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![]() J1リーグ 1st stage 第1節 ジュビロ磐田 『エコパに光る赤い目』 大規模なバスツアー、大渋滞を切り抜けてのドライブ、満員でデッキまでギュウギュウ詰めの新幹線、トリコロールのサポーターは三連休の初日にエコパに集まった。ゴール裏の大半を占拠し、歌い絶叫し乱舞した。歓喜(ジュビロ)は磐田のためのものではなかった。 道中で盛んに携帯電話に入る現在地。様々な交通手段で向かう。掛川駅前の喫茶店に行ってみると4人くらいのつもりがバラバラと集まったメンバー達はすでに10人。なぜかモーニングセットを食べていた。もう12時近いのに。ほかに、横浜インターの合流で偶然にも隣のクルマになった4人も、もうそろそろ着く頃だろう。すでにスタジアム内から電話をよこした者もいる。 「いやぁ〜久々に凄いところに来ちまったな。」 そう感じてしまうほど、周辺に何もない公園のエコパ。マリーシアマフラーをした仲間に続々と会う。5万人のキャパ以上の大きさを感じる。斜面も急で階段も多い。1階いも2階も見やすい。 ビジョンに磐田のイメージビデオが上映される。矢継ぎ早に流される数々のシーンは昨年のホームゲームの得点シーンばかり。だが 「なぜマリノス戦はないんだ!」 「正直に流せ!!」 「札幌とか広島とか弱いとこから点獲るシーンばっかり流しやがって、弱いものいじめのどっかの国みたいに嫌わるぞ!」 「なんだかファーストは優勝するような気がするんだよ。」 「え〜?またまた根拠ないこと言ってぇ。」 「何言ってんだよ。俺の話の方が、どっかの国の戦争する根拠よりも、よっぽど信頼性あるぜ。」 入り乱れる2階席。試合開始が近づくと、こちら側のゴール裏にも、どっと人が入ってくる。自由席はほぼ満席。磐田側の試合前のディスプレイのための風船を持った人たちもたくさんいる。 選手紹介。当然のことながらトリコロールのオーレの声。磐田側の奥へのブーイングはおもったより少ない。 山本へは大声援。それはトリコロールの2階席も。 「味方だぞぉ〜。」 A3での無様な大活躍はしっかりと見ている。 ヴァンズアムにも大声援。そして昨年の恩義は忘れていない。私たちは義理深いのだ。 前節で自陣満々。こんな磐田戦は久しぶりだ。というか初めてかもしれない。J昇格してきた磐田に、ホームで大敗を喫して以来、ずっと嫌なイメージがこびりついていた。 試合開始早々に主導権を握る。ボール回しに不安はない。ところがいきなりの西のファール。 「きたねぇぞ西この野郎。」 「今年もか!ふざけんな!!」 私たちは恨みも深い。周辺から冷たい視線がぎゅっと集まる。どうやら2階席はトリコロールの方が少数派のようだ。 山本は期待を裏切らない。 「枠に撃てば入るぞ!」 「とにかく撃て!」 「撃て!!」 「シュート!!」 本当に入った。 「うぉ〜!!」 「まじ!???」 遠藤のミドルがネットを揺らす。 再びキックオフ。ボールを奪い攻める。 「行け!撃て!」 「山本だ。枠に撃てば入るぞ!!」 「撃て!!!」 本当に入った。今度はユキヒコ。跳ねた。暴れた。少し走った。急斜面の2階席揺れた。花粉ですでに充血していた赤い目に、少し嬉涙が浮かんだ。 「行け!相手が浮ついている今のうちにもう一点だ!」 磐田は両サイドのアタッカーが押し込むと攻め手がなくなる。藤田と西を封じればよい。しかも、今日は中山が不在で、中央の前田は、そこそこながら、決定的なチャンスに飛び込んでくる迫力はない。 だが2点のリードは僅かだった。ペナルティエリアの角で、なぜか松田が躊躇して抜かれて撃たれたシュートが入る。 松田の不安定な守備。おかしい。どうしたんだ? 「試合前の花束贈呈のときに言われたんじゃないか。『アメリカ行くかもしれないから、そのつもりでいろよ』って。」 「それじゃ、試合に集中できない。」 って試合に集中できない会話が出来るくらいに、この失点だけなら余裕があった。 だが状況は一変する。同じ左サイドからの攻めに屈する。というか自滅。エノテツのが前に出かけて下がる。エノテツが獲ると思われたボールはキープの主を失う。さらわれる。撃たれて失点。 「もっと声を出せよ。」 波戸が大きなゼスチャーでエノテツに駆け寄る。 1階からエノテツへ大コール。2階からは大声援。 「自信持って行け。」 「大丈夫だ!思いきって行け。」 「心配するな。少なくとも山本よりは間違えなく上手いから。」 1点目はともかく、この2点目は重かった。 試合の主導権は磐田に移る。両サイドは逆に押し込まれる。藤田を起点にグラウや前田が絡む。西のドリブルも切れる。ピンチの連続。辛うじて返す。その繰り返し。中沢が支える。どうしても押し返すことが出来ない。 「上野と那須は比べれば、始発駅と途中駅くらいの違いがある。」 それはナビスコの開幕戦でのK林さんの言葉だ。那須がディフェンスラインの前でボールをカットしたり、ボールを持った選手と対面してコースを切ったりすることが出来ない。誰かがサイドでボールを奪っても囲まれてボールの出しどころがない。ボランチがもらいに動くべきだが、その動きがないため、まっすぐ下げてピンチを招く。大きく蹴り出して奪われる。 「那須を代えろ!」 その声は大きかった。だが反論もある。 「ここで那須を代えたら岡田監督の戦術を開幕戦で放棄することになるじゃないか。」 那須は完全にディフェンシブにスペースを埋める役割であって、上野とは求められていることが違う。上野が、今の那須に求められていることをするのは、さらにリスキーだ。松田やドゥトラが前のポジションに上がったときは、最終ラインに那須が必ず入る。今の戦術では、最終ラインで守れる選手しか、あのポジションは出来ないのだ。 攻めの意識が強く、奥や遠藤が前に行きすぎると、ディフェンスラインの前にぽっかりとスペースが出来てしまう。だから、ディフェンスラインで押し返したボールは、ことごとく磐田の手に渡る。 前半の反撃は散発だった。 ペナルティエリア内でユキヒコが後ろから山本に倒される。山本は必死に延ばした手でボールに触れたため反則にならなかった。しかし、潰されるユキヒコに場内騒然。 「PKだろがぁ!!」 「ファールだろ!」 「山本退場だ!」 「でもPKだとしても山本が退場になると味方が一人減るぞ。」 「いや、そしたらヴァンズワムが出てくるじゃないか。」 選手はこちら側のホーム寄りコーナーの方向を戻って通路からドレッシングルームに戻る。まだ同点だ。悲観することはない。メインスタンドにもマリノスサポーターが多くいる。大歓声で向かい入れる。 監督の指示が効いたのか、完全に立ち直った。 後半開始から吹っ切れたように攻める。右サイドの攻めが効果的。完全にかわしてえぐるまでは行かないが、主導権は握っている。押し込んでいる。中盤では前後の選手が囲んでボールを高い位置から奪えるようになる。マルキーニョスや久保も守備を怠らない。こなれば、また再び、サイドの制圧が出来る。 「どうしたんだ松田。すっかり立ち直ってるぞ。」 「きっとハーフタイムに『行かないことになったから。』って聞いたんじゃないか?」 スタジアムに来ていたジーコは本当に試合中にアメリカ遠征中止を聞いたらしい。 またしても右。クロスを遠藤が流す。そこへ奥!!! 遠藤のところへボールが来たときにトリコロールのサポーターはホップ。タイミングをスカされて、さらに奥でステップ。ゴールに入ってジャンプ。 奥の過剰なガッツポーズ。ゴールの中からネットを揺らす。昨年の2回国立での磐田戦でも見たシーンだ。98年のイエキニ・スタイル。 磐田のサポーターから、こんなことを聞いた。 「国立で磐田のオウンゴールの後、ゴール裏に向かってガッツポーズしたとき、ああいうことができる奴なんだと心底びっくりした。僕ら、本当に彼から嫌われてたんだなあとあらためて思った。」 そう、奥とトリコロールのサポーターは相思相愛だ。 「アメリカにもイラクにもない正義は岡田にある。」 「それも怪しいけどな。」 緩やかな基準で決してカードを出さないように、と配慮しながら試合を進めていた岡田正義主審だが、いつものように、後半は荒れ気味になる。緩いので、お互いにファールが見逃される。磐田は後半にリードされると、極端にバックチャージが増える。この日も連発のシーンがあった。すると、報復に行ったのは奥。後ろから蹴りに行った。無意識かもしれないが、明らかに間に合わないタイミングで脹ら脛に蹴りを入れるタイミング。幸い相手が倒れず笛は鳴らない。倒れればカードだった。ナビスコのユキヒコといい古巣には手痛いお返しをするもんだ。 リードしても落ち着かない。それは岡田スタイルかも。 例年であれば、一安心して試合が停滞する。守備的な選手を入れて逆に追いつかれる。どうやって点獲るんだよぉということになる。だが、この日は、明らかに違った。もう一点を獲りに行ったのだ。右サイドは完全に制圧した。攻め込めば一気に最終ラインまで行ける。そこにいるのは山西。成すすべがない。山西は必ずファールで止めた。 「山西、お前のサッカーにボールいらねぇだろ!」 またまた右サイドから。今度はマルキーニョス。ユキヒコは右と見せて裏をかいた左脚でのクロス。ゴール!!沸き立つトリコロール。奥がゴール裏まで来て、これまた過剰なガッツポーズ。間違えない相思相愛。 「見ろ!久保が、あんまり喜んでいない。」 「久保が焦り始めたぞ。久保に集めろ。」 久保の動きが激しくなる。ボールを積極的に奪いに行く。ゴールはないが、得点期にはかならず経由しているしおとりにもなっている。 「久保!行け!!!」 副審のアピールで西にカードが出た。この日も汚いプレーを連発していたが、突然の警告。 「なんで?」 「どうして?」 「グラウに交代で川口が入ってきたのに、なんで俺がサイドのポジションのままなんだ馬鹿野郎。とか副審に暴言でも吐いたんじゃないか?」 「自分で出たのに審判の許可無く勝手に入ったからみたいだよ。」 「行け!久保!!」 だが、久保にゴールはなかった。試合終了。 「本当のストライカーは0-0とかの苦しいときに点を獲るヤツだ。こんな試合で点を獲らなくても関係ない。」 とはMの意見。 「松田!嘘つき!3-0で勝つって言ったじゃないか。信じて買ったtotogoalどうしてくれるんだぁ!」 声の主・K林さんを見ると表情は崩れそうな笑顔だった。 ![]() (左)偶然、横浜インターで同時に本線に入ってきたメンバーのクルマ。 (中)約束していたわけではないが、喫茶店は、ほぼ貸し切り状態に。 (右)ワールドカップ記念碑。 ![]() (左)風船のディスプレイで選手を迎える磐田側。 (中)弁当。 (右)好戦派。この男が歩くと道が空く(本当は花粉対策のマスク)。 ![]() (左)怪しいハイテンションのバスの中。 (中)やった!!! (右)やった!!!! ![]() 今日のポイント ●しっかり立て直した岡ちゃん采配。 ●山本をかわすもボールはゴールラインも割る。あぁこの瞬間が清水だね。 ●負けか引き分けなら最悪の失点だが、勝ってみればダメージのないミスの失点。 ●西、福西、山西、西野、勢揃いした西組。どれもダメだった。 ●ジュビ絵ちゃん異様に女っぽい仕草。 ●だいぶ負けになれてきたムードのスタンド。 今日のお値段
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