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2階の目線 2階の目線2012

史上最高のスコアレスドロー 0-0 川崎(等々力)
2012年6月23日 石井和裕

試合終了のホイッスルが響き、大歓声は一瞬の沈黙へ。ひと呼吸おいてざわめき立ち、更には、選手たちがピッチ中央で重たそうな一礼をすると大きな拍手が沸き起こる。それは、ホーム側、アウエー側を問わず、スタジアム全体で起きる。

「次は勝てよ!」
という声。その声は選手をなだめる声ではない。力一杯90分間を戦い抜いた選手たちへの感謝のメッセージだった。
「過去に見たスコアレスドローの中で、最も面白かった。」
「よく、ここまでやり抜いてくれた。」
賞賛する感想ばかり。とはいえ・・・。
「でも、アウエーだから面白いスコアレスドローだって言えるんだよね。」
「確かに、ホームだったら悔しい試合だったかもね。」

序盤、学の強烈なシュートを西部に阻まれる。最大の決定機を逃すと、川崎の猛攻が始まる。ちょっとしたスペースに楠神と田坂が飛び出す。厄介な奴らだ。特に、森谷と小林の間のスペースに、前後斜めのダイレクトでショートパスをちょこちょこと繋ぎ、前がかりの守備体制になると突然、ペースを変えるロングパスがグランダーで挟み込まれてくる。噂の風間サッカーは、とてもスパイシー。

逆に田中のチキンっぷりは助かる。アウエースタンドからのブーイングを意識してか、消極的なパスが多い。それでいて試合後には「自分のことを認知してくれている。うれしいですね」などと勘違い発言をするのだから自分勝手なのは相変わらずだ。その発言は山瀬を侮辱する。

「あれ?なんで富澤いないの?」
突然のベンチ外。今日は中盤の底が富澤ではない。それでもトリコロールの中盤は層が厚くメンバーに問題はない。ただ、試合が進むに連れて、谷口の守備のアプローチが富澤と比較すると、どうしても遅くなる。中村憲剛に、もっとプレッシャーをかけなければ、この劣勢は止まらない。

後半に入る。

両チームとも、縦への意識が変わることはない。ボールはスピーディーに、前へ前へと動く。シュートの多い試合ではないのにもかかわらず、エキサイティングなのは、常に局面で闘いがあるからだ。そして、負けるものかと身体をぶつけ合う。今日もトリコロールの選手たちは力強く倒れない。

右サイドを完全に崩されてクロス。
「フリーだ!」
中央には矢島が待っている。ピッタリ飛んできたクロス。絶体絶命。このとき失点を覚悟した。しかし、一瞬で矢島は倒れる。大きくなったトラップを見逃さずに飯倉が飛び込んだのだ。間一髪で失点を免れる。
「なぜ止められたんだ!?」
「素晴らしい飛び出し。」
しかし、そこからしばらくは川崎の時間。辛抱が続く。

劣勢の中でも、挽回出来る兆しが見えるときがある。この日は60分頃にそれを感じる。確かに攻めているのは川崎だ。しかし、ボディコンタクトで倒れるのは川崎の選手ばかりだから。彼らはボールを失うと倒れる。倒れてゲームを止める。
「これは、川崎的には思うようにゲームを進められていない証だぞ。」
そこから猛攻が始まる。首尾に奔走していた森谷も、自分らしさを表現するパスの引き出しを見せる。迫力ある攻撃でゴールに迫る。

しかし、ゴールネットを揺らすことは出来なかった。

川崎サポーターは恵まれている。このようなエキサイティングなゲームを提供するために、川崎の強化部は相馬監督を切った。風間監督が創り出す試合は、常に仕掛けがあって面白い。ここまで沢山、裏を取られるスルーパスを流し込まれたのは、今シーズン派記憶に無い。レベルに高い試合だった。ただ、一点だけ苦言を呈するとすれば、川崎の選手たちは倒れすぎだ。しかも、トリコロールの攻撃を断ち切るために倒れる、姑息な手段の行使が多すぎる。これさえなければ、きっと上位に定着出来るであろう。

またしてもスコアレスドロー。しかし、面白さでいえば「史上最高のスコアレスドロー」だった。武蔵小杉までの足取りは軽く、会話も弾む。
「あー次も田中はいるのかー、面倒くせー。」







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題字:書道家うどよしさんに書いていただきました。