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![]() J1リーグ 1st stage 第3節 読売 『10年後の大勝』 私たちの目標はいくつかある。もちろん全てのタイトルを取ることが出来ればよい。リーグがダメなら歴史を積み重ねてきた天皇杯を獲ればよい。それがダメなら、最低限、読売と鹿島に4つ勝てば、まずまずのシーズンだったといえる。だから、このゲームは、普通のリーグ戦の一つの試合とは違う重みがある。「伝統の一戦」はマルキーニョスの鋭いシュートで始まり、意外にも清水の流し込んだシュート2本で終わった。 試合前の選手紹介で読売の控え選手の紹介が始まったとき、スタジアムは静まった。読売のゴール裏に観客が少ないのも一因だが、他にも理由はある。 「知ってる選手を出せよ!!」 「わからねぇから飯尾以外は自己紹介しろ!!」 ベストメンバーのトリコロールに対して、明らかに駒足りない読売。だいたい高部ってのはどこの誰なんだ。登場した武田に対して拍手と声援が飛ぶ。 「お前がでろ!!」 そして、大型ビジョンには盛り上がって応援する緑色のサポーターが画面一杯に映し出されているが、そのすぐ下にはすかすかの現実がある。 「CNNよりも酷いな。」 明らかに実力に勝る試合を落とすことはトリコロールの伝統だ。選手もサポーターも、すぐに油断する。そんな色に染まっていないマルキーニョスがシュートを放つ。 「よし、これなら行ける!」 と感じたのは序盤戦。その時間は長くは続かなかった。のらりくらりと読売のゆっくりとしたペースにゲームが低調になっていく。磐田戦で見せたような前へ前への勢いがなくなる。フリーの久保がファーサイドで放ったヘディングシュートは初得点を予感させたが、叩きつけることが出来ずに手頃な高さでゴールキーパーのほぼ正面に飛んだ。これでは、なかなかペースを握れない。 「もっと前だよ!」 「そこじゃダメ!」 「弱い。もっと強く!」 那須への厳しい指摘はK林さんから飛んだ。だが、それはポジションではなくパス。今日の那須は、バックラインが追いつめられたときの出口としてパスを受けに行けている。一節、二節の課題はクリアしていて、K林さんの指摘するカ所もレベルも、いつの間にかステップアップしていた。次は攻めの起点だ。 読売にボールを奪われることが目立つようになる。だからといってピンチがあるわけでもない。読売らしい中央での無駄なパス回しは2回ほど。あまり脅威はない。脅威といえば、それよりもむしろ読売のディフェンスだ。両脚を上げての斜め後方からのタックルを度々見舞ってくる。警告基準の緩い山西さんはカードを出さず、イライラが募る。前々節では、大量のカードを乱発してゲームを壊したと、柏原さんが名指しで批判されていたが、今日のゲームを見れば、むしろ原因は読売の選手達にあったのではないかと思える。それくらい危険なファールが多かった。ただ、同時に闘志あふれるプレーでトリコロールに挑んできたことは確かだ。 攻めに出ようとすればファールで切られる。得点源のマルキーニョスは負傷退場する。攻めてもシュートが撃てない。ロスタイムに入り、一部の観客がトイレへ行くことを考え始めていたその時に、左からのドゥのクロスに身体を倒しながらショートバウンドのハーフボレーで叩き込んだ。鋭く腰を回して右のサイドネットをパサ〜っと揺らす。久保の移籍初ゴール。待ちに待ったゴール。しかも、トラップすれば撃てなかった難しいボールを直接決める難易度の高い美しいゴール。跳ねた跳ねた!拳を突き上げて跳ねた!! 「なんてカッコイイんだ!!」 「良くやった久保!!!」 最高の気分で前半を終える。 今年のゴール裏はやってくれるぜ。 負けないということも原因だろうが、ゴール裏の雰囲気が良い。プレーに対する拍手が気持ちよい。そして、今日は後半開始前にワンポイント。トリコロールが準備万端で待ち受けるのにもかかわらず、なかなかでてこない読売の選手達。我慢できずに太鼓入りで起こったコールは「出てこい読売!!」。10代20代が多いゴール裏のサポーター達が、しっかりと、日本リーグ時代からの伝統の精神を引き継いだ証だ。ライバルを作り遺恨を噛みしめる。そして、相手を打ち破ってこそリーグ戦だ。 後半は読売が得点を獲りに前に出てくる。際どいシュートを間一髪エノテツが跳ね返す肝を冷やすシーンも。だが、大半の時間は、逆にトリコロールにスペースを与えただけだ。自力の差は明らかになる。中沢が攻撃に絡むコトも増える。シュートは惜しくもクロスバー。 不安があるとすれば、マルキーニョスの穴が埋まるかどうかだった。 おそらく肉離れであろう。だとすれば、しばらくは欠場するかもしれない。久保がゴールしたとはいえ、今後を考えると不安がある。代わりに登場した清水は絶好のチャンスに左脚でシュートを放てば良いところを、右脚に持ち替えたためにシュートが撃てないという痛恨のミスをしてしまった。 「う〜ん、またしてもか。」 「やはり・・・。」 クロスが入るが久保に合わない。マルキーニョスが消えて読売のディフェンダーは久保へのマークを集中した。こぼれ玉が清水に流れてくるのだが、高いボールは清水には荷が重い。 「あぁ清水がでかければ・・・。」 ポジションは良いのだが届かない。どうしても上手くいかない。思い切ったプレーがなくなり安全策に。 「あぁ清水・・・プレーまで小さくなるな。」 読売はバックラインを高くする。取り残された久保がポツンとオフサイドポジションに立ちつくすシーンも増える。 「これだけ攻めて1点しか獲れないのはまずいな。」 「そろそろ獲っておかないと、何か起きても不思議でない。」 ずっとそうだ。押していても膠着状態が続くと、読売はキッチリ得点してくる。悪い思い出ならいくらでもある。そんなムードの中で、松田がバックラインから左脚で浅い読売のバックラインの裏に山なりのボールを送る。オフサイドポジションに久保がいる。ボールは久保の方向に。しかし、久保の頭上を抜けていく。オフサイドか?いや、久保はプレーに関与しない。走らないし、なにより、正真正銘、あの風貌で、ぬぼっと立っている。これであれば、いくら近くにボールが来ても山西さんもプレーに関与とは認識しない。そうだ、オフサイドポジションにいた久保は罠だったのだ。オンサイドのポジションからボールを追う清水。慌てて読売のディフェンダー達も追うが、清水には追いつかない。ドリブルしてペナルティエリア内に進入。かわすのか、浮かすのか、それとも撃ち込むのか。ギリギリのタイミングでコースを変えてゴールに流し込んだ。 「うわぁ〜!!」 「おぉ〜〜!!!」 今度も大暴れだ。スローモーションのように時間をかけて見守ったかのような錯覚。早回しのような喜び。 「よし!清水、よく決めた!!!」 「これで行けるぞ!!」 「おいおい3番!」 「どこにいるんだ!!」 「ヤバイ、奪われたぞ。」 「松田はまだ前にいる。」 「戻ってくる。全速力だ。」 「追いついた。」 「身体能力!!!!!!」 エムボマとの身体能力対決は見れなかったが、自らのアシストでゴールが生まれたこともあって、松田の動きが激しくなる。ドンドン前に出てくる。ライダーキックも炸裂。これで安心だ。普通のトリコロールに戻った。 またしても清水。こんな展開は誰も予想しなかっただろう。 先ほどのゴールと同じだ。オフサイドラインギリギリから抜け出してドリブル。今度は右隅。ポストにかすってゴールに入った。 「いいぞ清水!!」 「1年分のゴールしたぞ!!」 さらにはハットトリックのチャンスまで。終盤に来て、もう久保のゴールは遠い過去。清水の予想外の活躍に興奮する。 中沢の惜しいヘッドもあり、なによりも危なげなく試合は終了。ご丁寧に読売は、試合後にダイジェスト映像を投影してくれる。流れるのは、もちろんトリコロールのゴールばかり。ボールがゴールに転がり込むたびに、トリコロールのゴール裏からは拍手と歓声が沸き起こった。 ![]() よく入ったマリノス側ゴール裏。バックスタンドも大半がマリノスの応援だった。 試合後はみんな上機嫌。 今日のポイント ●読売には伝統のカウンターサッカーだった。 ●前半は波戸のところにボールが行くと昨年のようなペースになっていたのが気になる。 ●マルキーニョスが抜けてから久保がサイドに流れなくなり、久保にチャンスが多く巡ってきた。 ●ファールが少なく警告もナシ。 ●ライバル相手に苦しいときにゴールしてこそストライカー。 ●『おまえの大事な宝物奴らから取り戻せ』。読売の謎のメッセージ幕。 ●200勝達成。平松の記録に、あと1勝。 今日のお値段
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