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![]() ギャル 赤い波に身を委ねて 石井和裕 6月20日 前夜は幸運にもR-8のスペイン-韓国戦のチケットを入手することができた。準決勝のチケットは現金の持ち合わせがなく入手ができなかった。この日の昼、私はロッテホテルをチェックアウトし、同じ大田のはずれにあるユソン温泉(はずれといっても大田の宿泊はユソン温泉というのが本来の旅行者には定番)に移ることになっている。おそらく、チケットを持っているMr.Rも、5時間以上離れた蔚山(ウルサン)でのアメリカ-ドイツの観戦のために、このホテルをチェックアウトするか外出するか、きっと昼近くまでしか居ないだろう。携帯電話の番号を聞いたとはいえ、いち早くチケットを入手して安心したいので、とにかく現金を用意しなければならない。すっかり顔見知りになっているフロントスタッフに銀行の場所を聞いた。不思議な質問だっただろう。日本人が銀行を聞いている。不思議というか不安か。幸い、街のはずれのホテルでありながら、徒歩15分の距離に国民銀行があることが判った。まずは、そこで現金を用意。カードトラブルがあってドルの入手ができずウォンを手にした。 朝からMr.Rの携帯電話は繋がらなかった。11:30過ぎにロッテホテルに戻るとフロントスタッフにRという外国人は今日チェックアウトしたか?それとも宿泊しているか?を聞いてみた。そのような名前の外国人は宿泊していないという。謎の男Mr.R。しかし、携帯電話が繋がった。 「現金を用意したのでチケットを譲ってもらいたい。まだあるだろうか?」 と言うと 「もちろんだ。今、ロッテホテルにいるが、あと2時間したら出かけてしまう。」 私はロビーにいることを告げると、5分後にMr.Rはロビーに現れた。チケットを6枚持っている。何枚いる?どれが良い?ってことだ。カテゴリー1の定価は500ドル。受け渡しはフロントカウンターの上になった。 「これはラッキーチケットだ。彼は今入手する。」 Mr.Rは2名のフロントスタッフに言う。私は今日の円とドルのレートをフロントスタッフに質問した。きょとんとしたフロントスタッフだがカウンターに積まれた札束で状況を理解した。ウォンは円の10倍くらいの数字になる。だから10,000ウォン冊は1,000円札と同じくらいの価値だ。しかし10,000ウォン札が一番大きい通貨なので、両替するとお金持ちになった気分が味わえる。一枚500ドルのチケットだが、さすがに今回は600ドルとなる。2枚で1,200ドルだ。1ドル120円として144,000円。これをウォンにすると1,440,000ウォンになる。144枚の札束がフロントカウンターに積まれた。フロントスタッフにも数えてもらう。これは怪しい現場だ。こんな札束を数えながら、韓国でのチケット売れ行きが悪かった理由が実感できた。やはり価格が高すぎるのだ。街で韓国代表以外のサッカーの話をする韓国人も見かけたが、これではチケットは買えない。タクシーの初乗りは150円。夕食は500円くらいで十分。バスは60円。やはりチケットは高すぎたのだ。フロントスタッフも、実際にチケットに触れるのは初めてだという。珍しいから良く見せてくれと言う。 「これは韓国-ドイツのチケットだ。」 とMr.Rが言う。すかさず私が 「横浜は韓国-ブラジルだよ。」 というとみんな笑った。フロントスタッフは 「あなたは幸運ですね。このチケットは、もの凄い高値で取り引きされています。でも、韓国が負けると大暴落しますよ。」 「私は勝つと思いますよ。」 「イタリアには勝ちました。しかしイタリアよりもスペインの方が厳しいと思う。難しい試合だ。でもボールは丸いから、どっちに転ぶかはわからないよ。」 と冷静に言われた。 取引は終了した。 「コリア・ファイティング!」 飲食での会計や、タクシーを降りる際に必ず言う合い言葉。これさえ言えば、コミュニケーションはますますスムーズになる。この言葉を言って、さらに感謝の気持ちを伝えると、私は長く滞在したロッテホテルをチェックアウトしユソン温泉に向かった。 ユソン温泉で予約していたのはスパ・ピアホテルというできて2年くらいの新しいホテルだ。大田では最も客数が多い。ただ、ランクはロッテホテルよりも少し劣る。FIFAの役員達はユソン温泉の別の2つのホテルに宿泊している。 ホテルに着くと、入口を警官がガードしている。なにやら物々しい。チェックアウトを終えてエレベータに乗ると金南一(キム・ナンイル)が乗っていた。2階のカフェに行くと李栄杓(イ・ヨンピョ)がいた。これは面白い。だがカフェには紅茶がなくコーヒーは「ロッテのコーヒーガムを噛み続けたが味がなくなってきて吐き捨てたくなるくらいの薄い奇妙な味」がした。韓国のコーヒー紅茶類は、一流ホテルを除くと、まずまとものモノに遭遇することは難しい。 ホテル全体が浮き足立っている。ボランティアの人も娘を連れてサインをもらおうと遁走中。そのカフェの横を崔龍洙(チェ・ヨンス)が通った。ホテルの名物の大型スパに向かっている。カフェを出て私もスパに入ることにする(なんて馬鹿な!)。 あまりに不味かったコーヒーの口直しをするために、ユソン温泉で最もランクの高いホテルのカフェに行く。夕方になって戻るとホテルの周りは大変なことになっていた。一次外出した韓国代表のバスが帰ってくる時間だった。人垣を超えて入口に到着する。質問に「宿泊している。」と答えて、身体検査を経てホテルへはいる。警察の無線によると300人から400人くらいがホテルを囲んでいるらしい。ほとんどが女子中学生。そして、1階ロビー脇のトイレに潜んでいた女子中学生もいた。バスが到着するとわー!きゃー!と大騒ぎ。韓国で最も人気があるのは安貞垣(アン・ジョンファン)。つぎはヒディングだ。ロビーに残っていた韓国人達は、みな端の方に隔離されたのに、なぜか私は入口のロビーにいても注意されなかった。入ってくる選手達の写真を撮影し、徐々に前に進むが、だれも私をチェックしない。ノーマークのフリーな状態だった。なので、私はさらに前へ進んでしまい、最後には柳想鐵(ユ・サンチョル)にマリーシア・マフラーを手渡した。 「これを持って横浜のファイナルへ来てください。」 突然のプレゼントと日本語に、柳想鐵(ユ・サンチョル)は戸惑っていた。 ホテルを囲んだ女子中学生の人垣と黄色い声は深夜まで絶えなかった。入れ替わり立ち替わりでやってくるからだ。あ、この時間は安貞垣(アン・ジョンファン)ギャルが多いな、この時間は車ドゥリファンが多いなとか。 ![]() (左)到着してみると物々しい雰囲気のスパピア・ホテル。向こうには代表のバス。 (中)公園には参加国の説明パネルが立っている。 (右)FIFA首脳が宿泊したホテルリベラのロビーにあった専用カウンター。 ![]() (左)ホン・ミョンボ。 (中)ギャル人気も爆発のヒディング。 (右)ギャル400人。15階の部屋にいてもうるさいくらいに元気。 ![]() (左)地方都市のコンビニは店の前に椅子、テーブル、パラソルを出している。買ったらすぐに食べれるスタイル。ちょうどおにぎりがブームになっていた。 |