malicia witness 2階の目線2007 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
J1リーグ 07-08シーズン 6月24日 大宮アルディージャ 駒場スタジアム 私たちは、今、大いなるジレンマに陥っている。右サイドを守備的にしてから、めっきり得点力が落ちている。そこに追い討ちをかける大島の怪我。8月11日には偽横浜を、完膚なきまでに叩き潰さなければならないが、このところの試合運びには、圧勝する力強さが見られない。そうは言っても、目先のゲームを落とすわけにはいかない。この混戦のJリーグで、捨てゲームにしてよい試合は、数えるほどもない。 暑さで運動量が落ちれば、前線からのプレッシングは難しくなる、と多くの人は言う。大島や坂田は、ボールを追って長い距離を走っている。それがプレッシングの源だと考えられている。だが、じつは、世界各国のゲームを見れば、あれほどまでに長い距離を走らなくても、相手にスペースを与えずにボールを奪い取って、ダイレクトプレーでゴール前に多くのプレーヤーが殺到するシーンは普通に見られる。トリコロールのサッカーが進化するとすれば、そういった、ツートップの負荷に頼らないでプレッシングをする方向なのだが、いかんせん、その具体的な方法のイメージが掴みづらい。 そうこうしているうちに、偽横浜との決戦まで、この大宮戦を入れて、リーグ戦は2試合となってしまった。 右サイドは那須ではなくてハユマ。中央には松田。前節の安定したプレーぶりで、やはり早野監督は松田を起用してきた。松田と中沢が揃えば、那須を加えた変則のスリーバックにする必要はなく、両サイドから攻勢をかけて、大宮を攻略しようという考え方だ。きっと大宮は守備的に挑んでくる。 小宮山は全盛期のドゥトラと化してきた。 もちろん能力は高い。相手も警戒をしている。それでも、自らの能力でドリブル突破をしていく。この試合では、やや孤立気味。山瀬弟からのフォローが少ない。それも、また全盛期のドゥトラのようなのだ。 逆に、大宮の攻撃は徹底している。サイドからのコンビネーションにドリブルを織り交ぜて、積極果敢に突いてくる。藤本のドリブルに、なす術無く、何度も蹂躙されていくハユマ。右サイドは、完全に制圧されている。大宮は、全体に守備に重点を置きながら4141の布陣。両サイドは、2名もしくは3名のユニットになっている。ハユマも小宮山も、持ち場を一人で守りきれ、と言われれば苦しい。 「ヤバい!」 「撃たせるな!」 何度も悲鳴に近い絶叫が上がるが、なぜか大宮はシュートを撃たずにサイドへの展開を選択する。 「決まり事なんだろうけど、ほんとに良いのかよ。」 「まったく中央から攻めてこないな。」 「やっぱ、中沢と松田が、でんと構えて中央にいると逃げたくなるんじゃないか。」 最大のピンチは、試合開始早々のシュート3連発。これを哲也の攻守で切り抜けると、あとは、ほとんど厳しいシュートを浴びずに前半を終える。 ハーフタイムを終えると2人の選手が入ってくる。誰と交代するのか。 ピッチに入ってくるのは大島。そして、もう1人。駒場の立ち見席からは、時計も大型ビジョンも見えず、アナウンスも聞こえない。 「誰?」 「どこに入った?」 と言っているうちに後半が始まる。試合は私たちを待ってはくれない。 大島が加わると、ボールを引き出す動きがセンターに加わるため、パスの出しどころが増える。ボールが、やっとスムーズに動くようになってくる。マイクは前節よりも頑張りを見せたが、自らがパスを呼び込めないので、常に受け身のプレーになってしまい、攻撃が噛み合ないのだ。早野監督も、それを我慢することができなかったようだ。それにしても、あと1人はどこにいるのだろう。 「いないのは弟だね。」 「弟は消えてたもんなぁ。それは妥当だね。」 「で、誰が入ったんだよ。」 「ボランチも河合1人だけのままだし。」 そのとき、プレーが止まる。背番号4が見える。 「あれ?那須がいる。」 「なに、那須?」 「那須が入ったのか。」 「ハユマが1つ前に上がって、サイドバックに那須がいるよ。」 「なるほどぉ、藤本に、かなりやられていたからな。」 早野監督は、数的不利に晒された右サイドのてこ入れとして那須を投入。これで、藤本と波戸を食い止める。負けないために、問題点を解決する。 「これで守備は安定するだろう。」 「負けたくないからね。でも、攻撃面ではどうなんだろうね。」 失点の少ない堅守の両チームの対戦は、スコアレスドローに終わる。それは、妥当な結果と言える。 「次、大切だぞー!!」 「勝たないから、いつも大切な試合になっちゃうね。」 「こんなに引分けを続けていられるのは、オレが知っている限りではリック・フレアーくらいだ。」 「あとは、ニック・ボックウィンクルかな。」 「ま、アウエーは、負けなければこれでも良いよ。ただし、ホームではビシッとしたゲームをしなきゃ。」 「もうちょっと攻撃がなぁ。」 「山瀬って、最近、キレがないよね。」 「何でだろう。疲れかな。ポジションかな。」 「いや、山瀬って、J1で、こんなに長く試合に出続けたことないんじゃないのか。」 今日のポイント ● 以外と巧かった大宮の控えゴールキーパー。 ● 胸トラップからの反転シュートは魅力的なマイク。 ● 勝てないが負けないチームになってきた大宮。 今日の査定
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