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マリーシア・フットボールコラム

スタジアムで叫ばずに何時叫ぶ 石井和裕

中村俊輔がスコットランドのプレミアリーグで優勝しMVPを受賞。凱旋帰国のカタチでなぜか「はなまるマーケット」に出演した。そのときの発言については、当初は海外生活の実情を紹介する発言に注目をしていた。


「レッジーナ時代には、『郷に入れば郷に従え』という言葉の通り、周りの選手をまねて、朝、コーヒーだけで、練習参加!してみたけど、だめだった。ということで、グラスゴーでは、日本から食材(ひじきとか、もずくとか、海藻サラダとか)を取り寄せることで、動ける!」(ヨココム参照)

ところが、同じく英国4協会のイングランドで活躍(?)した戸田が自らのサイトで「いい応援っていうのは、見るべき時に見て、叫ぶ時に叫ぶ応援だと思う。(中略)いいプレーした時にさ、拍手も何も無く太鼓叩かれてもさ、乗ってこないでしょ?いいプレーで始まっていいプレーで終わった時に沸いて欲しい。」と発言したことから、「はなまるマーケット」での中村俊輔の発言も、前述の箇所とは違ったものが注目されるようになる。

日本のサポーター(要は代表とトリコロールのゴール裏)はずっと歌ってたりするじゃないですか?でもスコットランドの方は、ジーッと見てて、いいプレーとかいいシュートをした時だけ拍手して盛り上がって、で相手ボールでパスとか回してる時はずっとブーイングですよね。」

最近になって、この2つの発言を火元にして、「日本のゴール裏サポーターの応援手法が正しいのか正しくないのか」、という論争が,一部ネット上で熱を帯び始めている。それは、あるネット上の書き込みを例に挙げると「今のゴール裏スタイルvs今のバックスタンドのスタイル」という対立図式を醸し出している。一通り読んでは見たが、それには大きな違和感を感じた。


一部の方はご存知だと思うが、私はJリーグ開幕当時はゴール裏の先導役の一人だった。そして、今は、バックスタンドの二階席で応援をしている。今のスタイルは、基本的には着席。「F・マリノスコール」はほぼ全て行なっている。ゴール裏からコールがないときに、自らコールを行なうこともある。歌うことは、あまり多くない。それよりは、試合の流れに合わせて身体と声が反応してしまうスタイルだ。プレーについて、試合中に仲間と意見を交わすことも多いし、時には、意見衝突して、試合中に言い合いになることも稀にある。手拍子で試合後に出血することや、得点に喜んで脛に傷を作ることは日常茶飯事だ。

そんな二階席に身を置いてゴール裏を眺めれば、中村俊輔や戸田が言うことはよくわかる。特に、「今のゴール裏は試合をあまり見ていないのだろうな」と思えるシーンも多々ある。ただ、元ゴール裏にいた者の立場で降り返ってみれば、14年前からゴール裏の応援は「試合中のBGM」という役割が大きかった。今との違いはあるかもしれないが、その差は、きっと小さいモノだ。

むしろ、なぜ日本のスタジアムに「いいプレーで始まっていいプレーで終わった時」に沸く印象がないのかというと、それは「ゴール裏以外のスタンドが静かだから」なのだと思う。「立って歌おう」というわけでも「手拍子は頭の上で」というわけでもない。ただ、ちょっと心のリミッターを外して、もっと素直に喜んだり悲しんだり、喜怒哀楽を表に出した方が良いと思うのだ。その方がスタンドに来た意義があるのではないかと感じてる。「運動会に応援に来たお母さん」と比べると、バックスタンドの皆は、お行儀が良すぎる。だからゴール裏だけが目立って批判されるのだ。

思い出してほしい、アウエーの圧力を。遠く離れたゴール裏のチャントに圧力を感じたのか、それとも、ウワっとスタジアム全体が湧いた瞬間に圧力を感じたのか。そして、難しいことを考えるのが面倒であれば、単純に考えてみよう。

●(迷惑をかけない限り)好きなことを叫べる90分を放棄するのはもったいないのではないか。
●好きなクラブのこと語り合える時間を放棄するのはもったいないのではないか。

日本におけるサッカー情報は細分化され、それぞれの知識が深くなる一方。個人がネットで情報を楽しむことが多いスポーツとなってきている。それは、果たして楽しいことなのか。もっと共感をもって仲間を広げた方が良いとは思えないだろうか。

例えば、私がいつも観戦しているマリーシアコア席(E26)付近は、実にリアクションが大きい。全員が喜びに跳ねるときもあれば、味方のミスにずっこけるときもある。Jリーグが始まって14年。いまだにホームゲームに通い続けることができるのは、一緒に応援し、一緒にサッカーを語る仲間がいるからだ。そこには会話があり主張があり、大人のくせに、みんな子供だ。

静かにバックスタンドで応援をしている諸君、リミッターをはずして心の底から全身で喜びを発散させよう。悔しさを吐き出そう。それが、今の環境では恥ずかしいのであれば、ほんの少し環境を変えてみればいい。たとえば、いつもの仲間でまとまったままに、別のグループと一緒に席を陣取るなども良いだろう。何がスタジアムをもっと良くするのか、それは難しいことはない。ただ、自分の、トリコロールを愛する心に素直でいれば良いだけのことなのだ。























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