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愛着
stan 6月26日

今にも泣き出しそうな空の下、ゴール裏には屋根の無い埼玉スタジアムで準決勝ブラジルvsトルコを観てきました。でも宮城の時とは違ってマリノスレインコートを着込んで準備万端です。(結局殆ど降らなかったんですが。)

スタンドを見渡すとカナリアイエローが目に付きます。というか、カテ3トルコ側前段を除いてほぼまっ黄色に染まっています。やっぱり日本にはブラジルが好きな方が多いですね。思いっきりブラジルのホーム状態なのですが、長居でのセネガル戦でトルコにちょっと惚れてしまった自分としては「もうちょっと赤の割合が多くてもいいのに」と思いました。
自分の席はカテ3後段だったのですが、殆どブラジル好きの日本人で埋まっていてちょっと肩身が狭かったです。

試合が始まると長居での素晴らしかったトルコが再び姿を現してくれました。組織的なプレス、巧みなボールキープ、細かいパスワークからの崩し、そしてクロスからの拙いフィニッシュ…って、ハカンのぐずぐずっぷりまでセネガル戦と同じじゃなくていいのに。

ダバラが開始早々に対面のロベルトカルロスのスライディングタックルをあっさりかわしてからトルコが攻勢に出ます。エムレがリズムを作り、前線のハカンが体を張って落としてハサンが拾ってトルコの森島バシュトゥルクが中央に割って入って倒される、そんなシーンが多く見られたように思います。あんなに森島っぽいバシュトゥルクが倒れたらでかいニールセン主審は笛を吹かずにはいられないでしょう。

そんなトルコに対してブラジルは全く手が出ない、なんて事があるわけもなくトルコの攻めをしのぐと、単発ではあるもののニセシーマンを脅かします。大五郎のスピードを活かす為なのか、カウンター気味のスペースを活かした攻めは充分に脅威となっていたのですが、4番ファーティのクレバーな守備とニセシーマンの出足の速さがゴールを許しません。

そうこうしている内に前半終了のホイッスル。長居でのセネガル戦に続いてあっという間に過ぎて行った楽しい前半でした。若干ブラジルが慎重だった分、セネガル戦の方がよりダイナミックで面白かったように思います。

後半が始まるとトルコに疲れが見え始め、ちょっとしたパスミスが目立つようになりました。中盤でボールを掻っ攫い大五郎へ繋いだかと思うと一気に加速していきます。変なタイミングで放たれたシュートはニセシーマンを嘲笑うかのようにゴールへ吸い込まれていきました。

後半はその後もブラジルが攻勢のまま推移します。後半エンドが替わってトルコ側にブラジルが攻めていたのですが、ブラジルがチャンスを掴む度にわらわらと観客が立ち上がります。後半に入ってからはあまりに頻繁な立っては座るの繰り返しに、それなら最初っから立ってた方がいいんじゃないかと思う位でしたが。

立ち上がる頻度が増していったことが示すように、前半と違いトルコは次第に思うように攻勢に出られなくなってきました。そんな状況を打開すべく選手交代の準備をするトルコベンチに、ハカンを下げると思っていたら下がったのは中盤を支えていたエムレでした。その後も前半に幾多のチャンスを作っていたバシュトゥルクとダバラを下げてしまいました。
確かに運動量が落ちていたり裏のスペースを突かれたりという事への対応としては納得がいくものなのですが、これまでのトルコを支えてきた選手の交代にちょっと寂しく感じるとともに、トルコの敗退を覚悟してしまいました。

そんなトルコに対してブラジルは余裕を見せはじめます。特に高見恭子あたりはトルコのプレスをいなす時など小技を入れていたような。そして究極の時間稼ぎともいえるデニウソンを投入します。その手法はブラジルでないと出来ないものだとは思いますが、効果としては非常に手堅いものだと思いました。

組織的とは御世辞にも言えないブラジルですが、個々の持つ技術・戦術的スキル、2人〜3人でのコンビネーションに頼り切ってはいるものの、そのスキルの高さを背景に的確な配置を行うことによってチームとして成り立ってしまう贅沢さを感じました。
まるで寄せ集めのオールスターチームのような、一定以上のスキルを持つ選手のみが集まって初めて機能し得る、簡単な約束事を与えるだけで成立してしまうチームといった感じです。
これは決して貶しているわけではなく、そうした緩やかな成り立ちをしたチームにこそイマジネーション豊かな意外性に溢れたサッカーが可能かも知れません。逆に戦術で縛り付けた方がブラジルの選手は窮屈に感じてチームとしての力は落ちてしまうのではないでしょうか。

そんな稀有なチームであるブラジルに組織で果敢に挑んだトルコでしたが力尽き、敗れてしまいました。最後には思うようにいかないハサンが切れてしまったように見えたのが印象的でした。思えば組織的なトルコのサッカーの中で、ハサンだけは何か違う野性的なものを感じさせてくれていました。それがまた程良いスパイスとなってトルコというチームをより魅力的なものにしていたように思います。
出来れば、もう少しエムレ・バシュトゥルク・ダバラと織り成すコンビネーションを見たかったです。トルコのサッカーは機能美を感じさせるほど組織的で、フェアで爽やかなものでした。
(ブラジルとは多少揉める場面もありましたが。)

もう1試合を間近で見ることは叶いませんでしたが、彼らには3位決定戦が用意されています。
月と星の国の彼らが今一度輝くことを祈っています。