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![]() J1リーグ 1st stage 第6節 名古屋グランパス 『次節をさがせ』 リーグ戦でのスコアレスドローっていつ以来だろう。おそらく1992年3月22日。最後の日本リーグの最後の読売戦、国立競技場での試合以来だ。試合開始前から「引き分けじゃないの?」という予想の声が挙がり、試合開始後15分で「まったりとした引き分けペースだ。」という感想。おそらく24,000人の観客の何割かは予言者になれる。 温かな日差しに誘われて当日券が伸びた。予想を超える24,000人の観客は、この試合を楽しめたのか。ノーとは言えない。目指すサッカーの片鱗は戻ってきたし見せ場もあった。名古屋のデキが噂以上に酷すぎるということもあるが、ギリギリの体勢で放ったウエズレイらのシュート以外には際どいシーンはなかったわけで、トリコロールの強さが戻ってきたかのような印象もある。そしてなにより、市原はこの日も5-1で圧勝。チェ・ヨンスは2試合連続のハットトリックだというではないか。前節は相手が上だったと思えば、それほど悲観的になる必要もない。事実、「名古屋は年間最多引き分けの記録樹立を狙っているのではないか?」という冗談が飛ばせるほどの余裕の観戦だった。 マルキーニョスが戻ってトリコロールのサッカーが元にも戻ってきた。ボールが前へ的確に動くようになる。ドゥトラは前節いきなりの失点で正確性を欠いていたプレーが多かったが、ドリブルも切れ切れで復調。さらに那須だ。チャンスの芽を潰すだけでなく、前半は攻撃の起点としても見事なタイミングで小気味よくパスを送りだした。 「那須は一試合ごとに成長しているな。もう、那須から、そろそろ宇都宮あたりまで来ているよ。もう少しすれば上野を超えるな。」 「そんなコトしてるうちに上野が仙台に行っちゃったりしてね。」 市原戦に続いて試合全体のテンポは悪い。 それはミスが多いから。ただし、そのミスの過半数は名古屋のミスだ。パスが繋がらない。ウエズレイは孤立しているからパスのだしどころが無く、前を向かせないように押さえていれば、ズルズルと後ろにドリブルしていく。そして藤本は、まったく効果的に絡んでいない。引き分けばかりなのがわかる。 「でも、名古屋にはウエズレイの一発があるんですよ。だから油断できない。一発があるから0-0でなくて、最終的には予想は1-1。」 「ただ、全盛期のリック・フレアーのような試合運びだな。」 前半に見せ場を作ったのは久々にドゥトラ。 ロベルトカルロスほどではないものの、ドゥトラのキックも威力はかなりある。そのシュートがパナディッチの脇腹に当たる。あれは痛い場所だ。ボブサップが最初にダウンしたときにパンチを受けた場所に近い。ペナルティエリア内で倒れるパナディッチ。大男が身体をくの字に曲げて痛がる。少し時を置いて立ち上がる。再びドゥトラとパナディッチが同じような場所で相対する。 「撃て!」 シュートなのかクロスなのか。今度はパナディッチは吹っ飛ぶように後ろに倒れた。またしてもダウン。先ほどはボディ、今度はアッパー。見事に撃ち分けたコンビネーションだ。あまりの見事なヒットに場内が笑いに包まれるほどだ。強烈な一撃。だが、それは、至近距離からのボールに逃げずに向かっていったことの証でもあるのだが。 「あと一発でKO勝ちだ!!」 前半最後の見せ場は久保。フリーで放ったヘッドは惜しくもファーサイドのポストの外。狙いすぎだ。惜しいがフリーだったので決めなければならないシュート。すでにリーグでは5点は勿体ないことをしている。 後半はますます危なげない展開に。 特に立ち上がりからは完全に主導権を握る。シュートが枠に行かない。 「やっぱ引き分けだよ。」 ところが、必ず悪い時間が生まれるもので、名古屋攻勢の時間がやってくる。その流れを断ち切ったのはエノテツだ。思い切った飛び出しでピンチを逃れる。中には結果オーライの危ないものもあったが、ペナルティエリア内を支配していたことは間違えない。 その後には決定的なチャンスが2度やってくる。まずはカウンターからユキヒコが中央の奥へ。奥はシュートしたかったがパスが不正確でトラップが精一杯。その止まったボールに後ろから走り込んできたドゥトラがシュート。ボールは楢崎のの正面。パナディッチを2度のダウンに追い込んだドゥトラのシュートだが、ミドルレンジからの距離では楢崎を倒すことは出来なかった。 次はドゥトラから逆にユキヒコへ。至近距離のボレーに飛び込んだ楢崎が防いでゴールを割ることが出来ない。 「いやあ凄い。」 「これは勇気あるプレーだ。敵ながら凄い。」 「楢崎っぽくない飛び出しだった。」 立ち上がった楢崎にアウエーながら拍手が贈られる。 マルキーニョスが下がるまで、時々ではあるが磐田との開幕を思わせる攻撃のリズムを発生させた。久保の動きが万全でなく市原戦よりもキレがなかったが、中央でボールが持てる怖い選手がいるとサイドのスペースも空いてくる。だからドゥトラも活きた。もう少し久保の動きにダイナミズムが戻れば、ユキヒコや奥、遠藤が、代わる代わる前線に顔を出す流動的な攻撃が蘇るだろう。久保が復調しなければユキヒコも突破するためのスペースが少ないし、パスを出そうとしても久保の動きが重ければタイミングも合うまい。終盤のコーナーキックはニアサイドの絶妙のボールだったが久保が動かなかったために楢崎が簡単にキャッチ。あれではユキヒコのミスキックに見えてしまう。 凄い誤審もあったのだが。 波戸のクロスがゴールライン付近から上がる。余裕のあるタイミングだったが、ふわりと山なりのボールはカーブがかかるわけでもなく楢崎の頭を越えてファーサイドへ。前へ少し出ていた楢崎とゴールの間の上空をボールは通過する。そこでホイッスルが鳴る。副審はゴールキックを差している。 「おいおいでてないぞ!!」 「全然出ていないじゃないか!!」 副審の判定はスタンドからはわかりにくい。だから文句を付けにくいものである。だが、上空からボールとラインを一直線に見下ろせて、しかもゴールラインの延長線上に近い位置にある私たちの席は、副審が下にあるラインと上空のボールを同時に見るよりは間違えなく正確なはずだ。 「けど、ろくなクロスじゃないし大勢に影響ないぞ。」 ということなので、みな真剣には怒っていなかった。 それよりもまずいのは波戸だ。そのクロスが象徴的だったが、とくかく緩い山なりのクロスは美しくも正確でもない。タテへのドリブル突破もない。ユキヒコとの攻撃的なコンビネーションにキレがない。抜かれた後で追いかけられない(あのエスパルス戦で後ろから追いついてアレックスを封じ込めたのはわずかに数年前だ)。練習場では腰を押さえるなどの不安がある波戸の本当の体調はどうなのだ。無理をしているのではないか。代わりはいないのか。もちろんカフーの名前は禁句だ。 お互いにあまり無理をせずに終わる90分間。予想と覚悟通りの引き分け。勝ち点を失った感もあるが、市原戦と比べれば内容は遙かによい。心配がまだあるとすれば、ファミリージョインデーの入場無料で多数来場した子供達が、ゴールのない試合を楽しめたかどうかということだ。彼らが再びスタジアムへ帰ってきてくれるかは、次節の鹿島戦にかかっている。本当は強いが運悪くスコアレスドローの試合を見てしまったのだ、と思ってくれればよい。 選手達を見送り駅へ向かう。 「じゃ、つぎは鹿島国でね。」 「パスポートと日の丸忘れるなよ。」 今日のポイント ●無理しないプレーに徹した松田。僅かな攻撃参加も効果的なクロスを入れて見事。 ●やはりマルキーニョス中心攻撃チームだった。 ●名古屋は組織力無く不注意でのオフサイドも多かった。 ●ピクシーナシの岡山に存在感すらない。 ●ノリノリのドゥトラは右脚のミドルシュートも放つ。 ●動きに無駄が多すぎるためにボールが来ない坂田。 ●久々に出た「秘技・鈴木ハンド」。 今日のお値段
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