malicia witness 2階の目線2007
Jリーグヤマザキナビスコカップ 07-08シーズン

10月10日 川崎フロンターレ  日産スタジアム

「早野はすぐに謝っちゃった方がいいな。」
「ごめん、采配間違えました、って言って、早いとこやり直した方が良い。」

めっきり涼しくなった秋の19時開始のゲームを終え、ほんの少しだけ心を冷やかな風が吹き抜ける。だが、まだ半分が終わっただけだ。
「2−0か3ー1で勝てば良いんだろ。たいしたディフェンダーが相手じゃないんだから、なんとかなるだろ。」
結果は完敗だったが、ホーム&アウエーの1stレグを終えただけなので、会話が極度に沈み込むこともない。そもそもの間違えの始まりは、リーグ3連敗を意識しすぎたことだったのだから。

「別の試合なんだから、リーグの連敗なんて気にしないで、ベストの布陣でやればよかったんだけど、監督って、なんか不安になってメンバーをいじっちゃうんだよなぁ。」

試合前に先発メンバーを見たとき、これは無失点を再重要として捉えたメンバーだ、と誰もが思っただろう。フロンターレ右サイドの切り込み隊長の森を意識した那須の起用。変則の3バックで突破を許さずに守りを堅め、カウンターからゴールを狙う。裏のスペースを突かせるための乾の起用というのが、ありありと見える布陣だからだ。

ところが、予定通りに進まないのがトーナメントの常。

その固めたはずの左サイドでの譲り合いから失点することで、ゲームプランは完全に崩れる。さらに、フロンターレは4バックを選択したために、狙うべきスペースも無い。それを崩すために必要なのは、バックラインの後ろに入れるロングボールと、長い距離を走って何度でも繰り返して揺さぶりをかける根気。

あまりにも仕掛けが少ないトリコロール。

「いやぁ、吉田が良くないなぁ。」
「前の動きがないから、どうしたらいいのか判らない感じになってないか。」
「吉田、山瀬兄弟が、もっと動いて仕掛けないとだめだ。」
「乾は周りが見えてないなぁ。」
「しょうがないよ。使った方が悪いんだから。」
「これは、早野が『ごめん、オレが悪かった』って謝って、今すぐにでも乾を下げた方が良いよ。乾だって気の毒だ。」
「間違えちゃったって感じだもんな。」

ハーフタイムを終えて選手がピッチに登場すると、そこには乾はいなかった。
「やっぱり。」
「当然だろう。ただ、乾を戦犯にするわけにはいかない。使った方が悪かったんだから。」
平日開催のないとゲームだけに、ライト層が多く高齢化が進んでいる日産スタジアムの集客は悪い。だが、応援に駆けつけた者は精一杯の手拍子と声援で選手たちを後押ししている。どうしても勝たせたい。その個々の想いは、きっとピッチに届いたに違いない。カタチにこだわってストーリーを描き出そうとするよりも、状況を判断し、今、やるべきことをやることが、局面を打開できる力だ。それは、どこでも同じ。あるアニメーションの台詞を引用すれば「我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。」その台詞の意味を考えてみると良い。

試合を終えてうなだれる選手たちを先導するように、バックスタンド前に胸を張ってやってきた松田直樹。そして、その姿を見てバックスタンド2階の何カ所からか起きたからコール「F・マリノス!F・マリノス!」、「次が勝負だ!」「松田!頼むぞ!」の声。トリコロールがチームワークを発揮して勝利を得るまで、あと3日。準々決勝2ndレグのスコアは4ー2だったことを忘れてはならない。



今日のポイント

●失点しないために投入をギリギリまでできなかったマイク。
●那須が高い位置で足を止めてボールを待ち続けたために、
 右サイドが上がれない時間が長かった。
●5人も最前列に並んでは、こぼれ玉は奪えない。
●上手だったフロンターレの「攻める振り」。
●PK時にバックスタンド1Fから自然に起きた哲也コール。
●「どうぞ。」「どうぞ。」と味方が譲り合って、
 「じゃぁ私が。」とクロスを入れられた、逆ダチョウ倶楽部の失点。






confidential 秘密 message 伝言 photo&movies reference 参考 witness 目撃
scandal 醜聞 legend 伝説 classics 古典 index LINK