malicia witness 2階の目線2007
Jリーグヤマザキナビスコカップ  準々決勝 1stレグ

7月14日 FC東京  味の素スタジアム

試合開始直後から、縦にボールを送り込み、ミドルシュートを積極果敢に撃ち込んできた山瀬。一方、ゴール前での競り合いに、まともに競るつもりはないものの肘を出して姑息な威嚇をしてきた福西。ゲームを創る中盤の二人は、対照的なアプローチで序盤をプレーした。グランドコンディションの悪い試合では、やるべきことをしっかりやったチームが勝つ。それは、豪州が敗れ、地元開催国が歓喜に沸くアジアカップを見ても明らかだ。

試合を終え、すっかり上機嫌でスタジアムの外に出る。

想像以上の雨脚の強さに、おもわず、上滑りしそうな言葉がポンポンと飛び出す。
「こんな雨の中で繋いで崩そうとするガスなんて、どうかしてるよ。」
「どーんと蹴って、ガーンと走って、バーンと撃てば良いんだよ。」
「だいたい、こんなコンディションならば、ウチの選手は、元々強くて巧いんだから、しっかりやればちゃんと勝てるんだよね。もう、屋根付きだったら、今年は全部豪雨でいいよ。」

ある新聞は、「奥、久保を擁して優勝した必勝パターンの再現」と、評した。いや、それは違う。この日のサッカーは、もっと大雑把でプレーレベルは低い。蹴り込む縦のボールは、しっかりとトップに収まる弾道ではない。だが、それで良いのだ。この豪雨の中で、心を強く持って攻め続けるためには、キックアンドラッシュ、いや、百姓一揆サッカーが最も適している。
「繋ぐな!」
「いいから縦だ!!」
おそらく、早野も同じことを考えていたのだろう。やや繋ぎのプレーが裏目に出た試合開始早々の数分を無失点で経過し、ミドルシュートを枠内に撃ち込み始めてから、ゲームの主導権は完全に掌握する。この単純なプレー状況は、那須とハユマには絶好の晴れ舞台(いや、豪雨だ)。スタンドも単純に「行け!!」と叫んでいれば良い。

「バナナコントが巧そうなことはわかった。」
秘密兵器と報じられ、守備に難はあるが攻撃のアクセントにはなる、と噂されていたエウチーニョだが、守備に奔走するばかり。そして、何度も転倒してピッチに倒れ込む。さらには大車輪キックが炸裂。
「あーーーーーーーーーー!」
「ヤバい!!」
これぞ秘密兵器と言わんばかりの、めったに見ることができない技を披露するが、主審の高山さんは、これを「一本」とは認めず、赤い紙は提示されなかった。
「よかったぁ。」
「終わったかと思ったよ。」

後半が始めると、その「お茶目な2番」の姿はなく、マルケスが登場。退場のリスクを排した選手交代で、一層のイケイケとなる。逆転、追加点、さらにガスを小馬鹿にしたようなゴール。
「最高だ!!」
「お通夜みたいになってるぜ。」
スタンドを照らす照明が暗い上に豪雨の向こうに、動きを失い音を無くしたホーム側ゴール裏スタンドが見える。この時点で、この試合は終了した。

松田と中沢が不在のテストとなったその後の別の試合は、前の試合の喜びを吹っ飛ばすくらいに低調。これは最終ラインだけの問題ではなく、中盤からの守備の一の問題も大きいだろう。別の試合なので、ここでは割愛する。

試合後にK林さんはシャトルバスで帰途につく。乗車時間は短いが、乗車までの長い列を待たなければならない。乗り込めば、ほとんどの乗客はガスサポだ。言葉は少なく大敗のショックを引きずっている。そんなバスの中、K林さんの、すぐ後ろの席で夫婦喧嘩が始まる。静かな車内に響く口論は、アウエー勝利の喜びを、より一層、大きく膨らませてくれるデザートだ。

下町エリアに移動して祝杯をあげる4人。刺し盛を頼むと、とんでもない量がずどーんと出てくる。しかも大トロも山盛りだ。「美味い!」と大将を感謝の言葉で賞賛すると、頼んでもいないのに「マグロの脳天」の刺身が出てくる。
「東京はサイコーだ!」

この日、雨を避けて自宅にいた人は負け組。


今日のポイント

●鈴木のベンチ入りまでさせて万全の豪雨決戦
対策。
●期待に応えて役割を果たしたボランチ那須。
●松田交替後は、全体に引き過ぎ。

●秘密が多い2番。







2階席で広げられたビッグフラッグ。後半開始時にも再び広げられた。ちょうど、マリーシアのコアメンバーのエリア。



1点目の騒乱で破壊された携帯電話。



1点目の騒乱で歪んだメガネ。携帯電話もメガネも女性の持ち物。女性3人が並んで座って観戦していたはずなのだが・・・。


この刺し盛が2000円。それが下町のスタイル。

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