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カナリア色の埼玉
石井和裕 6月26日

早朝に世宗(セジョン)ホテルをチェックアウトする。昨夜の準決勝から24時間後には埼玉スタジアムで準決勝が始まる。ファンもFIFAの関係者も、みな今日の午前中に韓国から日本へ移動するはずだ。特にFIFAの役員ともなれば早朝便に乗るとは考えられないので昼前の便に集中するだろう。私の搭乗便も11:30発のアシアナ航空。

10日前に初めて降り立った仁川(インチョン)空港へ。時間に余裕をもって来たので人影は、まだまばらだ。目立つのは、ここでも赤。これから外国へと出かける韓国人の家族もBe the Reds のTシャツが多い。アシアナ航空の搭乗カウンターはスタッフ全員がBe the Reds のTシャツ姿だった。免税店のスタッフにも赤いシャツ姿が多い。

免税店で昨日の主審を務めたウルス・マイヤーさんを発見。盛んに記念撮影に収まっていた。他にもゴールデンジャケットの審判の方が数人。意外なことに、オフィシャルグッズ売場で土産物を買っていた。選手を捜したが見当たらなかった。Jリーグの選手らしき日本人がいたが名前は判らず。さらには、怪しげなFIFAの役員、セルジオ越後、村上龍・・・なんで、あまり好印象の人と遭遇しないんだ。書店でKリーグファンブックを購入する。

飛行機に乗り込むと、しばしいろいろ思い出す。試合のことはもちろん、Mr.Rは何ものだったのだったのかなぁ、どらえもんが「クーニュチョウンチョウンギー!」と言ってグッズを取り出したなぁ(声はハングル、でも声質は日本とそっくり!!)、大田の試合の後は耳鳴りがしたなぁ、MANAで食べた牛の背中肉の美味しさは格別だったなぁ、などと。すると眠りに落ちてしまった。
目が覚めたら日本だった。しかも中途半端に寝足りない。

リムジンバスで帰宅の途につく。隣の席の外国人が埼玉スタジアムへの行き方が判らなくて困っている。いい加減な英語だが教えることにする。今朝までとは違い、今日から私はホスト国の住人だ。歓迎する立場。

自宅にいる時間はわずかに1時間。準備を整えて埼玉スタジアムへ向かう。途中の武蔵野線で在日朝鮮人の人と席が隣になる。以前に市原に在籍したシン選手の友人なんだそうだ。今回のワールドカップでは在日韓国人ではなくて在日朝鮮人も事前申請すれば特別にビザが発給されて韓国で試合を見ることが出来たのだが申請が遅く、チケットは持っていたものの渡韓することができなかったそうだ。とても残念がっていたが、今日の試合は、ものすごく楽しみな様子。

浦和美園の駅に着く。駅前にはおびただしい数の人が・・・チケットを売っている!!もう30分くらいで選手が入場して来るというのに。今日は暴落必至だろうと思っていたが、あとから聞いたところでは15,000円くらいまで値崩れしたそうである。
ブラジルカラーのカナリア色が多い。こうしてみると、同じ埼玉スタジアムへの道のりでも、一次リーグのイングランド-スゥエーデンと比べると、さまざまな民族の顔がある。いろいろな国籍のサッカーファンが集まっている。なかには、私と同じように韓国から来日したと思われるドイツ人のグループの姿もあった。

スタジアムへ入る。圧倒的にブラジル人が多いがトルコ人も予想以上に多い。ただ、なぜかスタジアムの情景に物足りなさを感じる。そう、あの強烈な真っ赤に染まったスタジアムを見続けてしまったためだ。カナリア色では刺激が足りないのだ。
雨が降りそうだがのどが渇いたのでビールを買う。席についてこぼさないように椅子の下に慎重に置く。しまった!日本のスタジアムにはカップホルダーが付いていた!!すっかりカップホルダーのないスタジアムの習慣が身に付いてしまったようだ。

試合は、終盤にブラジルが遊び始めるまではいたく刺激的。枠に飛ぶシュートが多くエキサイティングで気の抜けないゲームになった。特に初めてスタジアムで見るトルコ代表は衝撃的だった。みなキープ力はあるしパス回しが早い。どんどん前に突進してくる。ハサンの右サイドの突破は、なにかが起きるのではないかという予感も十分。試合開始早々に猛攻をかけてブラジルは劣勢になる。まだ始まったばかりというのに、予想外の展開にブラジル人達は「トマノクー!」を連発だ。
しかし、やはりブラジル。徐々にペースを引き入れると、トルコの攻めは単発になる。そしてロナウドのあっと驚くタイミングでのシュート。これには呆気にとられた。埼玉スタジアムのゴール裏席は傾斜が少ない。選手がゴール前に向かってくるとファンは興奮とゴールの予感で立ち上がる。前が立てば後ろも立つ。このスタジアムの椅子は跳ね上げ式だ。だから、ゴール前のシーンになると、まえからうわっとファンが立ち上がり、一斉に椅子が跳ね上がり、バダバダバダバダバダバダバダバダという低い音も前から後ろに移動する。

試合後は混乱に巻き込まれる前にスタジアムを後にする。一次リーグの時は、あれほど不愉快だった案内サインや誘導スタッフの対応も、まったく気にならない。スタジアム内の運営は、韓国よりも、断然日本の方がきめ細かく感じた。帰り道が明快に判ることって大切だ。

さあ、ワールドカップ観戦は残るところ、あと1試合のみだ。




    
(左)どこへ行ってもBe the Reds !!。
(中)セルジオのご機嫌斜め。
(右)昨日はナイスジャッジでした。

    
(左)ノリの良いリズムで売店前に踊りの渦を作り出していた。
(中)各所に露出度の高いブラジルギャル多数。