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マリーシア・フットボールコラム

悲願の重石  石井和裕

私ごとだが、今月に引っ越しをする。部屋の中を整理していたら古い新聞がたくさん出てきた。その中に、アトランタ五輪出場を決めた翌朝のスポーツ新聞がある。どの新聞も、今見ると気恥ずかしくなるくらいに嬉しさを爆発させている。シャーラムで鬼神のごとく川口能活がサウジアラビアの猛攻をくい止めた、あの試合の翌日のスポーツ新聞だ。

その試合ではNHKの山本アナウンサーは番組の冒頭で、こう実況している。

「日本は何のために勝つのか?なぜ勝たねばならないのか?
 こうした一切の雑念を廃して戦わねばなりません。
 オリンピックもワールドカップも経験豊かなサウジアラビアに比べて
 日本にはオリンピック出場の夢が『悲願』という言葉で

 重くのしかかってくるからです。
 日本はただ勝つことだけを念じて臨みます。」


メキシコ五輪以来、長かった五輪サッカー暗黒の時代が、この試合で幕を閉じた。

さて、明日は、いよいよドイツワールドカップアジア地区最終予選の初戦だ。ホームに北朝鮮を迎える。クラブ主義がサポーターの間には近年広がって、最終予選に乗り切れない人も多いという。一方で、日本社会全体のワールドカップ予選への注目は高まる一方だ。ふだんはサッカーを見ない人も、ワールドカップの声を聞けば飛びついてくる。そんな時代だ。

1985年、ヘディングの原が足で決めて北朝鮮を破ったメキシコ大会予選は、あれよあれよと、まさかの快進撃だった。そして、内容では、北朝鮮に完全に押されていた。
1989年、水沼のボレーで国立競技場を熱狂させたイタリア大会予選は一次リーグ敗退。
1993年、ドーハの悲劇で散った。ある程度はやれるだろうと予想はしていたが、一次リーグのタイもUAEも難敵で、僅差の勝利だった。
1997年、フランス大会は絶対に突破しなければならない大会だった。敗れれば、次回地元開催が初出場という汚名を着せられることになる。

過去の予選に、とてつもない重圧があったのは、それが「悲願の成就のための闘い」だったからだ。だが、今は違う、今大会からは違うのだ。だが、また一方で、日本人は日本の出場するワールドカップの楽しさを知ってしまった。

新しいキモチで2月9日の埼玉スタジアムへ向かう。


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