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2階の目線 2階の目線2012

勝利の余韻 2-1 偽横浜(日産)
2012年10月10日 石井和裕

アディショナルタイム。偶発の失点で得点差は1点。緊迫の時間がゆっくりと進む。いや、進まないように感じる。
「動いたぞ!」
「やっと動いたか、樋口さん。」
85分の富澤投入。このキリの良い数字は、おそらく試合前から計画されていた交代であろう。読売で主将経験もある富澤でゲームをクローズするという狙いだ。問題は、余裕のない守勢の状況で、どのように逃げ切るか。中盤の底を一人だけ変えることで、試合終了まで全てがうまく回るわけではない。オーソドックスな采配としては、一人づつ選手交代して時間を使い、相手をイライラさせることや、ドリブルを得意とするアタッカーを前線に投入して、守勢一方に回ることを回避することがあげられる。

「おいおいおい、それはないだろう!」
見れば、ベンチ前で谷口と中町の2人がスタンバイしているではないか。
「ここで二枚代えなんて聞いたことないぞ。」
流石に、そこまで常識はずれの采配ではなかったようで、まずは谷口が投入されるようだ。
「また、樋口の長い話が始まったけれど、この時間帯に、そんなにたくさんの説明をするようなことはないんじゃないか?」
「どんな説明をしているのだろう。」

その間にゲームは止まらない。偽横浜は同点を狙って攻めてくる。
「いいから、早く入れろよ!」
長い話は続く。

そして、アディショナルタイムを終えるホイッスルを村上さんが吹いた。そのとき、谷口は、まだピッチの外だった。谷口と中町の2人が投入されるはずだったが、谷口を投入する前の説明時間が、アディショナルタイムよりも長かったのだ。
「おいおいおい、終わっちゃったよ。」
「マジかよ。こんなの初めて見た。」
「話、長すぎ!」
緊迫のダービーマッチは、こうして爆笑、そして苦笑いで終わった。

「もう、監督采配のことをブーブー言っても始まらないだろう。言うだけフラストレーションが溜まるだけだよ。」
とにかく勝ちは勝ちだ。元旦への道は開けた。

余りにも緩過ぎる前半だった。リードしているのにもかかわらず、スタンドの一部からは前半終了時にブーイングも飛んだ。しかし、後半開始直後にファールを食らった学の体当たりのディフェンスに代表される厳しい守備が後半には披露された。過去に最も殺気を感じる試合としてはナビスコカップでJ1昇格前にガスと対戦した江戸川陸上のゲームを思い出す。その試合には遠く及ばないとはいえ、充分に勝負の厳しさを見せつけた後半だった。だから、勝ち進むことができたのだ。

一方で限界も披露した。前からの守備は迫力があったが連動性に乏しい。技術レベルの低い偽横浜の選手はパスミスを連発したが、連動性に優れた守備をしていれば、もっと簡単にボールを奪ってカウンターでゴール前に殺到する機会は増えたはず。シーズン終盤にきて不満が残る。物足りない。リーグで苦戦するのも納得だ。J2と対戦して実感する、これは現実なのだ。

「うーん。」
「なんだかなー。」
唸り声。帰り道の会話が弾まない。
「ねぇ、やっぱり気になるんだけど、樋口さんは、谷口に何をずっと説明していたんだろう?」
その話題も、それほど盛り上がらなかった。







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題字:書道家うどよしさんに書いていただきました。