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2階の目線 2階の目線2012

スコアレスで得るもの 0-0 大宮(Nack5)
2012年9月29日 石井和裕

試合前の美しい夕日は、すっかり闇に溶け落ち、Nack5スタジアム2階席の上段からは、さいたま市の高級住宅街を微かに見下ろすことができる。ピッチを照らすカクテル光線は華やかだが、試合終了のホイッスルを境に、先程までの歓声、悲鳴、チャント、コール、手拍子が嘘のように、静かな時間を漂わせる。

トリコロールは、この氷川神社の敷地内にあるスタジアムで、またしても勝つことが出来なかった。そして、大宮は残留の為に欲しかった勝ち点3を手にすることが出来なかった。しかし、それぞれに成果はそれなりにあり、大宮の側に立てば、退場者が出て一人少ない劣勢のなかで得た勝ち点であり、まずは最低限の満足を勝ち得たのではないだろうか。一方、私たちは電車で上野に移動し、餃子で有名な昇龍へ行くと、陽気な店員に
「あら、マリノス負けたのか?負けた顔してるぞ。」
と言われる。確かに勝てる試合を落とした。その点では残念だ。

波乱の幕開けだった。
「それを吹くのか!?」
「おいおいおいおい!」
スタジアム内は試合開始早々のファール判定にざわついた雰囲気。選手からのクレームも入る。後半に入ると判定基準が全く気にならなかったことからして、主審の福島さんは最初のホイッスルで「やっちまった感」を心に抱えながら、一抹の不安と動揺を隠しながらピッチを走っていたに違いない。福島さん28歳。J1担当は今期5試合目だ。しかし、残念ながら、栗原と富澤の警告判定には疑いを挟む余地がない。といっても、ファールをした2人を責めることも出来ない。精一杯、プレーした結果だ。

この試合で、センターバックを任された中澤と栗原にとっては、何がなんでも完封したい試合だっただろう。前節、鹿島戦で、富澤と青山が見事な守備を見せたからだ。キックオフマリノスのインタビューで繰り返し2人が口にしていたように、強気の浅いディフェンスラインが鹿島のパスコースを遮り、前線の味方のスタミナロスを回避した。あそこまで富澤と青山の2人が強調するのは、夏以降の中澤と栗原のディフェンスラインが深く、前線とディフェンスラインの連動性に乏しく敵にスペースを与えてしまっていた課題を重要視していたからだ。ドゥトラが上がりすぎて他の3人がラインをあげられない、という問題も、アンドリューをフォアリベロとして守備を構成する戦術の併用で、あっさりと解消して見せたのだ。

中澤は謙虚だ。その謙虚さが彼を支えて来た。五輪代表時代は、ただ大きくて強いだけの選手だった。しかし、読売から移籍し足下のテクニックを磨き、日本を代表するプレーヤーに成長した。前節の結果、そして、富澤と青山のコメントに中澤は刺激された。この日のディフェンスラインは高く、前へのボールへも厳しくダッシュしてボールを奪いにいく。
「強い!」
「見事だ!」
チームメイトに負けたくない、しかも、良いプレーを取り入れる。試合が引き締まる。

前節でアンドリューが担ったフォアリベロのポジションには富澤が。柔軟性に欠いてジリ貧気味だった樋口采配も、この戦術でかなりかなり持ち直した。ただ、今節はマルキーニョスが出場停止。大黒が謎のベンチ外。チャンスになっても中央に強い選手が不在。思うようにゲームは進まない。

「指差す前に学は走れー!」
その声の直後にチャレンジしたドリブルで大宮は退場者を出し数的優位に。しかし、ここからが大宮の残留力。トリコロールはシュートを撃っても撃ってもゴールが決まらない。
「これでダメなのか!?」
特に素晴らしいプレーを見せたのは翔。左からの素早いグランダーのクロスがゴール前を横切る。誰かが触ればゴール。しかし、ギリギリでボールはゴールラインへ。
「惜しいぃー!!!!!」
「いいプレーだったのにーーーーー!!!!!」
「もっと長い時間で使ってほしいなー。」
短いけれど、It's SHOW time !!!

ベテラン偏重の選手起用の中で、やっとアンドリューが台頭してきた。才能を感じさせる素晴らしいパスの数々。そして、短距離を繰り返し走る運動量が素晴らしい。ついにアンドリュー王子化なるか。次節にも期待だ。スコアレスドローであっても収穫はある。

さて、最後にユウジーニョに触れておこう。前半の二つの決定機を決めていれば、この試合は楽勝だった。本人も試合後のインタビューで、その責任をコメントしている。ユウジーニョが素晴らしいのは、自らのが課すハードルを乗り越えていくことだ。ユウジーニョの心意気を応援したい。







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題字:書道家うどよしさんに書いていただきました。