malicia witness 2階の目線2007 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
J1リーグ 07-08シーズン 9月22日 浦和レッズ 日産スタジアム 記録に残ったのは17本のシュート。数字だけを見れば圧倒していたようにも思える。新聞も「圧倒するが勝てなかった」という論調が目立つ。だが、浦和の試合は、程度の違いがあれ、常にこのような展開だ。桁違いの破壊力鵜を持つガンバは、浦和を圧倒したことがあるが、ほとんどのチームは、浦和の守備を崩すことが出来ない。攻めているようで攻めきれないのだ。アメリカンプロレスで言えば、リック・フレアーのような試合巧者。実力はあるが、それを圧倒的な攻撃力には活用せず、相手の攻めを受けて受けて、受け続けたあげくに、ほんの小さなミスを突いて試合を決めてしまう。これを日本では「横綱相撲」と言う。 「良いサッカーと言うものは確かにある。だが、浦和のサッカーが悪いサッカーなのかというと、それはちょっと違うのではないか。勝ち負けを超えて、面白いサッカーだけが評価されるのもどうかと思う。」 先日、赤坂で一緒に食事をさせていただいたサッカージャーナリストの言葉だ。まさに、この試合を終えて、同じことを思った。では、敗戦は正しく実力を反映した結果だったのだろうか。それも違うと思う。逆に勝てる試合だったかというと、それも疑問だ。だが、少なくとも、引分けならば妥当な結果だったと考えられはしないだろうか。それは、ピッチで、ベンチで、ミスを連発しなければ得ることが出来たはずだ。だから、試合後の拍手に包まれるスタンドで叫んだのだ。 「しっかりやれば、負ける相手じゃないじゃないか。」 「手なんか挙げられないように、腕を縛っちゃえばいいんだよ。」 「セルフジャッジばっかりだったじゃないか。失点のシーンなんて、手を挙げようと思ったら、オフサイドじゃないっぽいから手を挙げるか挙げないか迷っている間に突破されちゃってるじゃんか。みっともないったら、ありゃしないよ。」 失点をしたのは、この1点のみ。だが、ラインコントロールが上手くいかず、オフサイド崩れでピンチに陥るシーンは再三だった。選手のインタビューを見ると小宮山が戦犯のように扱われているが、これは最終ラインだけの問題ではない。中盤の守備が、まったくダメだったのだ。 「今日の清水は全然よくないよ。もう交代させた方が良い。」 イエローカードをもらったこともあり、清水をこのまま起用し続けるのは危険と思われる。だから、交代すべきと考えるのだ。だが、それは、後で振り返ってみれば、清水の問題とはいえないことに気が付く。なぜなら、清水は必死に空いた中盤をケアしようとしていたのだ。だから、攻撃時に顔を出すことが出来ないのは当然なのだ。そして、後ろからのタックルで退場となる。 なぜか、ここ最近の新聞や雑誌記事では、トリコロールは「攻撃サッカーに変身した」ということになっている。確かに大量点で勝つ試合は多い。そこで、マスコミもサポーターも少し勘違いをしてしまっている気配がある。いつの間にか「スクランブルアタック」という言葉さえも、攻撃力を象徴する単語に置き換えられていたりまでする。だが、実際のトリコロールのサッカーは、高い位置でボールを奪う守備戦術が特徴のサッカーなのだ。その結果として失点を抑えると同時に、決定機の数を増やして得点をゲットしているのだ。 昨年の開幕戦を思い出せるだろうか。左を主戦場とはしていたが、前後左右に動き回ってパスを呼び込み、相手ボールになれば前線からコースを限定して第一の防波堤となっていた運動量抜群の選手がいた。彼の名はマルケスだった。今とは別の監督が指揮をしていたが、マルケスが中心選手として機能していた時の昨年序盤のトリコロールは、今年の「ハードワーク」を特徴としたサッカーとソックリだった。 今のマルケスには巧さが残っている。 特に左サイドで困難な体勢から入れてくるクロスは、それだけでも金を払って見る価値があるプレーだ。だが、昨年の怪我以降は運動量が致命的に少ない。だからプレーエリアはトップに近い。そのため、その下のエリアを清水が懸命にケアしていた。浦和のディフェンスラインが深い位置にあるため、坂田や大島と、河合の間には、ぽっかりと大きなスペースが出来てしまうのだ。これでは、攻撃の枚数は少ないし、スピードアップは難しい。清水も生きないはずだ。 早野も、それに気づかなかったわけではない。 ダブルボランチを那須のシングルにして、その前のスペースを埋めてボールを繋ぐために山瀬弟を投入する。だが、その準備が整う前に、清水は退場をしてしまった。手を打つのが遅すぎたのだ。 「お前、今更下がってくるなよ!前にいろ!!」 不思議なことに、山瀬弟を投入するとマルケスは中盤まで下がってきてしまうようになる。お前が下がってこないから山瀬弟は投入をされたのだというのに。その煽りを受けて、山瀬弟は行き場を失ってピッチをうろうろとさまよった。彼にとっては不運としか言いようがない。「話しが違うだろ!」と叫びたい心境だったろう。 実に不愉快な負けゲームだ。わかっていながらやり切ることが出来ずに、納得のいかない結末を迎えることになったのだから腹立たしくて我慢がならない。ただ、幸い、私たちは優勝や残留とは縁遠い順位にいる。最後に狩野を投入して思い切ったプレーに期待をしたように、カップ戦制覇のためのステップを上がって行けばよいのだ。ただし、やるならば全力でやらなければならない。後悔するような試合にしてはならない。 今日のポイント ●席割りを誤ったために立ち見が大量に発生したホーム側。 ●有利不利はないが、ポジショニングが下手すぎる家本さん。 ●大したことがないのに倒れすぎる浦和の選手。 今日の査定
|
|
confidential 秘密 | message 伝言 | photo&movies | reference 参考 | witness 目撃 |
scandal 醜聞 | legend 伝説 | classics 古典 | index | LINK |