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サポ論 その1 の5

Jリーグのゴール裏には「ギャルサポ実害説」が根強く残っている。
● ギャルサポが多く、本来のコアサポーターが入場できない。
● ギャルサポの高い声がコールの迫力を失わせている。
ところが、海外メディアはギャルサポを交えて形成される日本のスタジアムの風景を絶賛している。既に、上記の根拠のうち1つ目は、明確に否定することができる。2002年ワールドカップを機に建築されたキャパシティの大きなサッカースタジアムは、「スタジアム内の住み分け」をする土壌をサポーターに提供したのだ。ところが、それでも、スタジアム内での女性への風当たりは強い。

サッカースタジアムにおける女性の存在

サッカーにおける大衆性からは、女性は存在を抹消されてきている。それは、母国イングランドにおいて堅調であり、抹消されてきたのは、女性だけでなく、有色人種やキリスト教以外の宗教を信じる者もである。イングランド・プレミアムリーグ、かつて川口能活が所属したこのクラブの選手は多国籍・多民族で構成されている。にもかかわらず、ホームスタジアム「フラットン・パーク」の壁画に描かれたスタジアム風景のスタンドは白人男性ばかり。(人文学院「サッカーの詩学と政治学」より)。つまり、スタジアムはマッチョなビールをパブでガバ飲みする白人男性によって支配されるのがイングランドでは常識とされてきた。その影響は、サッカーが生まれて1世紀以上が経つ現在においても世界中で微妙な影響力を持っている。マッチョな男性が野太い声で敵チームを威圧する、それがサッカーのゴール裏だと。それこそが「ギャルサポ実害説」の根拠である。ただし、「マッチョな男性が野太い声で敵チームを威圧するゴール裏」が「創造的価値」を生み出し、その価値を認めたファンがゴール裏以外のスタンドを満員で埋めることになれば、結果的に「ギャルサポ実害説」は正しいことになる。

いずれにしれも、キャパシティの少ない空前のJリーグブームだった1990年代前半の風説を根拠に、スタジアムにおける女性を論じることは大きな誤りである。

ガンバ優勝が意味するものとは

J1 05−06シーズンの覇者はガンバ大阪。いわずと知れた、Jリーグゴール裏では、最もギャルサポ比率が高いとされているサポーターがいるクラブである。04−05シーズンと03−04シーズンを連覇したのは横浜F・マリノス。我がクラブもギャルサポの代名詞とされてきた。それ以前に遡ると、鹿島・磐田の2強時代。ともに、この時代はギャルサポ比率が高く、Jリーグ開幕直後と日本リーグ末期に記憶を紐解くと、読売のゴール裏は大半がギャルサポであった。Jリーグが過去二年にわたって発表してきた「スタジアム観戦者調査」はゴール裏だけでなくスタジアム全体を調査対象としているため、あまり顕著な比率の差は見えて来ないが、おおまかな傾向は掴むことができる。ギャルサポが主役のガンバの優勝。それは必然であった。

  
Jリーグ観客の男女比(左男性、右女性) Jリーグ調べ

思い出してほしい。また、写真があれば見直してみてほしい。入団当時の中村俊輔は決して美形とはいえない。いや、むしろ、悪意のニックネームとして「イカ」「虫」「キノコ」などと揶揄された男性である。だが、中村俊輔にギャルサポが飛びついたのはなぜか。ギャルサポには先見の目があるのだ。才能を秘めた未成熟の男性を直感的に見つけ出す能力を持ったギャルサポは男性サポーターには持ち得ない特殊能力を持っているといえる。

男性コアサポーターが目をそらすギャルサポの性質

日産スタジアムには、今もなお多数生息する「元・城サポ」。それは、男性コアサポーター達が気づかない現象「個人サポ履歴」によるものだ。多くの男性は「ギャルサポは移り気で、好みの選手のみを追いかけている。その選手が姿を消すと、そのギャルサポもスタジアムから消える。」と信じている。ところが、現実は、そうではない。大半とはいえないものの、ある程度の比率で、ギャルサポは、次に応援する選手を捜し出す。最初は城、次は俊輔、今度はハユマといった「個人サポ」遍歴を、自らのレプリカユニフォームの背中のプリントに創りだすのだ。それゆえ、今でも日産スタジアム・ゴール裏には30代女性「元城サポ」が存在する。つまり、彼女達はクラブに忠誠を近いつつも、その中の1名を特に応援するという性質を持っているのだ。
彼女達が、この先数年後に、新たな個人サポとしてのターゲットを見つけ出すとなると、その年の差は20歳に近くなる。既にスタジアムには多数出現している「母の心境としての個人サポ」は、今後、ますます増加していくことが予想される。そしていうまでもなく、「母は強い」。

ギャルサポに見る王者の今後

鹿島には、数こそは以前よりも減ったものの、かなりの比率でギャルサポがゴール裏に存在する。ここ数年は戦績が低迷しノンタイトルだが、これは才能のある若い選手をギャルサポが見いだしている証拠でもあり、近い将来に巻き返しの可能性を感じる。

もう一方の磐田の場合、全盛期はゴール裏を覆っていた名波の個人サポ「ナナギャル」。彼女達、そして、彼女達の後継となるギャルサポは、すでにゴール裏から激減している。彼女達の受け皿、つまり、新たな才能を見いだす若い選手は、磐田では見つからなかったのだ。

さて、横浜F・マリノスの場合はどうだろう。ゴール裏のギャルサポ比率は高く、安定しているように見える。ただし、若い選手のネームをレプリカユニフォームに入れているギャルサポはどうか。数多くいるのか。もし、その数が減っているとすると、将来に危機が待ち受けていると考えた方が良い。

ギャルサポは、ゴール裏のコアサポーターにとっては厄介な存在と目されている。しかし、このままギャルサポをサポーターの異端として取り扱って良いのか、今後、考えていく必要がありそうな課題である。



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