   
ワールドカップとJリーグ
寺山功
今もうすぐ日韓でワールドカップがはじまる。私もワールドカップのチケットがどうにかうまく入手できないかいろいろ努力し、どのカードを見てみたいのか吟味している。そこで改めて、自分は何の試合を一番見たいのだろうと考えた。
日本の試合?それはそうだ。なにしろ日本人だから感情移入しやすく単なる試合以上のものがある。しかし当然のようにチケット入手が困難だ。決勝戦?確かにこれもせっかく自宅近くのスタジアムでやるし、一番多くの人が注目するので見てみたい。でもやはり競争が激しく、ついでに料金も高い。
で、よくよく自分は本当に何が見たいのか考えていたら、結局マリノスの試合が見られればそれで良いのだ、という結論に達した。そりゃもちろんワールドカップとJリーグは別物であり、一緒に考えるなと思う人も多いだろう。でもサッカーファンにとって、一番の宝物はおらが街のクラブ。自分たちのサポートするクラブなのだ。もちろん日本代表をサポートするのも同じだとは思うが、10年前と違っていまや代表は一つのブランド。少し遠い手の届かない場所に行ってしまった感じがする。一方マリノスはリーグ戦のチケットが売り切れるなんてほとんどないし、練習が非公開になったりもしない。
もちろんだからといってワールドカップを見なくてもいいという事では決してない。ただ、どちらが自分にとって価値があるのか考えてみたら自分の愛するクラブの方だったということである。
私はイタリアとフランスの両大会をトーナメント1回戦から決勝戦まで見てきた。それ以外にもイタリアやドイツを何回かほっつき歩いてサッカーを見てきた。行く度に新しい発見があるし、今度はスペインにもイングランドにも行きたいし、アフリカや南米にも観戦に行きたいと思う。でもどこのスタジアムでも自分たちの国やクラブを熱心に応援するファンがいた。これだけは例外なくだ。だから海外に行って楽しい試合を見れば見るほど、そのチームのファンをうらやましく思った。しかしイタリア大会当時はただ各国のサポーターがうらやましいだけだったが、今は自分にも愛すべきチームがあるのである。
現在Jリーグはすでに10年近くになろうとしていて、それは確実に歴史を刻んでいる。スタジアムに行くとだいたい知った顔がいつもいて、試合がつまらなくても昔話やくだらない冗談で盛り上がれる。これはひょっとして自分にとってとてつもない財産であって、高いお金を出してビックマッチを見る以上の価値があるのではないかと思うのだ。フランスとブラジルの決勝を見ていても、バカ喜びするフランス人を見ていて、ああなんかオレってよそもんだなあと感じていたのを思い出す。それに比べれば、昨年のナビスコカップ決勝の熱かったこと。第3者からはただの0−0PK戦という記憶に残らないゲームが、自分たちのクラブの試合というだけで一生忘れがたい試合になってしまうのである。
私は昔ダイヤモンドサッカーでFAカップを掲げるブライアンロブソンを見てからマンチェスターユナイテッドのファンになった。また、ミラノに行ってインテルの試合を見てからは、ずっとイタリアではインテルがひいきのチームだ。でもそれはただのファンの域を出ない。今はテレビで両チームの試合をかなり見ることが出来るが、すぐにスタジアムに行けるわけではないし、歴史を語る友人もいない。85年のFAカップ決勝のホワイトサイドのゴールが・・・なんて掲示板に書いても誰も反応しないが(しかるべきサイトに行けば反応があるかもしれないが)、ジェフ戦の井原のオウンゴールが・・・、と書けばたくさんレスがつくのである。
最後に何が言いたいかというと、ワールドカップのチケットがもし取れなかったとしてもがっかりしないで、Jリーグに行けばいいじゃないかということである。しかもせっかくスタジアムに行くのであれば、一人でなく観戦仲間を作る方が断然楽しい。そうすれば20年たってスタジアムに来て、その時ウチがたとえ2部の常連クラブだったとしても、あんときゃ代表がたくさんいて強かった、なんて会話ができるのだ。こういう昔話をするのってサッカー好きには至福の時であり、愛するチームを持つ人の特権ではないだろうか。

   
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