maliciaのプロフィールはこちらへ
![]() J1リーグ 2nd stage 第8節 ガンバ大阪 『きつい進撃』 ゲーム開始前に、1人のメンバーが持ち込んだJリーグチップスが配られた。1人1個以上ある。ちょうど、選手が入場しようかというときに、一斉に袋を開けて香がする。そこに、K林さんが割って入った。 「みんなさぁ、ずっと応援し続けてるんだから、こんなタイミング食べようとしちゃダメだ!かならず膠着状態になるんだから、その時に食べなくちゃ。しかも、今日はホームのガンバ戦だぞ。」 アウエーでは酷い目に遭う、ホームではつまらない試合か、木っ端みじんにやっつけるかのどちらか。ガンバ戦に追いつ追われつの好ゲームの印象はない。 最後の日産・永山の150試合出場には絶大な賞賛の拍手が贈られた。そして選手が試合前にピッチに入ったとき、もっとも声援が大きかったのは柳想鐵だった。意外なことに、この日、復活を遂げた松田以上の人気。浦和戦、清水戦での活躍は深く記憶に刻み込まれている。右サイドは、柳とユキヒコで制する。左サイドはいつものようにドゥトラが。両サイドさえ押さえ込めばガンバに得点期はない。中央に松田と中沢、さらにはナスと柳がいたとしても、マグロンへのクロスに依存してばかりだからだ。 マグロンと中沢は何度も激突した。 ハイレベルの空中戦の大半は中沢が制する。あっさりと競り勝つ場面もあれば、頭と頭をぶつけて倒れる場面も。前半に長く倒れたのはマグロンだった。 「痛くないだろ、そんなの。」 「マグロだから寝てるんだよ。」 先制は最も身体能力の高い男の技術で。 高く飛んだヘッドが見える。バックスタンド2階からだと、がら空きのゴールマウスに吸い込まれていく弾道がよく見える。ネットを揺らす前に、大半のトリコロールのサポーターはゴールネットが揺れる景色を思い描く。立ち上がり歓声を上げ跳ねる。座っていたほとんどのひとが、一斉にゴールの前に立ち上がったのだ。場内に響く「ゴール!」の絶叫。だが、それはオフサイドだった。一斉にガックリと座る。 「畜生、オフサイドか。」 「良いヘッドだったのにな。」 「それはそうと、このスタジアムナビゲーターがオフサイドでゴールって絶叫したのは今年何度目だ?」 しかし、すぐに歓喜の場面はやってくる。今度は脚で。 見事な飛び出しだ。ラインの裏に残されたのは久保ただ1人。木場をかわすと放たれたボールは、今度こそゴール。先ほどのオフサイドもあったので喜びは中くらいだ。一安心といったところ。 ガンバの攻撃は単調そのもの。 一点先制すると余裕が出る。マグロンのヘッドも脅威にならない。両サイドも制圧したまま。 「こうなると、神田が残っていないことが悔やまれるな。」 「神田が残っていれば、マグロ対カツオの実現だったのに。」 「そりゃ、波戸対ポポビッチの波戸ぽっぽ対決以来の対決だったのにな。」 「おっマグロンに来るぞ!」 「気を付けろ!!」 「一方向にぐるぐる回り始めるぞ!!」 安定した守備。死角はわずか。 松田は抜群の身体能力を見せつけた。前へ行こうとしたのはたったの1度だけ。それも自重した。やや、中盤に留まる時間が長かったのでスタンドを慌てさせる。 「戻れ松田!」 「行くな!」 「那須より前へ行くな!!」 それ以外は貫禄さえ見せる守備。中央が安定すると両サイドもスムーズになる。柳のところで詰まって危険な囲まれ方をするシーンは皆無に等しい。ガンバに迫力なし。前半の終了間際に、予想通りの膠着状態がやってくる。ここで、再びJリーグチップの封を開く。いや、真剣に応援をしているのだが、封を開でもしないとやってられない気分になるのだ。それほどまでにピンチがない。逆に決定的なチャンスもない。 後半が始まる。左のドゥトラはガンバの右サイドを翻弄し続け、チキアルセは何一つ見せ場を作らないままに途中交代する。だが、右は風雲急を告げる。新井場のポジションを極端に前に置いたのだ。そのせいで、右は防戦一方になる。柳はスピードと切り返しのテクニックについて行けず、松田のカバーによって凌ぐ。後半は緊迫の度合いが増す。だが、中央はがっちり守る。あの最も危険な場面、榎本が残った脚でシュートをクリアするシーンを除くと、実は決定的なシュートはナシ。 それでも、やはり新井場はヤバイ。未だにAマッチ出場経験がないのが不思議だ。ただ、「代表と比べてジーコジャパンはステイタスが低い」(M談)なので、べつに、今呼ばれる必要もないが。新井場と並ぶガンバの核は遠藤弟。ここを押さえればガンバは完全に沈黙だが、低い位置からの展開だけに難しい。 いつもと少し違う攻め。それは中央から。 前半までの大きな大きな再度チェンジは減った。代わりに目立つのは中央の突破。二人ないしは三人のコンビネーションで抜きにかかる。一度サイドに開いても、ペナルティエリアにかかる前に中に戻って中央突破を狙う気配が多い。それもそのはず。サイドでボールを受けるのはユキヒコやドゥトラではなくて久保のケースが圧倒的に多いのだ。飛び出す動きと状況判断の速い久保ならではのアクションで、久保の能力の高さを見せる一端だが、逆に弊害が大きい。サイドに久保がいる限り、中央には絶対的なストライカーが不在なのだ。くぼは1人しか以いない。 「久保、おまえが行くな!」 「真ん中で張ってろよ!」 という声が飛ぶ。 「サイドが、もっと早くあがれよ!!」 という声も多いが、これは致し方ない。右は新井場に押し込まれているし左のドゥトラはサイドバックだ。サイドに流れた久保にも、絶好のスルーパスが来ればシュートに結びつく。後半の右サイドのあのシーン。ボールを反転しながら受けた久保はまっすぐゴールへ向かってドリブル。阻む者はいない。松代との一対一に久保が起こしたモーションは左からファーサイドのゴールに右曲がりのボールを左足のインフロントで流し込むキック・・・のはずだったが、それはおとりで、蹴る瞬間に膝から下をひねって、逆にニアサイドを左足のアウトフロントで蹴った左曲がりのボールでぶち抜こうというシュート。高度なテクニックだ。だが、脚の振りが狙い通りには行かず、ボールは左からファーサイド側に曲がらず逆に左曲がり。ボールはどんどんゴールから遠ざかり久保の位置よりも自陣側のタッチラインを割ってスローインとなる。 「おまえ!自分より後にシュートするなよ!!」 ガンバは研究していた。久保は自由にはできない。ペナルティエリア内では左足側を完全にケアされた。右足で蹴るよりほかにシュートのコースがないのだ。ドゥトラも同様。そのせいもあって、何度も不正確なシュートが高く蹴り上げられた。 70分を過ぎ、攻めに守りにトリコロールの脚が完全に止まる。一目でわかる悪い状況にスタンドが反応。ゴール裏の応援歌に合わせる手拍子のボリュームが一気に上がる。新井場の突破を防ぐために岡田監督が打った手は清水の右サイド投入。まさに、守備的右サイドバック。終盤には坂田も入り、右サイドの突破が逆にできるようになる。終了間際のシュートを中沢が外したとき、多くのトリコロールサポーターは「惜しい!」と叫んだが、ゴール正面からのカメラの映像が大型ビジョンに再生されたのを見てため息。 「・・・きつかった・・・。」 試合後の久保のインタビューで聞き取れたのは、この言葉だけだった。 「あ〜きつい試合だった。」 「ほんと、きつかった。」 この「きつい」の意味は「面白味に欠けていた」という試合内容の評。トリコロールの攻撃は久保が中央におらず、迫力に欠けた。一方、ガンバといえば、トリコロールにおそれをなしているようにさえ見えた。新井場以外に思い切った攻撃を仕掛けてくる選手がいなかった。一点リードされていながらもトリコロールのコーナーキックに対し、ガンバは全員がペナルティエリアに入って守りことで対処した。守るので精一杯。そこからの逆襲など考えていないのだ。 常勝を目指すトリコロールの現時点の強さを実感しているのは、私たちよりも対戦相手の選手達なのではないだろうか。 今日のポイント ●冷や汗もののパスミスを3本した松田。だが、それ以外は貫禄の復活。 ●久保の得点前のトラップはファンニステルローイ風(K林さん談)。 ●敵ペナルティエリア内でとても優しくて丁寧なパスを出した中沢の正確な頭。 ●ガンバの文字をピンクで表現した新横の大型ビジョンオペレーター。 ●男声を望んで着いたなれの果て、見るも哀しき男女別応援のガンバ。 今日のお値段
|