もの凄い意気込みだ。ブーイングの集中砲火も納得。右サイドでガスの選手の後ろからボールをかっさらってドリブル。
「ホントはファールだぞ!」
「でも行け!!」
ペナルティエリア外に出てくる小沢のクリアボールがユキヒコに。ユキヒコがジャンピングボレーを少林サッカー張りに放つ。コースはあっていたが力無く届かない。派手な活躍だ。ファールあり、ドリブルあり、クロスあり。その後も、右サイドは大きく押し込むことが多い。

右のコーナーキックでは、ガスサポーターの至近距離ということもあって、一段とブーイングが大きくなる。
「うるせぇなぁ。病院が近いんだから静かにしろよ。」
「めんどくさいから、あっちに打ち込んで良いぞ!」
さらに直後にユキヒコは小沢と激突して警告をもらう。ここまでやればガスとは永遠に決別しても良いぞ。

倒れた小沢だが
「良い試合なのに、あいつが一人でレベルを下げてる。」(K林さん談)
キックが直接タッチを割ること3回。みごとにハットトリックを達成した。

前半はガスに逆転されてからはチャンスが少なくなった。ガスが慎重に守備を固めたからだろう。ボールは回るが前へは行かない。昨年を思い出させる展開。久保不在の影響だろう。中央に強引に切り込むことが出来ない。クサビが入らない。だが、それでも、ボール回しは昨年よりも早いし展開は大きい。これならガスのスタミナ切れも期待できそうだ。

前半は2失点したが、いずれもミスによりもの。展開の中で崩されたシーンはない。大丈夫。笑顔でハーフタイムを迎えた。

選手が出てくる。
「小沢ぁ〜冷え症かぁ黒の長ズボ〜ン!!」
「長ズボンって死語!」
「いや、小沢、長ズボンにゼッケンが入ってるのは羨ましいぞ!」
「小沢!獲るなよ!!」

開始早々に自陣でボールを奪われシュートを撃たれる。幸いエノテツの正面だったので事なきを得たが、ヒヤリとするシーンだった。しかし、決定的なピンチは、これだけだった。奥からのボールを遠藤がラインの裏で受けてニアサイドにシュート!同点。小気味よくつながったパスもシュートも美しかった。

後半は、全てにおいて圧倒した。

ユキヒコは再三裏に抜けてクロスを入れる。シュートも狙ってくる。
コーナーキックからは燃える中沢が、滞空時間3秒はあろうかというダイナミックなヘッドで強襲する。フィールドを叩いて悔しがる中沢。
「止めるな小沢この野郎!!!中沢がどんなに残念がってるか、お前わかるか!!?」
調子の出てきた中沢はダイビングボレーも放つ。競り合いでジャーンを潰すことも成功した。
ガスのラインは下がる。後半はあっという間にスタミナ切れ。そして、迫力の攻撃に恐れをなした。そうなれば、松田の暴君ドリブルも攻撃のアクセントだ。松田は、新鮮なシーンを見せつけた。コーナーキックのとき、それは発見された。
「松田が、中沢と那須を呼んでるぞ。」
「あっ!相談してる!!!」
3人はコーナーキックの度に何事か言葉を交わし、ペナルティエリアの外に一列に並ぶ。そこからバラバラのコースをとってゴール前に突入してくるのだ。
「よし!コーナーだ!!」
「よし!相談しろ!!」

K林さんが、急にマッチデープログラムを見せてくれという。
「あ〜なんだ、見慣れない奴が左にいると思ったら金沢浄だったのか。」
「なんかイマイチ馴染んでないよね。」
「右の石川も直線的すぎて、これだったらユキヒコの方が使えるな。」
「金沢浄(カナザワジョウ)かぁ。」
「金沢城?」
「左が金沢城か。よく考えろ。右は石川。」
「金沢と石川。」
「100万石の両サイド!」
「問題は中央だな。アマラオがいないと起点が無いから。」
「もしくは『加賀』見。」
両サイドは、たまに石川がライン際を突破してくるものの、ほぼ完全に制圧した。交代で入った安永がファーサイドからニアサイドにポジションを変えて走り込んでユキヒコから送り込まれた低いクロスにダイビングヘッドで合わせたシーンは、ゴール裏の7割くらいが、その瞬間に跳ね上がっただろう。安永がサイドで起点になって、さらに交代で入った坂田がニアで合わせるシーンも迫力があった。これは面白い。

だが、良いことばかりでもない。とにかくガタガタに崩した両サイドから攻めるが得点が獲れない。
クロスが入る。ジャーンが跳ね返す。
クロスが入る。ジャーンが跳ね返す。
クロスが入る。ジャーンが跳ね返す。
クロスが入る。ジャーンが跳ね返す。
クロスが入る。ジャーンが跳ね返す。
この繰り返しが退屈でなかったのは、ユキヒコとドゥのクロスが早くて美しい弾道だったから。だが、何度やっても、クロスが入る。ジャーンが跳ね返す。
しかし、安永と競ったジャーンが出血し治療のために外に出た。ここはチャンス。だが、攻めれない。そのうち、治療を終えたジャーンが頭を包帯でぐるぐる巻きにしてフォールドへ戻ってくる。
「いいかぁ〜包帯巻いてるのがジャーンだぞ!!ジャーンがいないところにクロスを入れろ!」
といった端からクロスをジャーンに跳ね返される。
「わかんねぇのかよ!!!」

これは勝てるゲームだ。

残り時間は僅か。ロスタイムは3分。果敢に攻めたい。だが、ゴールは割れない。こんなに攻めているのに。
「まだある!攻めろ!!」
ところが、逆襲を喰らう。ロスタイムの残りは僅かなはず。
「審判!終われ!終われ!」
「笛吹け!」
コーナーキックになる。
「蹴った瞬間に吹け!!」
「終われ!!」
コーナーキックをクリアしたところで試合終了のホイッスルが鳴り試合は終わった。

勝ちを失った感はあるが、充実の引き分けだった。
「いい試合だったぞ!!」
「来週は磐田をぶっ倒すぞ!!」
やや冷たさの残る3月の空気を震わせて、本家トリコロールの歓声と声援が駒沢に響いた。


  

しゃれたレストラン・カフェが建ち並ぶ、駒沢公園西側の公園通り。公園西口付近のレストランには、試合前に立ち寄るサポーターの姿も多く見られた。流行の「Dog OK」の店も多い。

  

沿道の店に劣らず素晴らしいデザインのスタジアム。東京オリンピックの会場だ。

 

今日のポイント

●よく動いた。守備にも活躍したマルキーニョス。
●崩されたシーンはなく、後半ガスのシュートは1本。
●那須の起用理由は松田のケアか。那須が下がって変則3バック状態も。
●松田のパスミスに「意味無いじゃん」コールのガスゴール裏。
●「女声」コールのガスゴール裏に一人で「天城越え」と対抗したK林さん。
 後半はガスゴール裏が沈黙。バックスタンドの子供達の東京コールが響く。
 「子供声」と揶揄したK林さん。


今日のお値段 

石井和裕

寸評:充実した90分間。面白い。ダイナミックなサッカーになってきた。
評価額:¥4700

ユキヒコ!ユキヒコ!ユキヒコ!
2000
遠藤の市原戦tい
800
どこにでも出てくる奥が復活
400
中沢ボンバー
200
安永ダイビング
300
長ズボン・ハットトリック
100
積極的な選手交代
200
クロスクロスクロス!!!
500
勝ち点1
200


奥田幸一郎

寸評:ここ5年で一番いいフットボールを見ました。それだけに勝って欲しかった。獅子奮迅の活躍で右サイドハーフはユキヒコで決まりでしょう。FWでもいいかもしれません。カフーが来たら外れるのは波戸になりそう。あのクロスは酷すぎです。マルキーニョスは計算できますねぇ。清水とタイプが被りますが。石川がドゥトラをあっさりぶち抜いたシーンは衝撃を覚えました。来年こそは絶対取り返せよ。
東京には原監督になってから4戦無敗。相性いいのかも。
評価額:¥3710

雨あがる
500
勝点1
300
意識の統一された小気味良い攻撃
1500
スーペル・ユキヒコ
500
波戸は正念場か
10
ジャーンはいつ観ても凄い
100
ファンタジスタ小沢
300
掘り出し物マルキーニョス
500


今野隆之

寸評:つまらない負け方を散々観てきたけど、今日は見所満載のドロー。これならメインスタンドでも高くない。哲也は課題ができたと思って前向きに捉えてくれ。
評価額:¥5000

次々と繰り出されるサイド攻撃
1000
その立役者、ドゥトラと由紀彦
1000
崩して奪った遠藤の同点弾
1000
惜しい! 安永のヘッド
800
奥とマルキーニョスの運動量
800
来週までに守備の相談もしてくれディフェンス陣
200
なかなか観やすい駒沢陸上
200


まるいたろう

寸評:右サイド左サイドうまく使って攻撃できた。なかなか楽しい試合でした。ユキヒコは調子が出てきたのか見ごたえアリ。
評価額:¥3300

ボール回しが速く、見ていて楽しかった
800
積極的な攻撃でモノにした1点目
500
キレ良いユキヒコのクロス
700
やはりドゥトラは巧い
500
よく動きまわるマルキーニョス
600
終盤、攻撃の相談をするマツ中澤那須
200


なかむ〜

寸評:シュートで終わる攻撃が増えたし、後半でも積極的な攻めが見れた。由紀彦のクロスはやはり見事。
評価額:¥3500

基本給+勝利給
500
遠藤好調時を思い出すゴール
800
瓦斯のお株を奪う由紀彦秒殺ゴール
800
安永の綺麗なヘディングシュート
500
献身的なマルキーニョス
300
久々登場の坂田
200
CKでシュートの相談をするDF陣
200
小沢とジャーン
300
雨上がりで花粉が飛ばなかった
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