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2階の目線 2階の目線2012

クラブの尊厳 1-2 浦和(日産)
2012年9月15日 石井和裕

今年、J1で20周年を迎えたトリコロールがJ1で19年目のレッズをホームに迎えた一戦。20周年ビデオの上映はなく、ユニフォームも通常のモデルを着用。そして、残念ながら試合内容も、ここ数試合のいつもどおりだった。

哀しい試合だ。せっかくのリードを守れなかったばかりか、クラブとしての尊厳を見失う試合内容。今季最高の観客数だったが、その多くは落胆を抱いて帰路に着く。クラブは集客の策を失い、サポーターに友達を誘えという。それは最も効率の高いリスクを排除した集客策だろう。だが、サポーターにとってはリスクだ。こんなときは、さしてサッカーに興味の無い友達を誘おう。お祭り好きが良い。イケメン好きでも良いだろう。でも、サッカー好きはやめた方が良い。その友達が二度と日産スタジアムに来てくれなくなる可能性があるからだ。そんな状況であっても、サポーターとしてはクラブの将来を憂い、なんとかスタジアムに友達を呼び込みたいと考える。それがサポーターなのだ。

「この試合のスコア予想は4-2。4点獲れれば勝てる。」
Mcafeで、試合前に私が語ると
「それって勝つって言ってます?」
と、質問が飛んだ。でも、マジメに4点を獲れれば勝てると思っている。逆に、今は3点以下で勝つのは至難の技だ。上位にも下位にも、先週のように三部のJFLにも2失点はコンスタント。
「守備は安定しているんだよ・・・低いレベルで。」
そして、弱いメンタル。いつも怯えながらプレーしている。2点差がなければ落ち着かない。ヤングなでしこのパススピードに見慣れてしまったせいもあるが、止まりそうなゆっくりとしたボール回しは、インターセプトにお手頃。だが、速いボールをしっかりと止める技術に自信が無いので、あのような遅いパススピードになるのだろう。リーグ最低失点の頃の自信は影を潜めた。

そして、この日も、やはり、そんな試合だった。

2失点に関しては怒る気になれない。いつものことだ。監督采配に怒りが限界を超えて「樋口辞めろ」「もう限界だ」という人も増えてきた。選手交代は、なかなか改善されないだろう。これは、もう、樋口さんの戦術ではなく性格が原因だからだ。真面目で慎重。自ら臨機応変に動けない。ただ、右サイドが守備的すぎる、最終ラインでミスが起こる、ボランチがパスを前に運べない、といった事象については、ちょっとした変化で改善することが出来るのではないだろうか。

中盤の配置や選手の役割りに、試合ごと、若干の違いはある。しかし、今シーズンに樋口さんの目指す型は一貫している。思い出してほしい、シーズン開幕当初の勝てなかった頃を。ボールを奪うと両サイドバックを高い位置に上げてポゼッションしてパスを左右に振り回す。そんなサッカーを目指していた。しかし、中村大先生が不調、金井と比嘉の戦術理解が低く、ボランチからの展開力も乏しいとあって、全く勝てなかった。しかし、中村大先生が復調し、富澤が兵藤とのコンビでパスセンスを発揮し、途中加入したドゥトラが、樋口さんの戦術を理解するとともに、樋口さんの示さなかったアドリブでドリブル突破のタイミングにアクセントを加えると、とたんに試合が動くようになってきた。負けなしが続いた。

ここ数試合、右サイドバックが途中交代させられるのは、高いポジションを取り続けて攻撃する姿勢を選手が示さないからだろう。上がったら下がるのはサイドバックの鉄則。しかし、下がってこない左サイドがある以上、右サイドバックの選手は上がることを自重する。それはピッチ上の現実的な選択だ。なぜなら、左サイドを突破されれば、ボランチと右サイドバックは中にポジションを絞ってディフェンスしなければならないからだ。ただでさえ失点が多いのだから、守備を放棄して攻撃するのはリスクが高すぎる。ピッチ上の選手は、そう考える。しかし、樋口監督は違う。自らの理想とする型を追求し、ピッチ上の選手に要求する。真面目で柔軟性に欠ける。
では、兵藤のサイドバックは、それを実践できているのか?答えはNO!だ。だから、右サイドバックの交代と金井、比嘉のベンチ外は戦術的には効果を生み出しているとは言えない。多分に懲罰的な香りが漂う。

夏を境に踏み込んだ強いブレーキの原因はベテラン陣の疲労にある。最も顕著なのはドゥトラだ。一瞬のドリブルテクニックで、それを忘れてしまいそうだが、右サイドとボランチの歪は、間違えなくドゥトラの運動量低下が原因だ。しかし、ドゥトラは常にフル出場なのだ。

そして、中村大先生。この試合ではセットプレーの精度を欠いた。致し方ないだろう。両足の張りを訴えていたのにもかかわらず、あの劣悪なピッチの味スタでの後半起用。先週の天皇杯でも、なぜかプレー。コンディションが上がるわけがない。それでも、攻守に走り回り、特に守備における走行距離は一番長いだろう。頭が下がる。
さらには中澤。彼も天皇杯で起用する必要のなかった選手だ。

山瀬らの大量放出騒動で、クラブトップは過剰にサポーターに気を使い、クラブからの放出選手を無しとした。クラブには予算上限があるので、誰か選手にオファーが入って、選手も同意の上での移籍が発生しない限りは、新たな補強選手獲得ができなくなった。そんな環境での中町、富澤がという主将経験者の獲得は強化部のファインプレーだ。しかし、指揮官は、もっと若くてコストパフォーマンスの良いストライカー獲得をしてほしかっただろう。若くて伸び代のある選手は、早々に他のクラブからのオファーに心を動かされ、トリコロールにはやってこなかった。しかし、もう、無い物ねだりをしても、何も始まらないのだ。今シーズンは、この戦力で闘っていくしかないのだ。

「運動量の落ちたベテラン、それに五輪以降は思い切ったプレーが影を潜めた学を使い続けては厳しいよ。」
「あれだけパスコースが無くなると、そりゃあミスも起こるよ。」
落胆の想いで帰路に着く。会話には怒りよりも諦めの色が強い。

浦和レッズは優れた戦術で闘った。昨年は残留争いだったのにもかかわらず、今は優勝争いだ。それは全て監督采配と補強成功の賜物だったのだろうか。そうは言い切れない。決勝点を思い出そう。シュートのこぼれ球に詰めていたのは、ディフェンダーの槙野だ。それも、また、忘れてはならない事実なのだ。

「じゃあ、来週は鹿島で!」
どんなに酷い試合の後でも、週末になれば次の試合はやってくる。時間の流れは止められない。乗るか乗らないかは、一人一人に決定権が委ねられている。一人一人とは、サポーターであり、選手であり、監督である。最終節まで、歩みと思考を止めてはならない。

最後に、この試合で、最も残念だったことを書こう。浦和レッズの選手が頻繁に芝生に横たわったことについては、あちらさんのことだから、責めることは止そう。負け惜しみととられても気分が悪いだろう。残念だったのは、その対応だ。おそらく、これまでの試合を見れば、どのような状況でも相手が倒れたらボールを外に出すのがトリコロールの流儀だ。どんな試合でも、どのような時間帯であっても、不思議なことに、コーナーフラッグ近くで、プレーに何の影響もなく、本当に痛ければ自分で2回転すれば外に出られる場所であってもボールを外に蹴り出す。例え、圧倒的な劣勢で負けている大詰めであっても、その流儀は守られる。それでスタンドにはフラストレーションが溜まるのだ。ところが、この試合では目を疑うことが起きた。アディショナルタイムに中澤が倒れた。すると、当然のことながらピッチ外にボールを蹴り出すと思いきや、なぜかプレーオン。挙げ句の果てにはボールが動けない中澤の横を通過。こうなると、あの流儀は何だったのだ?と思わざるを得ない。真の流儀であるならば、当然、すぐにボール蹴り出すべきではないのか。もし、敵が倒れたときだけは蹴り出すのであれば、そんな流儀は上辺だけのカッコつけのいい子ちゃんパフォーマンスでしかない。そんなパフォーマンスを勝利のためのプレーよりも優先するのか?
プレーヤーを尊敬する流儀なのか、それとも、上辺だけのパフォーマンスなのか、3万人の前でプレーするプロとしての返答を次節以降で見たい。








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題字:書道家うどよしさんに書いていただきました。