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![]() J1リーグ 1st stage 第9節 柏レイソル 『黄色い太陽に討たれる』 結果は完敗に見えた。だが、振り返ってみよう。南が超人的な好セーブで止めたシュートは3本。ジャストミートせずに止められた久保や坂田のシュートも数本。後半開始直後からの猛攻が実ってさえいれば、試合展開は大きく異なっていただろう。3-1の得点差、11-10の人数差を感じさせない興奮がロスタイム終了までスタジアムを包み込んだ。 日立台の試合は久しぶりだ。耐用年数を過ぎた仮設スタンドに戻ってくることは、もう無いと思われていた。移転が難航し、またこの、ディアスが来日初ゴール(プレマッチ)を挙げたサッカー専用スタジアムに戻ってくるとは予想外だ。柏は好調。だが、柏の葉でのナビスコのイメージが強く、組みやすい油断があったことは否定できない。 試合開始前の選手紹介。柏の葉での「きもい」コールが効いたのか、子供の笑い声や妙なコールはなく、 いささか日立台にしては静かなスタート。ゴール裏は超満員(ウルトラのエリアに余裕があったのは気になるが)。 柏のゴール裏からトラメガで飛んでくる声。バックスタンドとメインスタンドへ呼びかけている。 「両サイドのお金持ちのみなさま・・・。」 ゲームが始まる。展開が早い。予想外だ。これは苦戦必至。高い位置から柏がアタックを仕掛けてくる。ジュシエを加えたブラジル人トリオはブラジル人らしからぬオートマチックな連携で守備から攻撃に転じる。激しい試合になる。本来ならば細かい局面での対決を回避し、得意のサイド攻撃につなげたいところ。だが、右サイドがいない。もちろん停止の2人がいないということなのだが、それにくわえて、この日は清水が完全に右に張るよりも左にも再三顔を出し、右サイドは捨てた状態。逆に安永は左のタッチ際にまで開いてボールを待つ時間が多く、久保は孤立。久保に当てて、落としたタマを奪われる。ダイナミックな展開が見られない。 「あぁ〜プレーがちっちゃいなぁ。」 あきらかに、このままの展開ではダメだという雰囲気。 このいつもとの違和感は、プレーそのものが大きく異なっていたからなのか、選手の顔ぶれが違っていたからなのか、それとも、いつもの巨大スタジアムとは違う距離感に首を振ってボールを目で追わなければならないことからなのか、とにかく、思い通りには行かない試合だ。 さらには遠藤の負傷。治療の間にジュシエの技ありシュートで失点する。 ハーフタイムを終える。エノテツを柏のゴール裏中央「オバカ系」サポータ達が待ち受けていた。最前列に集まり、何事か、思い思いに仕入れてきた言葉のネタを背後から浴びせかけようとする。エノテツはゴールラインからは遠くペナルティエリアギリギリのところに立っている。そして試合開始。サポーター達はしかたなく席に戻っていく。 それにしても、柏サポーターの持ち味はJリーグでもナンバーワンだ。選手紹介は静かだったとはいっても肉眼で確認できただけでも2つの大きく「の」の字を描いて回転する生尻を確認できた。マリノスの選手が目の前に来るたびに階段を駆け下り、最前列で言葉を浴びせ、マフラー振り回しフェンスを叩く。 この光景は大いに楽しめた。なにしろ、これはスタイルであって、大きく意味を持つものではない。個々のプレーに反応してなにかアピールするといったものではないのだから。 後半は怒濤の攻めから始める。 何度も好機が訪れる。シュートはゴールを襲う。左サイドに開きすぎていた安永を意識してか清水が左のトップの位置にポジションをとることが多い。これで、自然に安永は前半よりも中のポジションに収まる。久保を中軸に周囲を回る指示があっただろうとはいえ、前半の安永は極端すぎた。 遠藤に代わって起用された大橋も見事なクロスとフリーキック。あとは久保が決めるだけといった素晴らしいボール。それが3連発。 これならば追いつけるというムードが暗転するのは油断だった。 セルフジャッジで瞬間の空白。しかしボールは出ていない。逆サイドに振られたボールを前へ送って長い距離にも関わらず見事にコントロールしてゴールを奪ったのは谷澤。沸き立つスタジアム。メインスタンドも総立ちになる。 「ただいまのゴールはタニザワ・・・。」 なんてとだ、ホームスタジアムのナビゲータにも名前を覚えられていない若手にゴールを決められた。これは、三ツ沢で顔写真が用意されていなくて選手紹介の写真にトビ丸のイラストを代用していた前園にゴールを決められて以来の屈辱。だが、シュートは見事すぎる。ここは、しかたない。拍手しておこう。 ここで岡田監督はすぐに動く。佐藤一樹の投入だ。前半から攻め手の少なかった右サイドを逆に起点にするため。これで、ユキヒコ+波戸と同じように大橋+一樹が揃う。ところが一樹はファーストタッチでボールを戻してしまう。すると岡田監督に呼ばれる。 「勝負しろ!」 日立台のゴール裏は危険。それを忘れて飛び跳ねる。 一樹のアーリークロスに久保が飛ぶ。「届かない!」と思ったその背後に飛び込んだ坂田がヘッドでボールをゴールに叩き込む。 轟音が響く。足元にあるのは金属の仮設スタンド。みなが一気に跳ねる。ここまでの好機のひと跳ねとは違う。何度も何度も飛び跳ねる。そして拳を握りしめる。まさに目の前で起きた出来事に叫ぶ。 「いける!追いつけるぞ!!」 気持の空回りとは、まさにこのこと。 1点を返す前くらいからだろう。松田のポジションが前になる。1点差になったところで、ほとんど最終ラインにはいなくなる。だが、松田がボールに絡むことはほとんどない。目立つのは抗議やファールや、相手を突き飛ばすシーン。松田は最終ラインを離れている。だが、その行き先は中盤の底くらい。奥や那須がいる場所。ボランチは前がかり。那須はいつもよりも前の位置で攻撃のアクセントになっている。そのポジションを埋めるのは悪くはない。だが、問題は後ろだ。クロスを入れるためにドゥトラは、当然ながら最終ラインにいられない。右は波戸ではない。MF登録の攻撃的な選手の一樹なのだ。 最終ラインに松田と中沢がいるときは柏はワントップに近いが松田が不在となると2人を上げてくる。だが松田は下がらないので、これではたまらないと那須か一樹が下がってくる。だから、松田が上がろうが下がろうが、攻撃の枚数は変わらないのだ。むしろバランスを崩すばかり。 「松田!いい加減にしろ!!お前がそこにいるから一樹が前に行けないんだよ!!」 那須が松田にポジションのチェンジを呼びかけるシーン。松田は無視する。一樹に「もっと上がれ」という松田。頷いて前へ走り出す一樹。だが、それよりも前へ行ってしまう松田。仕方なく最終ラインに戻る一樹。そんな不安定なポジション変更が頻繁に行われる。その合間に3失点目は起きた。一樹の戻りが遅れたことを攻めることは出来まい。まさにレイソルは狙い通りにトリコロールを討ち取ったのだ。 2点差になるが、あまりに試合そのものが不安定だ。これならば、追いつくことも不可能ではない。何があるかわからないムードが蔓延している。中途半端な松田のポジションを解消するために、岡田監督は右にいた大橋を中央のボランチのポジションに入れる。ここは長く松田が居座っていた場所だ。自動的に松田は前線へ行くことが多くなる。ターゲットは松田と久保。どうせ前に上がるのであれば、この方がよい。ただ、最初からこうしていたとして、得点できていたかというと、それも疑問だが。 動きの止まらない激しい試合は終止符を打つ。首位戦線に殴り込みをかける勝ち点3を得て、柏サポーターは大声援で選手を称える。勝利の試合後にかかる曲が雰囲気を盛り上げる。 トリコロールの選手達も拍手で迎えられる。その中に響く声。 「松田!サッカーは一人では出来ないぞ!!」 今日のポイント ●些細な判定ミスは別として激しい試合をコントロールした主審の高山さん。 ●ナビスコでは連敗で監督解任を要求していた柏サポーター。 今頃、フロントが早まらなくて良かった、と思っているに違いない。 ●意外なことに選手紹介の時、拍手一つ起こらないメインスタンド。 ●守りは無難にこなした三上。頑張りに声援が飛んだ。 ●左脚のミドルシュートが多かった奥。精度は今ひとつ。 ●右サイドは不慣れな印象のコンビネーションだった大橋。次もチャンスがある。 ●退場する選手にコールのトリコロール側。退場してくれる選手にコールの柏側。 今日のお値段
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