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フィールドの貴公子が残した思い出の日々 人は世に連れ世は人に連れ...水沼貴史が引退してから、早いものでもう数年が過ぎようとしている。折しも若きマリノスイレブンは身を包むユニフォームのカラーリングも変わり、日産サッカーのアイデンティティーが問われようとしている昨今、今回は歴史の合間に埋もれようとしている衝撃の事実にスポットをあててみたい。 ケース4 「ギョウザの街」宇都宮事件 あれはもうかなり昔の話だ。栃木グリーンスタジアムでの試合を応援するために、マリーシアの一行のうち、10数名が青春18切符を使って上野駅から快速電車に乗り込み、宇都宮へ向かった。その大半は女子高校生。厳つい奴らは、みなクルマで乗り込むはずだった。快速電車で終点、宇都宮駅に到着し、バス停を探すことになった。どこから乗ればいいのだろう?とあたりを見回していると、そこに颯爽と走り込んでくるダンディーなルックスの男性、しかしジャージ姿、があった。 「あ、水沼!」 一同声を揃えて固まった。あの憧れの水沼貴史が、私たちに向かって走ってくる。水沼は、応援グッズを身に付けた私たちに目線を向け、軽くほほえんだ。しかし止まらず通り過ぎ、私たちの後ろの壁沿いにあった現金引出機に飛び込んだ。数秒ののち、呆気にとられる私たちの前を、再びさっそうと走り去り、駅舎から外へ出ていった。そこには、他の選手達を乗せた大型バスが止まっていた。 なぜだ?なぜ現金が必要だったんだ、水沼。 |