malicia witness 2階の目線2005
J1リーグ 05-06シーズン

4月2日 アルビレックス新潟  日産スタジアム

河合、栗原、この二人は今後、一つのポジションを競争し合うのだろうか。攻守にわたる河合への絶大な信頼感、髪の色を戻して強さにオトナのたたずまいが加わった栗原。有り余る才能を持て余す松田、世界に名を響かせる壁爆弾の中澤、そして職人芸を魅せる中西と、そろった駒はアジア最強。

試合開始早々に左でドゥトラがボールを受ける。一対一のポジションに入れば、ここは勝負だ。ディフェンダーは不用意にドゥトラの脚を見てはいけない。まずはボールを見つめるのだ。脚の動きに翻弄されないように。ところが、そのボール、そしてドゥトラの脚の向こうに、大外から走り込む、もう一つの姿を視認したとき、新潟ディフェンダーはパニックに陥っただろう。試合開始から30秒ほどでの、大胆で、かつ美しいアクションがタッチライン際に現れる。大きなステップでドゥトラを抜かすと、ドゥトラからの、いわゆる『チョン蹴り』でボールが少し動き、一挙に河合が加速をかける。追いすがるディフェンダーの脚が届かない河合の左脚は矢のようなボールを定石通りに送り込み、これも定石通りにニアポストに走り込んだ大島が、基本に忠実にコンパクトな振りでコースを変えてファーサイドのネットを揺らす。

ハロープロジェクトも来なければ、へぎそばと日本酒の堪能もない普通の新潟戦は、この瞬間から特別な試合となった。

「うおっ!」
鮮やかさに惚れ、喜びに跳ね、河合、大島、ドゥトラを絶賛する。
「このままいけば90点獲れるかもしれないぜ。」
早くも軽口を叩く。

その直後、またしても美しい連携。

奥のボールを大島が頭で折り返し、そこに走り込んでくるのは大橋。大橋の縦への飛び込みは才能の開花。前節のセレッソ戦でも、見事にディフェンスの見えない穴に飛び込んで得点を演出している。今回は役割が逆だ。ワンタッチ目でボールをコントロールし、1失点に落ち込みを隠せない新潟の選手やサポーター達をあざ笑うかのようなに、柔らかで緩い分だけ私たちに感動を味わう時間をくれるシュートがゴールに吸い込まれる。

3分間で2得点。驚きの大跳躍がスタンドを揺らす。カップホルダーに固定されていたはずのリユースカップからビールのしぶきが、あたりを濡らし、笑顔がフィールドを包み込む。
「いや、ほんとに獲れるかもしれないぜ。」

完璧な立ち上がりで主導権を握る。反撃は小規模。要の山口の脚の状態が悪いのか、新潟の攻めに動きが少ない。得意の両サイドのアタックも孤立しているので痛手は被らない。そして、ボールを奪って反撃。縦に飛び出してカットした松田は、チームの約束通りに前へ走り出す。撃つべきところでシュートを撃つ。インターバルの間に、しっかりと戦術は整備・徹底されている。

エノテツにとっては難しい試合となった。理由はアレだ。

松田は予想通りに最終予選では使われずフラストレーションが溜まっている。代表明けの松田は精神的に脆さを見せるときがある。さらには、長男の誕生。ゆりかごダンスを行い、はやくもついた2点差。前半の途中から、もっとも目立ったのは松田だったのだ。たった一つの小さなプレーから、エノテツとは声の交錯。エノテツのポジションまでを指示するようになる。それは、岡田監督の言う『存在感』ではあったが、明らかにエノテツも他のディフェンダー陣も困惑している。さらに、自らの不用意な守備対応で抜かれ、後ろから抱きついて警告。ファールしなければゴールまでは一直線。つまり、松田は失点よりも自らの警告を選んだ。だが、一発退場でも文句の言えない反則だ。もし、その時、レッドカードが目の前にさらされたとしたら、松田は冷静にフィールドを去ったのだろうか。

余裕の試合運びは一転して緊張を帯びる。

まだ前半の残り時間は20分ある。
「何やってんだ松田!!」
「しっかりしろ!」
「落ち着け!!」
決定的なピンチこそ無いが、何が起きるか解らないというムードが漂い始める。
「追加点と松田の退場、どっちが先かで試合が決まるぞ。」
「ここは引き締めないとやばいぞ。」
しばらくは新潟の時間となる。

しばらくは大島の活躍を忘れた。それくらいのインパクト。

今度は中央で助走をつけて蹴り込んだボール。
「撃て!」
という叫びと一体になった力強いボールは、コースを変えてゴールに飛び込む。絶大な信頼感を、また一つ確かなものにする河合のゴール。前節はアウエーということもあって、状態の良いトリコロールを頭にインプットしているサポーターは僅かだった。それだけに、この3点目は王者の自信を取り戻す得点となる。河合は1アシスト1ゴールだ。

「ほら、ついに念願の前半5点、いくんじゃない?」
「前半5点だよ。」
軽い言葉も飛び出してくる。だが、目の前にあるのは喜びばかりではない。
「悪いけど、まったくそんな余裕はないよ。松田が前半に退場しないで無事に終わるか退場で消えるか、今シーズンを左右する大切な時間なんだよ!」
そんな心配をよそに、ありあまる運動量で新潟を上回り、経験に裏打ちされた連携で、ピンチの芽をつみ取っていくトリコロール。エノテツと松田の間には不穏な空気は若干流れていたが、無事に3点のリードを保って前半を終える。

ハーフタイムを終え、選手達が姿を見せる。
「さすがだなぁ。」
という声。見れば、フィールドに入る松田に岡田監督が声をかけている。

リーグ序盤の闘いは、ただ、その日の勝ち点3を得る以上の成果を必要とするのだ。

後半にはいると、いないと思われていたジョンファンの姿がフィールドにあった。
「なんとか、点を獲らせてやりたいよなぁ。」
ケガから復帰したエースに、ゴールラッシュのきっかけを作ってあげたい。あちらこちらから、同じ声が挙がる。シュートこそ踏み込みに力が無く精度を欠いたが、深くて素早い切り返しの片鱗は見せた。大島や大橋のゴールに、ジョンファンの存在感は、少なからず影響しただろう。

復調といえば奥の活躍が嬉しい。インターバル前は運動量が少なく、後半にはプレーの精度を欠いた奥が、ボランチの位置からゲームをコントロールする。大橋との関係がよい。奥移籍一年目の坊ちゃんと奥の関係を想い出す。反撃を試みる新潟の攻撃をいなしながら、ついに三節で王者の風格が戻ってきた。中央が活きれば、両サイドは自由に動ける。右も左も、あるときはタッチ際を縦に疾走し、あるときは中央に切り込んでシュートを狙う。

「後ろの声は神の声」という。

松田は、ディフェンスラインを統率し、一列前の奥や那須との連携も良い。ただ、松田が後ろのエノテツに身振りで指示するのはかなり危険だ。松田の後頭部には目はないのだ。エノテツもやりにくさを隠せない。そしてオーバーラップ。サイドの味方がフリーなのだから、渡して松田は戻ればよい。
「サイド!!」
「渡したら戻る!!」
「もう解ったから下がれ!」
「いつまで前にいるんだ!!」
よくない松田が現れてしまった。そんなバタツキの空気が残る中で、見事なパスが小気味よく繋がって失点。素早い攻撃にディフェンダーが足りなかった。
「あ〜。」
「まぁ、仕方ない。あんなにキレイに何本も繋がったら。」

さらに決定的なピンチが出現。運良くヘディングシュートは枠を捉えず命拾い。劣勢の時間が続く。しばらくは耐えるのみ。ゲームの主導権を握られる。断ち切ったのは2本のシュートだった。左脚のコースを切られ選択に苦しんだプレーながら、流れを変えるのに必要な枠内シュートを放ったドゥトラ。そのリバウンドを、思い切って、しかも慎重にコースを狙ってゴールしたハユマ。ゲームは決まる。残った時間は、活躍の奥、大橋をスタンディングオベーションで送り出すためにあっただけだ。

大勝に湧き「YOKOHAMA F MARINOS !!」の声に叫び、続いて不意に流れた「Fまりのす!」というゆずの曲の出だしにこける。スタンドに向かって手を振る選手達に感謝の声援をおくり、選手が去った後は、大満足のスタンドが4つのゴールを語る会話でざわめく。

「おっ!お待ちかねのダイジェストだぞ!」
「最初の3分はノーカットでいいぞぉ!!!!」



今日のポイント

●久保不在を忘れる2試合で7得点。
●撃ちたいタイミングで、きちんとシュートが飛んだ。
●レギュラーを完全確保したエノテツ。
●去年のホームの負けはなんだったんだ。


今日の査定

石井和裕
美しい、力強い、頼もしい、素晴らしい。
ドゥトラを追い抜かしていった河合
500
いるべき場所にいた大島
800
3分で2度の喜び
1500
奥起点、大島がポストでアシスト
500
緩い弾道が美しかった大橋のゴール
1000
松田の理不尽な指示に不満げだったエノテツ
100
どこにでも顔を出した奥
300
力ずくで撃ち抜いた河合とカッコワルイ姿勢でシュートコースを変えたDF
700
普通に凄かった栗原
200
技能賞を進呈したいハユマのシュート
800
ゆず
100
合  計
6700

今野隆之
あそこまで大差で借りを返すとは。今後メンバーが揃ってくるのが楽しみ。
河合のクロス&大島ヘッドで秒殺弾
1000
2点目は見事、レギュラーはもうすぐだ大橋
1000
コンディション良好、軽快な奥の動き
500
徐々に安定してきた那須
500
アシストに加えてゴールかよ河合
1000
ドゥ&田中のサイドコンビで4点目
1000
安の試運転は上々 
300
本大会まで我慢だ松田
300
金髪はやめて正解、大人に見えた栗原
500
普通にゆずの曲だった応援歌
100
合  計
6200

なかむ〜
秒殺を決めたのなんて何時以来だ?怪我人もぼちぼち戻ってきて、主力も復調しての快勝。13連戦の幕開けに相応しい勝利でした。
基本給
1000
大島、秒殺ゴール
500
持ち味発揮した大橋
500
河合、復帰後即大活躍
500
トドメの隼磨の綺麗なシュート
500
ジョンファンも復帰
300
良くも悪くも松田  
200
ゆずの新曲
100
合  計
3600



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