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2階の目線2003

J1リーグ 2nd stage 第12節 名古屋グランパス
猛犬吼える


名古屋は順位を落とし失速していた。だが、その間にウエズレイとマルケスのどちらかがフィールドにおらず、揃って出場してはいなかったという重要な事実を、私たちは見落としたまま豊田に乗り込んでいた。

序盤は劣勢に立たされる。右サイドのユキヒコ不在を突いて中谷が再三に渡ってドリブル突破を仕掛けてくる。右の海本もだ。中央のウエズレイとマルケスに永山と那須は集中しサイドのケアができない。ドゥトラや柳が抜かれれば、ゴールラインまでは一直線。
一進一退の攻防。両サイドはあくまで攻撃的。裏をとられようが構わない。攻めきるつもりだ。だが、一瞬の空白が生まれる。セットプレーの流れで右サイドからゴール前を横切り頭上を越えたボールは左サイドに。なぜか、そこにはウエズレイがフリーでいた。オフサイドをアピールする奥は右手を挙げる。だが、オフサイドのわけがない。(奥はセットプレーの直前にスパイクを交換するためにフィールド外に出た。戻ったのは身体だけで気持は追いついていなかったのか?)奥よりも遙かにゴールに近い位置からダイレクトで放たれたシュートはトリコロールのサポーターの目の前でネットを揺らす。
確かにもの凄いシュートをダイレクトで放った。

「でも、やっぱニアを抜かれちゃうのはまずいだろ。」
「でも、あのタイミングだと準備もできない。」

坂田は、どちらかというとユキヒコのポジションにいる時間もある。だが、そこに遠藤がいる場合もある。さらにはリードを許すと柳がユキヒコのポジションに。いや、早くも総攻撃で押し込む。柳はペナルティエリア内に何度も進入。何が何でも早めに追いついて勝ち点3を挙げる意気込みが見える。危険な賭け。だが、それが名古屋には脅威に映ったであろう。試合のペースはトリコロールのものになる。

永山の限界と活躍。

マルケスのポジションに手を焼く永山。ワンアクションで振り切られるシーンが目立つ。これでは名古屋のツートップ+中村、さらには中田と海本のサポートをくい止めることができない。名古屋のカウンターは浦和よりも嫌らしい。パスミスも多くブレーキになる。
ところが同点の美しいゴールを演出したのは永山の動き出しと見事なヘッドでのアシスト。決めたのは坂田。
「よ〜〜〜〜し!!」
「ゲット!!」
急な豊田スタジアムの傾斜にバランスを崩しながら仲間の身体をたたき合って喜ぶ。とりあえず前半で同点に追いついた。50分以上もあるから逆転は確実だろう。

ハーフタイムにゴール裏の仲間と会話する。
「なんか芝生のせいかゆっくりだね。」
「慎重だよな。ますいのは永山だよな。あれだけ簡単にかわされるとヤバイ。」
「どうでしょうね?後半は。」
「いや、普通にやれば実力では確実に上回ってるんだから問題ないはずだよ。だって、メンバー見てもうちに滝沢よりも下手なヤツがいるとは思えないもん。」

さて後半だ。ワンボランチ。永山は清水と交代。トップ下に主に入るが、これも前半同様に流動的。坂田は右のサイドの時間が長い。清水が一度、パナディッチを背負ってクサビに入ろうとして潰される。
「そりゃぁ無理だよ!!」
「パナディッチ背負って勝てるわけないよ。」
今回も、この男は難敵だ。

だが、味方がいる。

ゴール前の絶好の位置でフリーキック。蹴るのは柳だ。誰がどう見ても柳がズドンと蹴ってくる。
「おぉ壁に味方が入ったぞ!!」
喜びの声を放ったのはK林さん。
「よし!やれ!!顔面狙って撃て!!」
「あいつ、意気地なしだから強いタマ撃てば必ず逃げるぞ!!」
壁本体から少し離れた位置に立つ滝沢。ほぼボールに真正面の重要な場所だ。柳がモーションに入る。蹴るよりも早く動き出して猛然とボールに走り込む滝沢。だが、柳が蹴ると身体を半身にひねって避けながら飛ぶ滝沢。そんなところに飛んでもボールが当たるわけがない。門を開けるようなものだ。強く蹴られたボールは、パットパットゴルフのアプローチのようなコロコロとしたボールでゴールに転がる。それをなんと楢崎が後逸。転がり始めた時点で、すでに頭を抱えていたトリコロールのサポーターは、突然の珍事に半の拍の間をおいてから叫ぶ、飛び跳ねる。そして、その後に起きたのは。楢崎コールと、腹を抱えての爆笑だった。
「お前、ホントに避けるかよ!?」
「そりゃぁ楢崎も可哀想だわ!」

試合はトリコロールのものだ。その後も2度も不運なディフェンダーによってコースが変わるシュートが楢崎を襲う。カウンターでは4名がペナルティエリアに殺到するシーンも見せる。後方からのボールがパナディッチの頭を越えてマルキーニョスに届くシーンも増える。シュートが枠を捉える。
「ここで突き放せ!!」
「楢崎は機嫌悪いぞ!今のうちにやっつけろ!!」
だが、セカンドステージは、こういった勝負の時間に点が獲れないのだ。ここがファーストステージの好調時との大きな違い。

カウンターの応酬になると名古屋のツートップは嫌らしさを見せつける。哲也はニアサイドをねらい打ちされる。前半の失点、そして、幸運にもはずれたが、同じくニアサイドを破られた中村のシュートの印象が強く残っている。
「まずい!哲也、舐められてるぞ。」
「やっぱりニアを抜かれすぎたのが効いてくる。」
「なんとか突き放さないと。」

いくらでも突き放すチャンスがあると思えた。しかし、前半から本来の動きとは言えなかった松田が過ちを犯してしまう。倒さずとも、外に押し出すだけで十分なマルケスのドリブルを倒してしまいカード。前半に何度か見せた超人的な身体能力を活かしたディフェンスができない。いっぱいいっぱいだ。
ウエズレイのフリーキックは、何度も速報Jリーグで見ている。この角度の浅いウエズレイから見て左サイドの45度付近からファーサイドの上隅に速い球で打ち込んでくるゴール。
「さぁ、このキックはやばいぞ。」
「哲也はタッパがないから苦しいぞ。」
「絶対に壁は逃げるなよ!!!」
「右上来るぞ!!」
だれもが右上と思った。哲也もモーションを起こしていた。だが「あっ!」という声を出した後に息をのんだ。ボールは予想外の左上。ニアの狭いところに曲がって落ちた。
「う〜む・・・。」
声にならない声とはこのことだ。上手い、上手すぎる。

「まだ同点だ!!勝ち点3!絶対に獲れよ!!」
「ここからだ!!」
「勝負しろよ!!!」
そんな声が途切れないうちにボールを奪われゴール前には松田一人。嫌らしいマルケスは見逃さない。股抜きを狙う。抜ければ哲也と一対一。抜けない場合は真っ直ぐにトップスピードで松田に向かって走ればよい。衝突さえすればカードが奪える。そして、その狙い通りに松田ははまった。半身で下がりながら距離を保って押し出すような本来の守備は、今の松田には難しい。
「また松田か!!」
「あれは仕方ない・・・。」
罵声と小声が微かに交錯し、またウエズレイのフリーキックを待つ。祈るしかない。
「うぉー!!」
哲也のファインセーブに救われる。

最後は右サイドを深くえぐった海本からのクロスをウエズレイに叩き込まれる。その後もトリコロールの声援が途切れることはなかったが、屋根を閉じた日本最高のスタジアム(日本最大のラグビー専用スタジアム=しかもホームチームは二部)にはホームチームを応援する大声援が絶えずこだました。見事な一体感が彼らの勝利を、さらに華麗に演出した。

試合終了のホイッスルと共にうなだれるトリコロールのサポーター達。

マリーシアのコアメンバー達の一部、8名は世界の山ちゃんで食事をする。誰も意識したわけではないが試合の話題はほとんどない。だが、名古屋を発つ時間が近づいてくると、次第に勝ち点計算の話題になる。
「浦和が首位かぁ。」
「いや、浦和は問題ない。浦和は、残り3試合、一つも勝てないから。」
断言したのはMだ。
「日本平デレオはうちもやられたけど、優勝争いしてるチームはけっこうやられる。今日の名古屋には勝てないし、最終節は鹿島と汚く引き分け。」
「優勝ラインはどれくらいだろう。」
「勝ち点27だから。」
「やっぱ磐田かな。」
「怖いのは磐田か読売でしょう。」
「磐田とうちと連勝して最終節で直接対決。磐田には得失点差でアドバンテージがあるから引き分けで優勝。これでしょ!!」
「でも浦和が・・・。」
「いや、浦和は、すでに最終節の前に圏外だから。」

京都方面へ帰る者、ひかりで帰る者、のぞみで帰る者、名古屋駅のホームで乗る新幹線は異なる。
「あと勝ち点7で優勝だね!!」
「あと勝ち点7!!!」
「よし、絶対優勝だ!!!」
みんな両手で指を7本出して、笑顔で別れた。

   
(左)駅ビルテルミネにある吉田のきしめん。美味い。
(右)初乗り区間は僅かに一駅。5駅目で一気に70円もアップする名鉄。

   
(左)他に何の目的に使用するのかはわからないが、いろいろな目的に使うらしい。
(右)トリコロールの注意書きが貼られていた名鉄。確かに気を付けなければならなかった。


今日のポイント

●誰もこんなプレーヤーだとは認識していなかった海本。
●集中力を欠いた前半の奥。
●迷いを見せワンツーをもらう動きができず、何が役割だったのか不明に終わった阿部。
●頑張ったがニアを抜かれてはならない哲也。
●芝の張り替えのせいでグランパス君一家のハーフタイムショーがなかった。
●ディドの蹴ったボールが激突しても倒れなかった足腰が強いグランパス君。
●後半開始前慌てて走る姿を見せたグランパス君。よたよた歩くのは演出で、本当は俊足だった。
●なぜかフランス国歌を応援歌に使っていた名古屋。
●ウエズレーのフリーキックのスローが試合中に流れるときに
 「シュートが決まりました!ご覧ください!!」「ずどーん!!」。
 試合後には「まさかの逆転勝ち。」と言い放った不思議なスタジアムナビゲーター。


今日のお値段 

石井和裕

寸評:普通に強いチームとやると、前節のような終盤にはならないのだと思った。だが、松田退場までは十分に力強さは感じられた。
評価額:¥10000

永山から坂田へビューティフルなゴール
600
楢崎の脇は今も甘かった
3000
世界の山ちゃんの手羽先はやっぱり辛かった
3000
柳相鉄の驚くべき運動量
500
ウエズレイのテクニック
400
知らなかった海本2号
200
豊田スタジアムは日本で一番だと思う
1000
ドゥのトラップ
300
マルキーニョスのドリブル
200
きしめん
80 0


今野隆之

寸評:ここまでスクランブルで戦ってきて得た財産は、この敗戦だけで無に帰するほど小さくはないと思いたい。残り3試合を見守ろう。
評価額:¥6000

お疲れか、チャンスも作ったがすかすかの中盤
500
名古屋の両サイドは予想以上によかった
1000
帳消しになってしまった楢崎のトンネル
1000
スタジアムナビゲーターの怪しいテンション
500
手羽先三昧で癒された
3000


なかむ〜

寸評:決めるべき時間帯に決めないと、やられます。奥のスパイク交換で昔の記憶が・・・。
評価額:¥4600

試合給
300
消えていても仕事した坂田
800
しっかり打ち抜いたサンチョル
500
阿部、状況と役割をよ〜く考えろ
-300
トヨタスタジアム頂上からの眺望
300
ウェズレイの2点目FK
20 0
楢崎の抱腹絶倒トンネル
800
味噌きしめんと手羽先
2000