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マリーシア・フットボールコラム

最後のダービー 石井和裕

有名な40歳のサポーターが逮捕された。この文章を書く時点で、起訴か不起訴かは、まだ決まってはいない。ただ、事実として、彼は過去に暴力行為でスタジアムの出入り禁止になった経歴がある。

その前日に雑誌「SPA」を買った。「美人アスリート萌えツボ図鑑」の「浅尾美和、ミキティだけじゃない!超人気選手4人を撮り下ろし!」に浦和レッズレディースの安藤梢が登場しているからだ(北京五輪では最も期待する選手だ)。その「SPA」を読んでいたら、別の記事に、このような文章が掲載されているのを見つけた。

「よくよく考えると、自覚があって悪いことをしている大人ってモラルの面で説得をしても無意味だし、法的に問題がないかがりは警察も捕まえることができないような気がするので、誰にも止められない気がします。ってことで、みなさんに大人の自覚があったとしたら、警察の厄介にならないという理由じゃなくて、自分からモラルのある行動をしてもらいたいものです。」

その記事のタイトルは「大人がやっちゃうイタズラは、責任の取れる範囲にしましょうね」だった。

もう10年以上も前のことだが、クラブのフロントやスポンサーを交えたサポーターミーティングで、「試合中のフィールドへの乱入」を咎められた、ある有名サポーターが、反論としてこう言い放った。
「私は自分の責任でやっています。」
そのとき「じゃぁ、警備スタッフを増員する費用を君は負担して責任を負うのか?」と、私は思った。
また、ある有名サポーターはこう言い放った。
「オレは命を懸けて応援しているんだよ。」
そのとき「じゃぁ、優勝のためにビスマルク(当時の読売の司令塔)を殺してきてくれよ。それでも君は死刑にまではならないから、命を懸けたことにもならない程度のことなのだから。」と、私は思った。

今回の事件で最も残念なのは、世間が責任をクラブにも負わせようとする可能性があることだ。しかも、それは警備の不備についてではなく、コミュニケーションについてだ。

「この試合は、マリノスが最下位の横浜FCの二部(J2)降格を断定したように『最後のダービー』という挑発的なキャッチコピーで対決ムードを盛り上げた。」と、神奈川新聞は書いている。

「最後のダービー」の表現については、クラブからの情報発信として正しい行為かどうか、たしかに賛否両論があった。ただ、それはクラブとサポーターとの間で賛否の結論を出すべきことであって、メディアや警察によって決めていただくことではないはずだ。しかも、事件は「最後のダービー」とクラブが表現したことによって起きたわけではない。クラブは「最後のダービー」というコピーで、場外乱闘にお墨付きを与えたわけでもない。世論形成によって、クラブ間の対決姿勢や因縁にフィーチャーした表現を採用したプロモーションまでもが自主規制されてしまっては、国内リーグの魅力は低下するばかりだ。そうなってしまっては、その責任を事件の当事者(不起訴だとしても)がいくら反省をしても償えるものではない。もちろん、逮捕に至った事件以外に各所で起きた事件についてもだ。





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