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お金じゃ買えない価値がある。
三沢まりの 6月11日

アイルランドが決勝トーナメント進出を決めた直後。緑の帽子にユニにマフラーに、と心の底からアイリッシュな格好でスタジアムから出てくると、背後からトントンと肩を叩かれます。なんじゃらほい?と振り向けばアイリッシュ。アイルランド人女性の凸凹コンビが興味しんしん覗き込んでます。
なんでしょー?
きょとんとしていると、長身の方が楽しそうに話し掛けてきます
 「シャツ替えてくれませんか?」(それらしき英語)
マスターカードのCMかよっ。

あちらが着るのは緑のポロシャツ。こちらが身を包むのは#6R.KEANEのレプリカユニ。この島国から外に出てサッカー見たことないのでグローバル・スタンダードはよくわからないけれど、交換しようと言われて
断る謂れも特に無く。もともと千駄ヶ谷の路上で買った安物だけに、異存なし。
 「いいですよー」
すると、大いにビビられて。
 「え、ホントに?マジで?」(それらしき英語)
言い出したの、アナタじゃんかぁ。ビビるんじゃなぁい。ともあれ、「ホントにOKですー」的な返事を返すと、今度はホントに大喜び。脱ぐ準備だけして、そしてこちらを見つめる眼差し。
…えっと…なにか?
しばらく見詰め合ってると、ぴょこぴょこジャンプしながら訴えかけてきます。
 「この下、何も着てないんだから、先に脱いで早くちょうだい!」
何も着てないのに交換しようとか言うなーっ。

そんなこんなで、シャツもすんなり交換して、にっこり笑顔で握手…とか思ってると、今度は隣の女性がジタバタもがいています。
 「それ、あたしのシャツなのにー」
どうゆうシチュエーションなんだ!?
着てたシャツをくれた方は大喜びで「ありがと、ありがと!」と繰り返し、その横で本来の所有者が「あたしのシャツなのよぉー」と嘆き哀しむナイスな展開。
オマケに。
 「これ、ダブリンで作ったオリジナルのデザインなの♪」(的ニュアンス)
 「あたしのなんだってばー」
あんまり面白かったので、素直に「ありがとう♪」とシャツ交換したまま別れてみたら、しばらくしてから、持ち主さんはかなりヤケクソ気味の調子でアイルランド応援歌を口ずさみ始めたみたい。
お金で買えない価値が…このシャツにあったら、ゴメンね。(^^;