malicia witness 2階の目線2007
Jリーグヤマザキナビスコカップ 07-08シーズン Bグループ

4月4日 清水エスパルス  三ツ沢球技場

六本木は雪。4月というのに底冷えする冷たい空気。三ツ沢の丘は桜が満開で、すでに散り始めているというのに、スタジアムは冷たく凍っていた。アウエーでの好転は、行動力あるサポーターから伝わってきている。BS-iの生中継でも情報はもたらされている。しかし、現地に行くことができなかったサポーターにとって、久々に見るトリコロールには、期待と不安が入り交じった複雑な色に感じられる。

そんな、冷たい曇天のような心は山瀬の幸運なゴールで晴れ、坂田の電光石火のゴールで快晴になる。こんな素晴らしいゴールの後に
「もう誰にも止められない!」
と歌うことは、なんという幸せな気分なのだろう。狩野の予想もつかないダイレクトなパスをトラップしたボールは大きすぎるように思えた。しかし、一瞬の間もあけずに、坂田はディフェンダー複数を追い抜く。その瞬間にバックスタンドは総立ちになる。あとは、ゴールラインへと吸い込まれていくボールを見守り、飛び跳ねて喜ぶことを待つだけ。この一瞬は長く美しい。

違うチームのようだった。

みんなが知っている、迷いと弱気と無責任のトリコロールは、このフィールドに存在しなくなっていた。何度もあった手にボールが当たるプレーに、セルフジャッジをする者もなく、プレーは途切れない。「ハンド!」と叫ぶスタンドの方が恥ずかしくなる。全ての選手が持ち味を発揮し勝負する。これこそが、私たちの待ち望んでいたトリコロールの真の姿だ。

采配の妙のその裏は・・・?

現役時代のプレースタイルには似つかない知将・長谷川健太が、前半に平松を投入し流れを変えると、トリコロールは山瀬兄弟のポジションをチェンジ。再び流れを引き戻す。
「珍しく、良い采配だったな。」
という一言に、みんなが反応する。
「ホントに早野か?」
「水沼じゃネェの?」
「選手が勝手にやったんじゃないか?」
もはや、早野監督の采配を信じる者は少数派だ。私たちは、水沼の存在に感謝しなければならない。
「それと、絶対に、影で松永が選手を締めてるからな。」

狩野のオシャレは再び発揮される。

コーナーでボールをキープすべくドリブルの方向を変える狩野。目の前のバックスタンドのサポーターたちは叫ぶ。
「狩野!勝負だ!!」
「狩野!行け!!」
「ゴールを狙え!!!」
突然のUターン。狩野はコーナーに向かうと見せかけて、一気に反転してゴール前へ迫る。
「騙したか!?」
「オシャレすぎる!!」

終盤を盛り上げた挙動不審者。

なぜか、大島は右サイドバックの位置にいた。次のプレーでは、なぜか左サイドバックの位置にいた。次は右サイド。タッチライン際で激しく争い、ドリブルでボールを死守する。近くの味方にボールを預ける。しかし、大島はタッチライン際を下がっていって右サイドバックの位置へ。
「大島!!中に行け!!」
「大島!ゴールを狙えよ!!」
再び右サイド。ドリブルでキープする大島。ボールはタッチへ。そのボールをスローインしようとする大島。
「大島!もういい。中に入ってくれ!!」
「大島!!!お前のゴールが見たいんだよ!」
それでも、外にやってくる大島。
「大島!!!お前、もう、こっちに来るなよ!!」
「頼むから、あっちへ行ってくれ!!!」
その後、ハーフウェーライン付近で危険なタックルを犯してカードをもらう。直後にマイクと交代となる大島。彼に、何があったのだろう。謎だけが残った。

誰も、そんなことを気にしてはいなかった。

ヒーローインタビューで登壇した坂田。
「今まで、調子が悪くて・・・。」
謙虚なコメントに、皆が噛み付く。
「調子悪かったなんて知らなかったぞ。」
「そんなこと言わなくて良いよ。みんな早野のせいにしておけば良いんだよ。」
「誰も気が付かないから。」

坂を下り、橋を渡る。東急ハンズの前の歩道を、笑顔のサポーターが下りて行く。道いっぱいに広がって、大きな声で会話する。男も女も、老いも若きも、「サポーターって、こんなに良い顔をしているんだ」そんな実感をしてしまう笑顔だ。

「やっぱりサッカーっていいね。」
あれほどの寒さの中で90分を過ごしたのにも関わらず、私たちは、いつものブリティッシュパブでワンパイントのビールで乾杯することを選んだ。
「さぁ、次は柏とのリーグだ。」
「早野嫌いの柏サポーターが沢山来てくれると良いね。」
「みんな早野憎しで来るから楽しみだよ。」
「柏の選手もサポーターも、みんな早野のことばっかり気にしている間に、こっちは選手が頑張ってゴールを獲りたいね。」
「こうなったら、早野は、90分間、すっとテクニカルエリアの一番前で指示を出し続けてほしいよ。」
「選手は誰もいうこと聞かないだろう。」
「でも、柏の選手とサポーターは気になってしょうがないだろ。」

今日のポイント

●休むことなく行なわれた前線からの守備。

●さらに守備を強化した清水の投入。
●選手交代で平松の脅威を撲滅
●ちょっと素直すぎた田中裕介の守備。






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