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2階の目線 2階の目線2012

ナビスコカップ
4231の行方 1-2 札幌(三ツ沢)
2012年4月4日 石井和裕

あと1点が遠かった。不運な失点は重く、前がかりになってのカウンターで2失点目。今シーズンに入って最もアグレッシブに攻めた試合だったが結果は負け。三ツ沢は重苦しい空気に包まれた。

「あーーーーー!」
「えーーーーーーー!」
「止めてくれーーーーー!」
後ろに下がりながらボールを処理しようとした青山がまさかの尻餅。大島がボールをさらってゴール前にドリブルで運ぶ間、皆で祈った。しかし叶わなかった。ボールはゴールの中へ。

試合開始早々の失点で、試合は大きく変わる。

「いいぞ、そこだ!」
「おーそこに来るのか!?」
驚きの声が上がる。ユウジーニョをワントップに、左から学、森谷、怜。中盤の底に小椋と狩野。ポジションを大きく崩すことなく、それでいて変化に富んだ攻撃を繰り返す。贅沢を言えば、ユウジーニョがディフェンスラインと駆け引きしラインを押し下げた後に出来るスペースで楽に森谷がボールを受けられると、もっと良くなる。実に楽しみな4231だ。

しかし、序盤の不運な失点が、この試合の楽しみを奪う。樋口監督はシステムを4231から442に変更指示。まず割りを食ったのが怜。
「怜はウイングで使わないと。」
「柏戦でも真ん中にいるときは何も出来なかったじゃないか。」
「なんか、もったいないなー。」

もったいないで済まされないのが中盤の底だ。狩野と小椋といえば、小椋がアンカー役を引き受け狩野が攻撃的に中盤を支配するというのが誰もが頭に描くイメージ。しかも442となれば4231で森谷がいたポジションに誰もいなくなるので中盤の底から前後に広大なスペースをカバーする必要がある。いわゆる「顔を出す」ことが必要なわけだが、この役を担ったのは狩野ではなく小椋だった。
「ここにも小椋か。」
「いいぞ小椋。」
「どこにでも現れるな。」
攻めに、守りに、前後に、左右に、小椋が中盤の全てをこなす。

では、狩野がアンカー役を引き受けたかというと、それがうまくいっていないことで、スタンドにはフラストレーションが溜まる。とにかく動かないと決めたら動かないのだ。守備の動きは緩慢。味方から出た狩野宛てのパスを追わずに放棄したことが2度。けっしてパスのこない場所でのポジショニング。他にも、狩野の前に空いたスペースに味方が出そうとしていても動き出す気配がないのでパスを断念するシーンも見られる。
「お前のボールだろうが!」
「ちょっとは動いてくれよ。」
嘆きの声が出る。
また、最終ラインから狩野にボールを預けても、瞬時に最終ラインに戻してしまう。前を向く気がない。もしくは、少しばかりキープしてくれれば敵のマークが寄って来て、他の選手はフリーになるはずなのだが、そんな時間を使う気もなさげなので
「狩野にパスするだけ無駄じゃんかよ。経由しないで直接パスしろよ。」
ということになる。狩野は、セットプレーのキッカーを翔に譲った。

この試合でチームを仕切っていたのは冨澤だ。仲間に声をかけ、コミュニケーションを頻繁にとりながらゲームを引き締める。そして、このメンバーで最も的確なパスの技術を魅せたのも冨澤だ。ロングパスはもちろんだがインサイドキックの短いパスの技術も高い。そして丁寧。けっして浮かさずに、ピシッと味方が処理しやすい場所に送り込む。本当に素晴らしい選手を獲得した。

狩野一人がゲームに入れなかった印象だが、全体的には攻めに攻めた。
「行け!」
「そうだ!」
「ナイスプレー!」
観客数は7000人と寂しかったが、
一つ一つのプレーに歓声。

「そこに行くのか!?」
「翔が行ったぞ!」
「斜めに入った!」
なかなかトリコロールでは見られない、ペナルティエリア内へ斜めに侵入していくフリーランニング。この素晴らしい動きに驚き、ゴールを予感する。そして、ついに待ち焦がれたゴール。

途中出場の翔と兵藤はピッチを駆け、サイドで数的優位を創り出す。兵藤が楔に入って敵を背負って決定機を創り出す珍しいプレーまで飛び出す。

さらに、この劣勢の中でも中村大先生を起用せず、最後にピッチに入ったのは中町。あくまでベテラン勢抜きのメンバーで、樋口監督は自らのサッカーを実現しようという試みだ。この試みは勝利という結果を出すことは出来なかった。しかし、明るい兆しを見出したことは確かだ。

三ツ沢の坂を降りる足取りは軽い。
「勝てなかったけど、かなりよかったと思うよ。」
「ボールが停滞しなかったからね。」
「中村大先生がいないと、他の選手が中村大先生を探さないんだよね。」
「だから攻めが速いんだよなー。」
「でもさぁ、中村大先生はインフルエンザで開幕前は戦術練習に入れていなかったわけでしょ。致し方ない面はあるよね。」
「小椋もそうだよな。」
「そりゃあ出遅れるって。」
「あと、中村大先生は身体が出来ていないと思うんだよねー。」
「一ヶ月位、じっくりコンディションを整えた方がいいんじゃないのかなー。」
「森谷も使って欲しいな。」
「やっぱりさぁ、こうなってくると、ウチだけでプレーしている選手よりも、厳しい下部リーグや大学サッカーを経験している選手の方が逞しく必死にプレーするよ。」
「冨澤とか学とか。」
「小椋もそうだし。」
「飯倉なんてJFLだし。」
「大学も流経と筑波だし。」
「下は厳しいからなー。」

負けたとはいえ、会話は弾む。次は新潟戦だ。次は勝とう。監督が選択するのは4231か442か、そして起用される選手は誰だ。







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題字:書道家うどよしさんに書いていただきました。