malicia witness 2階の目線2007 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
J1リーグ 07-08シーズン 5月12日 名古屋グランパス 日産スタジアム 前半と比べて両サイドバックの攻撃参加ができない後半。サイドに起点を作る名古屋。そして、スーパーフォワード・ヨンセンのこぼれ玉のケアも必要。だから、トリコロールは思ったようなサッカーができない。ボールを奪っても、奪う位置が深い。中盤は名古屋のミッドフィールダーがしっかりとスペースを埋めている。最終ラインの前に両サイドもスペースは埋められているために、大きなサイドチェンジもできない。そのせいもあって磐田戦と同じような展開となる。先週の鹿島国に対しては、ロングボールへの有効な対応をとれていたが、今回はヨンセンの存在が邪魔すぎる。名古屋は時折ロングボールをヨンセンにいれてトリコロールのラインを下げる。中盤にスペースができれば、本田や金や藤田がボールを拾える。 大島にボールが入っても、近くに味方の選手がいない。クロスを入れようとしてもペナルティエリアには人数が揃っていない。クロスを入れるのを躊躇し、味方の上がりを待つ。そこで名古屋のディフェンダーも戻ってくるため、結局はシュートが撃てない。シュートを撃てるチャンスが少ない。だからなのか、わずかなチャンスが巡ってくると、慎重なプレーが目立つ。これは悪循環だ。 「何やってんだ1億円!」 「ばかじゃねぇの!」 まったく不要なファールでPKを献上した楢崎に、主審もお情けをかけたのか、赤は愚か黄色も提示されない。 以前から感じているのだが、今年のスタンドは勝ちを焦っている。これは、連覇した岡田監督時代の残像を、いまだに捨て切れていないからだろう。今のトリコロールは「常勝」でなければ「強豪」ですらない。数々のタイトルと無敗記録を誇ることができる名門チームであるが、勝ち続けることを求めるのは酷だ。今は、一つずつ土台を固めて、頂上へと続く階段を積み上げていっている段階だ。当然、そこには設計ミスもあり、微調整が必要だ。今年のPKで気になるのは、以前とはスタンドの空気が違うことだ。これまでの10年近くであれば、ずっとPKはキッカーに任せていた。集中力を高めてゴールヘ蹴り込む選手を信じて、沈黙を持ってゴールを待った。そして、ゴールンネットが揺れるのを合図に誰もが喜びを爆発させていた。 しかし、今年は違う。ゴールを待ちきれず歌い続ける。いや、それよりも、ゴールしないことの恐怖を振り払うかのように歌い続けている。山瀬はボールを置きにいくようなキック。助走から、そこに蹴りにいくのが見えるフォームだ。楢崎が難無く止める。 全体には、選手は全力を尽くしていた。ただし、プレーに大きなブーイングが起きたのは1カ所。杉本が負傷退場しているときだ。名古屋の選手が一人少ないのにもかかわらず、パスの出しどころを失い、ディフェンスラインでボールを回す。そして、蹴ったロングボールはタッチを割る。ここで大きなブーイング。名古屋ボールとなると同時にプレーが切れたため、杉本に代わって片山が入る。11人対11人のサッカーに戻る。そして、その後、片山がゴールする。 「そうだ、それを続けていけ!!」 「いいぞ!」 「それを頑張れ!」 スタンドは、これまで約一ヶ月間に目の前で続けられてきた前線からのプレッシングに期待している。選手も、それを理解している。そして名古屋の選手も、それを知っている。 成果のないままに時間が経過していく。 「3人目の交代をしろよ。」 「でも、マイクしかいないんじゃないか。」 「ここで、マイクを入れて放り込んだら、これまでにやってきたことが無駄になる。」 「続けるべきだよ。」 「マイク以外に、攻撃で投入できる駒が、そもそもないし。」 スタンドの意見は分かれる。岡田監督は常勝を求められていた。だから、いつも、ここからはマイクパフォーマンスを選んだ。しかし、結果、チーム戦術は崩壊していった。早野監督は、目先の勝ちにこだわらず、まだ見えてこないワンランク上のトリコロールサッカーへの階段を踏み外さずに歩むことを選んだ。 久々の完敗。日産スタジアムで名古屋に敗れたのは、いつ以来だろう。オフサイドポジションでハユマがさぼっているシーンやハイボールに競り合わないシーンなど、疲れを印象づける場面もあった。だが、まだ5月。酷暑の季節はこれからだ。相手チームも、当然のこと研究をしてくる。上位に食い込むためにも、降格圏から離れるためにも、トリコロールは自らの方向性を見失わずに進んでいくことが必要だ。 今日のポイント ● 跳ね返したところでボールを拾って捌くのは、いつも藤田。 ● オフサイドを主張して手を上げては片山や杉本に追いつけない。 ● 中沢に遠慮して杉本に振り切られてしまった栗原。 ● カードが出なかったということは、吉田はシュートを撃てないはず だから決定機会阻止ではない、と主審に判断されたということ。 ● 最終ラインとボランチ全てをこなせる那須がいるのにもかかわらず 松田がベンチにいるため、マイク以外に フォワードがベンチに入れなかった。 今日の査定
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