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マリーシア・フットボールコラム

私が木村浩吉を認めない理由 石井和裕

木村浩吉は現役時代に「もう1人の木村」と呼ばれた。木村和司が不調の折りに天皇杯で大活躍し優勝の立役者となった。そんな木村浩吉が監督に就任。青天の霹靂だった。なぜ監督代行ではないのか。

木村浩吉は、今期、統括本部長だった。強化業務の核となるのは「俊輔プロジェクト」。セルチックから中村俊輔を獲得しようというものだ。毎年のように「復帰」を臭わす中村俊輔サイドとの交渉の窓口を務めてきた。中村俊輔の獲得には10億円程度の資金が必要と見られている。トリコロールは、その資金を調達しなければならない。その一方で観客動員は低迷している。だから、余計な出費を抑えて、より良い条件で中村俊輔を獲得することが命題。おそらく自らが監督に就任する理由は、出費を抑えて中村俊輔獲得に備えることだろう。監督代行として、新たな出費が必要な監督にバトンタッチすることがないのは、上記理由に従えば納得できる。

当然のこと、桑原監督とチームになれるわけがなかった。しかも、朝日新聞の記事によれば、木村浩吉統括本部長就任は桑原体勢が決定してからだ。桑原監督が解任前のブログで「現場以外の所で一枚岩になれなかった。」と書いたのは、プロの監督としてのささやかな、そして最大限の抵抗だったのだろう。そこで思い出してみた。桑原監督辞任報道のこと。「横浜Mサポーター『桑原監督やめろ』メール300通」という報知新聞の記事に、当時の私は驚いた。誰かさんが記者の囲み取材で語った言葉から作られた記事だろう。同日のデイリースポーツの中では「ギブアップすることはない。自分から身を引くことは絶対ない」という桑原監督のコメントと「一部サポーターから“暴動予告”されている」という誰かさんのコメントが記述されている。

そこで私は推察した。クラブは桑原監督の解任を急がず辞任を待っている。しかし、桑原監督は辞任を拒否している。そして、クラブは桑原監督の辞任を促すために「サポーター」を悪用して新聞記者にリークをした。辞任をすれば年俸の全額を支払う必要はないが、解任の場合はある程度の金額を支払う必要が生じるはずだ。私は、桑原監督辞任・解任の綱引きの見苦しさに悲しんだ。

そこで木村浩吉新監督の登場だ。この新監督就任にクラブのどのような意思を感じたか?ジェフの監督交代には、結束を固め、絶対的な信頼感のある監督を招致して、何が何でも残留するんだ、という意思を感じる。かつてトリコロールはラザロニ新監督が就任したとき、明確な意思を表示した。規律と守備的な試合運びに定評のある監督の招致で戦術の見直しを行なうこと。そして、前監督に近しいところで行なわれてきた外国人獲得のラインを断ち、新監督のコネクションで残留に必要な戦力を確保すること。この2点だ。では木村浩吉新監督にどのような意思を感じる?私には、彼の心の中の立場は、今も統括本部長だとしか思えない。

とはいえ、監督としての手腕に優れているのであれば、それはそれで良いだろう。しかし、この2試合をみたところで、手腕には大きな疑問・・・どころではない、素人采配を露呈している。木村浩吉は監督就任記者会見で、このように語っている。「大きな修正は難しい」「雰囲気と2、3、技術的なことを変えるだけで、がらっと変わります」ところが、神戸戦のシステムは、カタチばかりの3−4−3。実質的にはワントップ。長いトリコロールの歴史においても、ほとんど試されたことがないシステムだ。鹿島戦においては、各紙の予想スタメンフォーメーションは当らなかった。それは、練習で成熟をさせた闘い方ではなく、急に決定をしたフォーメーションであることを物語っている。トリコロールの問題は、シュートをどのように枠に入れるかということと、どこでボールを奪い取って攻撃の起点を作るか、ということだったはずだ。失点は少なかったのだ。しかし、3−4−3(実際は3−4−2−1)は守備をも崩壊させた。新たなトリコロールの布陣では両翼は1人ずつ。攻撃的な選手だが、爆発的な攻撃力を持った選手ではない。だから、その両翼のポジションだけで敵の両サイドを押し込むことはできない。しかも逆に、1人に任された両翼は攻めるも守るも、常に数的不利だ。鹿島戦では、その不利な左サイドを兵藤がカバーをすると、中央のへ長谷川が狙い撃ちにされた。まさに「大きな修正は難しい」はずが、大きな修正で、ますます自らを難しい立場に追い込んでしまっているのは明白だ。鹿島戦で、木村浩吉が言う「水沼は動きの質がよくなかった面はあった」「山瀬幸は消極的なプレーが見られた」理由はそこにある。

木村浩吉は、さらに、鹿島戦の後に、こう語っている。「選手たちにすこし頭の中を整理する時間を与えたい」。混乱の原因を把握できない者に感得の資格はない。実力ある選手達の力を発揮させるために、プロ監督招致が必要だ。





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