| malicia witness 2階の目線2007 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| J1リーグ 07-08シーズン 8月29日 ジュビロ磐田 三ツ沢球技場 猛暑がいつの間にか過ぎ去り、秋を肌に感じる8月末の人夜に、大きく打ち上げた花火は4発。どれもが、スタンドに心地よい爽快な風を吹き込み、試合後のスタンドは興奮冷めあらぬ様子で、今日のヒーロー(それは久々のお立ち台だった)の声に耳を傾けた。 「一年に2点くらいしかとらないんで・・・。」 普通であれば、謙虚なコメントだが、あまりに自分自身を的確に捉えた一言に、スタンドがドッと沸く。その一年に2点のうちの1点は、試合をひっくり返す、そして恐ろしいほどに撃ち終わったフォームが美しいファインゴールだった。 坂を歩いて降りながら、話が盛り上がる。見事な逆転勝ちをした上に、鹿島国が敗れ、偽横浜も降格へ順調に歩を進めている。 「清水の1点は、次はどこで使うかねぇ。」 「そりゃぁ、カップ戦のアウエーだろ。」 「アウエーってことは2倍換算すると、年間3点にってことになるな。」 実にくだらない、サッカーの帰りならではの会話だ。 序盤は、非常に危険な試合運びとなる。雨のせいなのか、疲れでセーブしたかったのか、運動量は少なく競り合いはひ弱。倒れては振り切られ、濡れた芝の上から恨めしそうに審判の顔をうかがう。セットプレーの競り合いのこぼれダマに脚が動かず、どうみても二流でしかない加賀という選手にゴールを割られる。 「倒れないで闘うことからだぞ!!」 この失点で目が覚めたわけではない。まったく反撃の勢いが生まれない。 「やばい!」 広島との対戦で生じた守備のほころび。それと全く同じ方法で左サイドを攻略される。アジウソン監督は、スカウティングで攻略方法を選手に授けてきている。あの試合は、今後の各チームにトリコロール攻略の大きなヒントを与えてしまった。失点には繋がらなかったが、このプレーが、選手やベンチを大きく震撼させたのは間違えない。そこで、マルケスと山瀬弟のポジションをチェンジする。 ジュビロは下位が定位置になりつつある。ジュビロサポーターから、アジウソン監督は、あまり好かれていない。勝てないことはもちろんだが、その選手起用に原因がある。村井も太田も先発で使われることはない。中盤の底にブラジル人3人を配置することでトリコロールの前線からのプレッシャーを巧みに交わすことは出来る。しかし、「弱い読売」のような小さなパス回しはダイナミックさに欠ける。そして、守備は荒っぽい。 「6番、蹴ってるじゃねぇか!」 「その加賀ってやつ、さっきから掴んでるぞ!!」 安易にファールを使って止めに来るので、守備のポテンシャルが低いことは、すぐに見抜ける。 早野監督は早くも動く。 「清水が入ってきたぞ!」 「今日は手を打つのが早いな。」 これで、マルケスの動きもスムーズに。前線で連携が取れるようになる。大島のポストプレーは、この試合でもため息が出るような巧さ。 「マルケスがフリー!」 左にいるはずのマルケスはいつの間にか右サイドに回っている。ウエーブの動きでフリーになるのが見える。そこにボールが出るとマルケスは、すぐさまグランダーのクロス。ニアに一人とゴール前に大島。ネットが揺れる。 「よしっ!!!」 「決まった!!」 立ち上がるスタンドに水しぶきが飛ぶ。実に美しいゴール。スタジアムナビゲーターは大島のゴールであることを告げる。いまや日本代表入りも噂される大エースだ。すでに前半は終了間際となっていた。劣勢に追い込まれて行くジュビロは更にプレーが荒くなる。接触プレーに怒った成岡は、報復ファールを狙って河合に突進する。しかし、河合がそれを察知して、先に身体を入れてぐっと踏ん張ったので、成岡ははじき飛ばされてしまう。その腹いせになのか、次にはペナルティエリア内で中沢を後ろから蹴り倒す。 後半は川口をブーイングで迎えることから始まる。 成岡の姿がない。きっとハーフタイムにも荒れていて使えなかったのだろう。後半開始早々に、ペナルティアリア付近でファール。この時点で、この後の試合の展開は決まった。すぐに田中誠が、まさかのクリアミス。走り込んできた清水が一振り。日本代表ゴールキーパーが守る狭いコースを撃ち抜くファインゴール。その美しさにスタンドは熱狂する。そして、まさかのゴールの驚きも、喜びを倍加させる。ギュウギュウに詰まった自由席スタンンドでは、身体をぶつけ、見知らぬ者も手を合わせて喜びを分かち合う。 そして、その直後に山瀬がゴール。 角度のないところから放ったフリーキックは、ズバリと決まるのではなく、ごちゃごちゃとした混乱の中で、ボールをゴール内に呼び込んだ。 「うぉー!!!」 「ぬがぅあー!!」 言葉にならない声が天に響く連続ゴール。三ツ沢は興奮のるつぼと化す。序盤が嘘のような波状攻撃で、圧倒する。 「俺たちが横浜。もう誰にも止められない!!」 ジュビロのブラジル人トリオは、すっかり運動量が落ちてきている。前からのボールを奪う能力は個々に良いモノを持っている3人だが、ディフェンスラインとの連携は、出来ているようには見えない。脚が止まり、トリコロールが繰り出す深い位置を起点としたロングボールを押さえることとも出来ない。そして、若い選手が多いディフェンスラインは、指揮するはずの田中誠が冷静さを欠いていることもあって、まったくラインが作れない。高い位置にポジションを取りながら、守りの意図をそれ以上は表現できていないとなれば、その先に待っているのは崩壊だけだ。 ロングボールをトリコロールが縦一本に入れると、ジュビロのディフェンダー達はゴールに向かってボールを追う。それを背後から追うトリコロールの選手達。その先にあるのは2つ。トリコロールがボールを奪うかジュビロがファールをするか、その2つだけだ。そしてマルケスが突破する。序盤からファールの多かった加賀が、ここでもファールで止めにくる。マルケスは倒れる。しかいレフリーの高山さんはアドバンテージを見る。そこに、後ろから全力疾走で飛び込んで来るのは坂田。ジュビロのディフェンダーは3人もいたものの、坂田に難無く振り切られ坂田はゴール。 「素晴らしい!!素晴らしすぎる!!」 「どうだ川口!」 「泣け!!」 「地面を叩いてだだっ子みたいに泣けば良いんだよ。」 日本代表ゴールキーパーは、ディフェンダー達に檄を飛ばしている。しかし、その声は、彼らの耳には入っていかないようだった。 荒れるジュビロは、壁の中でのアンフェアな行為で警告を受けたり、怒りの行き場をなくして地面を蹴ったり、と、全くかつての華麗なサッカーの片鱗すらない。ディフェンスラインは乱れたまま、中盤の守備も放棄。最後を締めるのは、大島に裏を取られて諸手突きで後ろから倒した上田。エルゴラッソは、これを「不運な退場」と表現したが、どうみても両手でついているのだから「風雲」どころか「不名誉な退場」か「不潔な退場」もしくは「ふぬけな退場」という方が、本来の状況にあった表現となるはずだ。 「おめー馬鹿か?」 「3点差で負けていてた異常になるヤツなんて、普通いないだろう。」 「完全に試合を投げちゃってるよね。」 「別に相手は大島なんだから、追いかければ追い抜けるのに、なんで両手で押して倒してるんだ。」 「どこのどいつだ?」 「なに、上田?そんなヤツ呼ぶから五輪代表は勝てないんだよ。」 「二度とあんなヤツ呼ぶな。」 ジュビロのチームメイトも大差のない意見だったのか、レッドカードの提示に抗議をすることもなく上田はフィールドから姿を消しフリーキックに。 「おっ栗原がいるぞ。」 「よし、行け栗原!!」 「顔を狙え!ぶち倒せ!!」 雨は、いつの間にか上がっていたがフリーキックの後にスタンドはコーヒールンバとともに一斉に開いたトリパラで埋め尽くされる。夏休みの宿題で絵日記を書くように、多くのシーンを鮮やかな色彩で思い出すことが出来るすばらしいゲームを味わうことが出来た。 「川口、泣けば良かったのに。」 今日のポイント ● 何度やってもマルケスは左。 ●次節、アウエー柏戦で停止はベストとも言える河合のイエロー。 ● 次節以降を見越した的確な早野采配。 ● 途中で不用意なプレーを連発したハユマだが、終盤にはシュート連発。 ●アジウソン、普通はクビ。 今日の査定
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