malicia witness 2階の目線2005
J1リーグ 05-06シーズン

4月13日 柏レイソル  国立競技場

雨は上がった。肌寒い国立競技場のピッチは濡れている。脚を滑らせる選手が続出する。見守るスタンドの顔ぶれの大半は日立グループの社員。試合前には社長のキックオフ。しかし、40000枚近くを日立が購入しているのにも関わらず、スタンドには空席が目立つ。そして、日立社員の座席からも、鮮やかなジョンファンのゴールに、自然と歓声があがった。

レイソルの左サイドは、ストッパータイプの近藤。

だから守備に重点を置き、攻撃参加は少ない。右の波戸は論外。序盤から、ハユマとドゥトラが大きく押し込み主導権を握る。ドリブルにパスを織り交ぜての攻撃は、早くもハユマが抜け出して南との一対一。惜しくもシュートは止められるが、その後のゲーム展開を予感させる美しい攻撃だ。

柏の攻撃陣はジーコジャパンのレギュラーと、元横浜の期待はずれと韓国のマラドーナ。韓国のマラドーナこと崔成國は右サイドを強引なドリブルで突破しようとしてトリコロールディフェンダーと交錯する。
「ファールじゃない!」
「行け!止まるな!!」
そこからイッキのカウンターで、韓国のエース・ジョンファンはシュートまで持ち込む。プレーが途切れると、長田主審は、反対側のゴールに近いエリアで警告色の赤をカクテル光線に照らして右手で真っ直ぐに天に掲げている。そして、こちら側にゆっくりと歩いてくる。
「えっ?赤?」
「誰が?」
「いつ、やっちゃったの?」
「まじかよ。」
「ボールと関係ないとこか?」
しかも、長田主審は誰かを指さしている。
「中澤!?」
スタンドは静まり返って凍る。無音の中、長田主審は右手をおろし、その赤い・・・キャプテンマークを中澤に渡した。
「なんだよ!」
「あっぶねぇ!!」
「紛らわしい色なんだよ!!」
この日の最大のピンチは、こうして序盤に訪れ、意外なカタチで幕を閉じた。

たった中2日でジョンファンの芸術を今日も堪能し後半へ。

ジーコジャパンでの奮闘の結果、調子を崩した中澤はキャプテンとして帰ってきた。だが、体は重い。ゴール前で安永に身体を預けられ、しかも振り向かれてシュートを撃たれる。
「向かせるなよ!!」
「安永じゃなかったらゴールされてたぞ!!」
油断ではなく、あきらかに体調は悪い。

逆に抜群の存在感と威圧感を発揮した男がいる。

松田とエノテツの連携は不安の欠片もない。ボールを跳ね返し、ドリブルをさらう。松田にはジーコジャパンのレギュラーなど、普通に対面すれば敵にもならない。
「いいぞ松田!」
「ナイスタックルだ!!」
さりげないプレーにも声が飛ぶ。前節の後遺症はなく、むしろ普通に凄い松田が帰ってきた感じだ。
そして、那須も的確なポジションを取り、ボールを簡単に後ろに下げることもない。だから、守備から攻撃へのテンポが小気味よい。ドゥトラとハユマの間を大きくボールが動く。大島もアクセントになり、大橋は針の穴を通すようなパスを通してくる。さらに、超人的なプレーを見せる奥。
「奥!偉い!偉すぎる!!」
「ここにも奥か!」
「ナイスカバーだ!!」
ボランチからの大きな展開はもちろんだが、守備の対応が素晴らしい。攻撃の芽を、素早いチェックで摘んでしまう。右に左に、レイソルの選手達は、ボールを持てば、そこにはピタリと奥がやってくるのだ。

そんな奥だが、一つのパスミスが仇になる。不意に喰らったカウンターで、カバーに入った那須が後ろから倒す。
「また、やっちまった!」
「でも、倒すならば早く倒さないと、遅ければ遅いほど一発退場になる確率が高くなる。」
「今のは、奥の責任だから、那須は仕方ない。」
「前節のは那須の自業自得だったけれど、今のは那須はよくやった。」

優位に進めるが決定機に決まらない。

那須からドゥトラへ。ドゥトラはシュート。南は弾き、ハユマの目の前にボールが来る。トラップしコースが空く。狙い澄ましたシュートは、僅かに数センチ、ゴールポストを外れてしまう。ハユマの軸足はスリップしたようだ。

柏の反撃は普通の選手交代からだ。

「まじか。2人ともいなくなるのか。」
「味方が減って敵が増えるぞ。」
早野監督は波戸と安永を切って谷沢とリカルジーニョを入れてくる。これで、レイソルは攻撃の駒が揃って、やっと組織的な崩しにかかる。押し込まれる。逆に岡田監督は、前がかかりになるレイソルの裏を狙って大島に代えて坂田。

流れは一つのプレーで変わる。

ジョンファンのフリーキックが南を強襲する。さらには、右から突破のハユマが、抜ききらないタイミングで、ググッと曲がって入ってくるクロスをアーリーで入れる。中央に走り込んでいるのは坂田。ドンピシャリ。南が弾く。
「惜しい!!」
「あ〜!!」
ハユマがクロスを入れた瞬間に総立ちだ。
さらには、大橋が細かなドリブルでコースを開けて逆サイドへのシュート。僅かに外れるが、美しい弾道に審判団が惚れたのか、誤審でコーナーキックを得る。
「決めろ!!」
「決めちまえ!!」
「誤審の今こそ決めるんだ!!」
押せ押せだ。
大橋のフリーキックをニアに走った坂田がノーマークで合わせる。
「それは決めろ!!」
「惜しい!」
「決めなきゃダメだ!!」
「気をつけろ!!油断するな!!」
「この後引き締めないと!!」
「ここからが勝負だぞ!!」
みな、前節の過ちを忘れるほど時間を無駄に消費していない。

案の定、流れは変わってレイソルの総攻撃が始まる。通るはずのないパスが通り、中澤は右サイドにおびき出される。ピンチに次ぐピンチ。ギリギリで跳ね返す。

だが、ここからが、日立デーのレイソルだった。

残り時間が僅かになってコーナーキック。大ピンチだ。日立社員からの歓声が起きる。南が上がってくる。ゴール前まで来る。最後の最後に全員攻撃でコーナーキックを押し込もうというのだ。
「おいおいおい。」
「意味ねぇ〜。」
南はトリコロールのゴール前へ。だが、トリコロールのカウンターに備えて2人の選手が後ろに残っているレイソル。
「それじゃ、意味無いだろ!!」

「後は攻めてるフリしろ!!」
「外で回せ!!」
前節と同じ徹は踏まない。コーナーで危険なキープもしない、ボールを動かして時間を使う。試合は終了。見事な勝利だ。
「良かったぞ!松田!!」
「坂田、おかえり!!」
そして、アン・ジョンファンへのコール。

「いやぁ〜Jリーグって面白いなぁ。」
「日曜は、あんなにつまらなかったのに。」
「おっ、ガス負け。」
「浦和引き分け。」
「いや、浦和の試合は、まだ終わっていないぞ。」
「な〜んだ、まだ終わっていないのか。じゃ、浦和は、まだ負ける可能性もあるってことだな。」
軽口が止まらない。寒さを感じたのは試合開始前だけだった。



今日のポイント

●連携がよく安定感を増したエノテツ
●ジョンファンとは格が違いすぎた崔成國。
●普通は4バックの方が攻撃的だが3バックにして攻撃的になったレイソル。
●ウエーブの動きで坂田が帰ってきた

●日立デー、日本語で書くと「日立日」。上から読んでも「山本山」


今日の査定

石井和裕
中2日間で大幅に進歩した。さすが応援のしがいがある。
那須のパスからドゥトラのシュートにハユマのシュート
500
ハユマの美しい弾道クロスと坂田の飛び込み
300
ジョンファンの芸術弾(平日版)
1300
松田の圧倒的な存在感
200
超人的な運動量の奥
600
長田さんの奇襲
300
社員証も名刺も不要で枚数を言えばチケットをくれる日立受付見学
100
合  計
3300

今野隆之
安らしいファインゴールと坂田の復帰だけで行った価値があった。守備がまだまだ怪しいけど、何とか完封したのだから少しは落ち着くかな。
こっち側で見たかった安のゴール
1500
隼磨追加点…ならず 
500
坂田の復帰弾…ならなかったけどよかった
1000
相手に助けられた感があるけど初完封 
500
紛らわしい中澤のキャプテンマークの色
300
合  計
3800

奥田幸一郎
勝ち点3が何よりの薬。坂田も復帰、上野、久保も練習試合で復帰したみたいでようやく目処が立ってきましたな。
相手チームのスポンサーデイには相性よろし
500
完封勝利
1000
坂田復活
1000
三戦連発安貞桓
2000
終盤のグダグダはどうにかして欲しい
-200
合  計
4300

謀日立系社員
CMに使うんなら、もっと勝てそうな相手にしてくれないと企画倒れ。こんな企画に宣伝費が使われているのかと思うと腹が立つ。
会社イベントなんだから相手を選べ
-1000
ガンバ松下じゃないと燃えない
-200
寒いので別の季節にしてくれ
-500
俺たちの稼いだ間接費を無駄にしやがって
-2000
残業代ぐらいは手当よこせ
-3000
安貞桓かっこよかった
500
合  計
-6200



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