マリーシア・ウエブ malicia web

私たちは1992年の結成以来
横浜F・マリノスを応援しています。

サポ論

サポーター独特の概念「うち」。
「うち」という2文字が示すサポーター思考の根本。

先に紹介したデズモンド・モリス著『サッカー人間学 』は大変大きな話題を呼んだ古典的な書籍である。日本語版は絶版されているが、21世紀に入ってからも週刊サッカー雑誌で紹介されていることから、過去、日本においても、サポーター論に、かなりの影響を与えてきたものと推察される。

デズモンド・モリスの分類は、サッカー界においては必ずしも全てが正しいとは評価されてはいない。だが、みなさん、思い浮かべてみよう。きっと、「自分はこのタイプだ。」「あいつはあのタイプだ。」と当てはめることができるだろう。スタジアムには様々なタイプの人が集まっている。そして、どこからがサポーターなのか、その範囲は曖昧だ。

サポーター用語の代表格「うち」

『サッカー人間学 』の話はここまでにし、日本におけるサポ論の話を進める。サポーターは様々な独特な用語を使用する。長い伝統で引き継がれてきた言葉(例えば「宇宙開発」)、自分たちの分類を表現する省略語(例えば「●●サポ(コアサポ、ギャルサポ、など)」)、サポーターグループの仲間内で育てられた敵対する相手を卑下する言葉(例えば「鹿島国」)、といった具合に、その言葉の発生や普及は何種類かの系統に分けられる。

「サポーターが何者であるか」という疑問を解決するためのヒントとなる言葉がある。それが「うち」という広くサポーターが使用している言葉である。代表的な使い方は「うちの次の相手はどこ?」「うちは詰めが甘いから」。

「うち」とは何か?

<大辞泉> 「うち」 自分が所属しているものをいう。
1(「家」とも書く)自分が一員として属する家。また、他人の家も含めて、一般に家庭・家族をいう。「うちが貧乏で苦労した」「うちじゅうで出かける」「よそのうち」
2(「家」とも書く)自分の夫、また、妻。「うちに相談してからにします」
3自分が所属するところ。「うちの会社」よそ。
4手紙の署名で、妻が夫の名に添えて「内」と書き、代筆であることを示す。

「うち」という言葉の通り、サポーターは無意識のままに自分の応援するクラブに所属してしまっている。自分と応援するクラブの関係は一体であり、切り離すことはできないのである。選手は金銭を伴う契約によってクラブに所属するが、サポーターは「愛情」だけで所属してしまっている。金銭は必ず切れるが「愛情」は永遠に持ち続けることができる(2000年には大辞泉のいう「うち」の2は年間26万人が別れているが)。つまり、その「愛情」が大きさに限りない真の永遠の愛情であれば、サポーターが応援するクラブを変更することはない。それゆえに「サポーターに移籍はない。サポーターに引退はない。」のである。もし「移籍」をした「サポーター」がいたのであれば、その「サポーター」はクラブに愛情がなかったともいえる。ひょっとすると愛情はクラブに対してではなく「サポーター」を演じている自分に対して向けられていたのかもしれない。もしくはサポーターではなく「ファン」だったのかもしれない。

<ファンとクラブの関係>  

<サポーターとクラブの関係>



選手の試合後のコメント「サポーターの声援のおかげで勝てました」は正しい「選手とサポーターの関係」か?

上記の言葉は、年に何回かは耳にする、選手定番のフレーズだ。一般に、サポーターの間では「選手が『サポーターへの感謝の気持ちを言葉にすることが少ない』」という不満を持つことが多い。「サポーターの声援のおかげで勝てました」は、まさにサポーターへの感謝の気持ちの表現の代表格で、このフレーズを自分の応援するクラブの選手が言ってくれない、という不満を、よく耳にする。

この「サポーターの声援のおかげで勝てました」という言葉は2通りの解釈をすることができる。

(1)夫婦(大辞泉のいう「うち」の2)においても、常に感謝の気持ちを言葉に出してほしいもの。だから、一体の関係である「うち」の中でも感謝の気持ちは声を大にすべきである。サポーターとしては、選手には積極的に感謝の気持ちを口にしてほしい。

(2)本来は選手がサポーターに向けて感謝の気持ちを、そこまで示す必要はない。選手とサポーターがお互いを一体で支え合うのは当たり前。むしろ、わざわざ感謝の気持ちを「おかげで」とまで口にするのは、相手が本来一体であるサポーターへではなく「お客様」への「感謝」の意味が強くサポーターとクラブとの関係にはそぐわない。だから、サポーターが感謝の言葉を選手に要求するのはおかしい。

さて、あなたの意見は?(次へ





感想・ご意見をfacebookへどうぞ。貴方の気持ちを仲間に伝え、情報を交換しましょう。




題字:書道家うどよしさんに書いていただきました。