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2階の目線 2階の目線2012

11人いる 2-1 浦和(埼玉)
2012年5月3日 石井和裕

競れない、持てない、走れない。1点リードの状況で投入されたマルキーニョスは、何も出来ない。真っ赤な埼玉スタジアムの青い一角から万雷の拍手でピッチに迎えられて数分後、サポーターはマルキーニョスの状態が予想より悪いことを目のあたりにする。
「これは、采配ミスなのか?」

さらには学の脚が攣る。これは大ピンチだ。リードは1点。組織的な守備で浦和のツーシャドウを完璧に抑え込み、ここまで受けた枠内シュートはゼロ。これは、誰一人、気の抜けたプレーを一瞬たりとも見せなかった成果なわけだが、大黒を下げたことで入ったマルキーニョスの守備へのアプローチが少しばかり遅れる。それだけでも危険な状態なのだ。もし、ここで学不在の時間が少しでも生じれば、それは浦和の突破口。早い時間ならともかく、この終盤に、フィールドプレーヤー8人でさらに力を上積みして守り切れと言うのは鬼のすることだ。
「学、お疲れさん!すぐに交代だ。」
しかし、樋口監督は、ここで躊躇する。

90分間を通して、初めて、そして唯一の守備の綻びがここだった。前線でコースを限定することなく、簡単にボールをバイタルエリアに運ばれる。ここからは、たしかにアンドリューの対応は軽かった。しかし、その前に躊躇することなく選手交代を行っていれば、生まれなかった失点だ。

悔やまれる失点。ピッチ上には動けない助っ人選手。絶望的な状況ともとれる。それでも勝ち越しゴールを奪い連勝のハッピーエンドを掴み取ってしまうのだから、樋口監督は「そうとうもってる」。

「もうマルキーニョスは囮でいいよ。」
「デコイだと思ってプレーしろって!」
そんな声まで飛び交い始めた矢先に、素早いモーションから弾丸シュートが枠内に。これには、歓声があがるどころから口あんぐり。
「何これ?」
「いや、スゲーぞ。」
「びっくりしたよ。こりゃ違うわ。」
「早かったなー、振りが。」
そして迎えたコーナーキック。囮だったのは栗原と中澤。さらには中央のゾーンを守る槙野が倒れる。それに気を取られて阿部は前に重心をかけ、マルキーニョスへの対応が遅れる。そしてかぶる。阿部の頭上を越えたボールはマルキーニョスの頭へ。

「ぬぉーーーーーー!」
「決めたぞーーー!!!!!!!!」
「よーーーーーーーーし!!」
凄まじい歓声が大きなスタジアムの一角から爆発し揺れる。まさかのマルキーニョス。ゴールネットに突き刺した。
「マジかよマルキーニョス!」
「なんで決められたんだ!?」
多くのサポーターは、即座にマルキーニョスに謝罪した。

「守備に感動したよ。ほぼ完璧だったよ。」
「中村大先生はよくやったねー。」
「今日のマンオブザマッチは兵藤でしょう。」
「役割分けのハッキリした試合だと兵藤は、ホントに力を発揮するねー。今日の兵藤は過去最高の兵藤だったよ。」
「しっかりとアンドリューの面倒を見ていたね。」
「中澤は戻って来たねー。」
「この怪我人の多さといい、中澤の出遅れといい、やっぱさぁ、キャンプは大失敗だったってことじゃない?」
「それは言えるね。」
「アンドリューも、よく、ここまでやったよ。」
「試合開始後早々のアンドリューのカードは全く不要なものだったけどねー。よく後半は持ちこたえたよ。」
「あれ、スライディングする必要なかったもんなー。」
「しかし、カードがよく出たなー。今日の主審は審判が苦手だったとしか思えないよ。」
「カードを出して注意している間にプレーオンとかあり得ないし。」
「あと、副審がボールボーイみたいにボールを持って来たのには驚いたなー。」

全ての選手に賞賛の言葉をかけたい。全ての選手が持っている力を出し惜しむことなく発揮した。
「グッドゲームだったね。」
「去年の天皇杯の名古屋戦に匹敵する好ゲームだったよ。」
帰りの満員の埼玉高額低速鉄道の中でも話題は尽きない。
「いくよ、三連勝!」

最後にアウエーゾーンのムードについて触れたい。この試合のポイントは442のゾーンディフェンスだった。前の2人が浦和のツーシャドウを抑え込み、パスコースを限定。ドリブルを無力にした。そして、後ろの選手たちは限定されたコースを堅実に塞ぎ続けた。その守備の連動性に拍手が起きる。浦和がボールを後ろに下げると拍手のボリュームがアップする。私たちのクラブには、指導者、選手、そしてサポーターにも伝統の守備のメンタリティが染み込んでいる。J20年の積み重ねを感じる幸せな窮屈な空間だった。

さぁ、行こう。前へ。



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題字:書道家うどよしさんに書いていただきました。