malicia witness 2階の目線2007
Jリーグヤマザキナビスコカップ 07-08シーズン Bグループ

5月9日 柏レイソル  三ツ沢球技場

バックスタンドにトリコロールの選手たちが向かう。試合後恒例の控え選手のランニングに出てきた鈴木が、勢い良く出場選手たちの列に追いつき狩野の頭を軽く叩いて祝福し、また緑のピッチを折り返してホームスタンド側に走っていく。

トリコロールは、この連戦で大きな成果を得ることができた。中盤を省略してプレッシングをかわす戦術を取り入れて挑んできた鹿島国との引分け。固定されたレギュラー陣の前で出場機会が少なかった控え選手たちの貢献で柏レイソルから獲得した勝利。試合後のスタンドの浮かれようは、勝利したことの嬉しさだけでなく、内容、そして勝ち得たものの喜びが大きな要因となっていた(選手のインタビューが一番嬉しかったという人も多いようだが)。

その最大の沸点はマイクのゴールによってマークされた。


小宮山の絶妙なクロスはゴールキーパーが触れることのできない弾道を描きゴールから遠ざかっていく。その高さに油断したのかディフェンダーは競り合うことを怠る。しかし、その高さはマイクにとっては、軽く垂直に跳ぶだけの、ごく普通の高さだったのだ。全く体勢を崩すことなく軽く頭に当てたシュートはネットを揺らす。ゴール裏に向かって軽くステップを踏んで拳を地面に向けて突き出す。スタンドは、それとは逆の方向である天に拳を振り上げて、マイクよりもかなり低空飛行ではあるが飛び跳ねて喜びを爆発する。

この得点で、マイクの迷いが振り切れたようだ。


それまでは、前線での守備もものたりず、動きの緩慢さとあと一つの踏み込みが足りない印象だったマイクが、前線で柏ディフェンダーを追い込み、ボールを奪って攻撃の起点となる。味方のドリブルに合わせて積極的なポジション取りをおこなって、ゴール前に迫る。
「いいぞ!マイク!!」

「行け!!マイク!!」
声援は、いつもに増して大きい。

狩野のゴールは美しい。

どうだと言わんばかりに両手を大きく広げて胸を突き出し、スタンドに向かって大きく全身を見せつける狩野。なにか弱々しく淡白に映ったアウエースタジアムでの印象はまったくない。これが、本来の狩野の姿であるはずだ。値千金のフリーキックでセイフティーな3点差を得る。

前半の展開に不満のある者もいる。

だが、このメンバーでコンセプトが踏襲されたサッカーを見せてくれていた。やや守備の鋭さはリーグ戦と比べれば劣ったものの、圧倒的なゲーム支配を見せていた。積極的な守備ならば日本の第一人者である清水が的確に柏の勢いを消す。いつもよりも深いポジションで山瀬兄弟が上野の守備をフォローする。狩野も4番・アルセウを自由にさせなかった。これができていれば、簡単に失点するような気配はない。右サイドの攻撃枚数が足りない。それは右サイドに守備的な那須を入れているのだから仕方ないことだろう。実際の陣形は小宮山を前に出してボランチを3枚にした変形の3バックに近い状態で試合は進められていく。

柏にとっては気の毒な試合となった。

リーグ重視でカップ戦を捨てている柏。とはいえ、リーグで作り上げたチーム力を底上げするためには、キープレーヤーを使いながら、その他の選手の経験値を上げていかなければならない。しかし、それにしてもアルセウを酷使し過ぎた。これはリーグ戦に与えるダメージも大きいだろう。そして、すでに左サイドバックの2番・小林は前半終了時に疲労困憊だった。後半が始まり登場した折には、すでに脚の送りが不自然になっている。そこを攻略していくトリコロールの攻撃陣。
「行け!大丈夫だ、その2番は終わっているから!!」
「どんどん行っていいぞ!そいつは何もしない!!」
複数のパス交換で右サイドを攻め立てる。それをギリギリ耐える小林。しかし奮闘していた小林に悲劇が訪れる。途中出場で元気よく走り回る斉藤が、出場早々に小林にスライディングタックル。もんどりうって倒れる小林。
「あ〜ダメだ。それはファール。」
「あちゃ、カードだ。気持ちは分かるけど。」
「このファールは結構酷いな。」
「あ〜でも、終わったね。」
「そうだね。2番は完全に終わった。」
「ここで、あんなファールを受けるとは、運がないね。」
哀れ、2番・小林は完全に動きを失った。

メンバーが入れ違っていたとはいえ、惨敗を喫した柏との再戦での完勝。
「今のファールだろ!!」
「いやぁ、そんな判定、前回と比べれば,間違っていようが大したことないよ。次だ次!!」
流れを失わずに90分を支配し続ける。
山瀬のPKが抗議で覆ることもなく先制点を奪い、難無く3−0でゲームを終える。

出場しなかった控え選手も笑顔。素晴らしい雰囲気だ。他会場の結果が表示され、首位に躍り出たことを知る。獲るべきタイトルナビスコ獲得へ、やっと道筋が見えてきた。この先は、一直線に走るだけ。アクセルを踏み込め。


今日のポイント

●攻撃のスピードアップは小宮山の突破から。
●完全に安心して任せられる栗原の守備。
●持ち味を誰もが理解した斉藤。
●選手交代時に拍手も声援もわずか。

 コールやチャントを切って試合の流れを切るのが不安だったのか、
 それとも松田登場以外には無関心だったのか、
 それ以外に理由があったのかは謎。






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