| malicia witness 2階の目線2005 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| J1リーグ 05-06シーズン 7月6日 鹿島アントラーズ 日産スタジアム 愛するものを守りたい、という心が暗黒面に付け入る隙を作る。フォースを信じ共和国の為に忠誠を尽くすはずのジェダイの騎士は邪悪なシスの無限のパワーを求めて闇に落ちる。 スターウォーズ・エピソード3は、そんな話だ。 前半4分での失点。そして、次のプレーで小笠原が倒れる。どんな接触があったのかわからない。顔を押さえて倒れる。試合開始から、たったの4分での出来事。これが、いつもの鹿島国のやり方。国際試合は異文化との交流の場でもある。こんな時間から倒れるなんて、怒りと同時に新鮮な驚きでもある。 試合開始早々にハユマの鋭いクロス。ドゥトラの右足のシュート。左右からゴールを強襲する。あきらかに中盤のプレッシャーが少ない。これが4バックの成果なのか。手数をかけずにサイドに回す。小気味良い。 だが、明らかに準備ができていなかった。 「見てない!」 声が飛ぶ。小笠原はクイックにコーナーキックを蹴り込み、空中に飛んで競り合うのは、たったの2人。それは、いずれも鹿島のユニフォームを着ていた。誰一人飛ぶことができず、あっけなくゴールを割る。小笠原らしいファインプレーだ。 「さぁ、まだまだだ。やり直せ。」 直ぐに気を取り直して手拍子が始まる。 その直後の試合の中断。小笠原の痛みはわからない。さらには、前半16分で、またしても倒れる。鹿島国の暗黒面のパワーは、かつてよりも確実に力を増している。 「お前ら、もう時間稼ぎか!?」 「何時になったら終わるかわかんねぇよ!」 「そんなことやってると、外国に帰れなくなる奴がでるぞ!」 「どこが痛んだよ。腹痛かぁ!?」 流れは常にトリコロールにある。ディフェンスラインの裏を狙うパスが多い。大島はゾルダー鈴木とは対照的。ディフェンダーを背負って停滞する場面は少ない。前を向いたプレーが多い。だから、試合が止まらない。だから、失点した負けられない試合の悲壮感がない。坂田とともに常にゴールに向かって進んでいるのだ。 素早くボールを動かし美しく、かつ力強く攻撃を繰り広げるトリコロール。鹿島は反則と攻める気持ちを削ぐような寝技で時間を浪費する。 「サッカーやれ!!」 「そんなのフットボールじゃないぞ!!」 あきらかに鹿島国は日本のサッカーを、Jリーグを、そして日本のサポーターを舐めている。日本の審判を、日本のフットボール・プレーヤーを舐めている。だから、国際試合ではけっしてできない姑息な行為を、堂々と使うのだ。もし、小笠原が、そのような行為を中東の地で行ったらどうなるか。非難されることはもちろんだ。だが、あまりに繰り返せば報復をうけるだろう。報復で相手が警告を受けるのならばよいだろうが、きっとそれ以上。何日か、もしくは何週間かの怪我を負う程度の覚悟が必要な代償となるはずだ。なんでもありのフットボールにも敬意やモラルはプライドとともに必要だからだ。 「鹿島はサッカーやるつもりないんだから付き合うな!」 「相手がサッカーやらないんだったら、こっちはサッカーやって勝て!!」 那須はまさに舵取り。 ボールを引き出し、素早くコースを変える。足下ではなく、自ら動き出してスピーディーな流れを活かし、時間をかけずに攻めに転じる。気の利いたドリブルでの小さな突破でパスコースを創り出す。これぞボランチ。上野とともに中盤を制する。さらには、右サイドを突破して曽ヶ端との一対一も。そして、そのプレーは、ペナルティエリア内で小笠原を倒して置き去りにして生み出した一対一だ。 那須と上野が君臨すれば、奥と大橋は自由にやれる。これこそが、ディフェンスラインを4枚にして攻撃的に展開したかった真のトリコロールの力ではないのか。ある新聞は「王者の意地」と見出しを付けた。だが、目立ったのは意地なのか。いや、本来の力ではなかったのか。他の新聞が付けた見出しはこれだった。「横浜 目覚めた」。そう、ついに、本来の強いトリコロールが帰ってきたのだ。 だから生まれたのだ、あの唐突な芸術的な大橋のクロスが。 獲るべくして獲った。沸き立つスタンドには同点の喜びはあるが驚きはない。このサッカーであれば当然であるし、あの暗黒面には当然の報いでもある。 「どうだ!ザマァ見ろ鹿島!!」 「勝つのは俺たちなんだ!!」 絶叫する。 遅れてきた仲間に簡単に流れを説明する。・・・だから、勝たなきゃいけないんだよ。試合は進む。簡単に倒れるゾルダー鈴木。見苦しいファール 「こりゃ、絶対に勝たなきゃいけませんね。」 「だろ、絶対に勝たなければならない試合なんだよ。」 ハユマはとんでもないことを思いついた。 タッチ際でホイッスルが鳴る。トリコロールのフリーキックだ。いつもの習慣でアレックス・ミネイロがボールに触れて、少しボールを動かす。今回のルール改正では、プレーを阻害する、そんな小さなアクションでも警告の対象だ。 「カード出せ!」 「カードだ!!」 少し間を置いてカードを出す大田さん。これでアレックス・ミネイロは4枚目。次節は出場停止だ。沸き立つスタンド。だが、ハユマは、スタンドの私たちよりも一枚上手だった。カードを出され興奮するアレックス・ミネイロのすぐ足下に、もう一度ボールを置いたのだ。 「もう一回!!」 「もう一回蹴れ!!」 「蹴れ!!」 「アゲイン!!」 「いいから蹴れよ!」 触ればもう一度の警告。二枚目で退場だ。ハユマはとんでもないことをやる男だ。 前半終了間際。中央で坂田が抜ける、アリが倒す。後ろから引っ掛けたのだ。 「カード!」 「赤だ!!」 「後ろからだろ!!!」 「決定機阻止じゃないか!!」 出されたカードは黄色。前半のうちに逆転する大チャンス。壁が近づく。那須を押し出す。奥が蹴る。惜しくもゴールにはならなかったが、勢いを後半につなぐよい盛り上がりとなる。 「勝つとか勝てるとかじゃないぞ。あんな酷いチームを叩きつぶせ。」 後半が始まる。ドゥトラから突然のクロス。横撃ちのヘッドはゴールマウスを強襲。大島の爆撃は鹿島国を脅かす。後半もスタンドが一体となったプレッシャーを、このインチキ首位チームにかけ続けるのだ。 哲也からのボールを受けた坂田が、ダイレクトでボレーシュート。パンチで返す曽ヶ端。次は上野の強烈ミドル。これも曽ヶ端が跳ね返す。後半は、前半に増して上野が前に顔を出す。 スライディングのギリギリの攻防。際どいプレーに一喜一憂。 「ファールか!」 「ファールじゃないのか!」 「いつからルール変わったんだ!!」 「鈴木ルールかよ!」 「よし行け!!」 「我慢だ!倒れるな!!」 じっと座ってはいられない。そして、そんな派手なプレーでなくとも、素早いサイドチェンジ、那須と前線が連携をとった囲い込みの守備、そんなところにも、大きな拍手が起きる。日産スタジアムは、Jリーグにおいては独自のムードを創り始めている。選手のプレーとスタンドの拍手は一体感を増している。試合の流れをとらえたゴール裏のコールと混じり合い、ホームの力で赤い外国チームを追い込む。 体を入れられる。ボールはゴールキックになりそうだ。諦める大橋。 「諦めるな!」 「獲れなくても、なんか嫌がらせするんだよ!!」 ずっとペースはトリコロール。流れは変わらない。中盤は完全に制している。上野と那須の動きが鹿島を封じている。となれば、鹿島がとる最高のディフェンスはこれだ。「倒れる」。 だから罵声。 大島がゴール前で絶妙なターンを見せながら、最後のシュートを坂田に譲りため息を呼ぶ。次のコーナーキックにはオシャレなウエーブの動きでボンバーヘッド。たった一人、空中に浮いてボールを叩く。ボールはネットに突き刺さる。 あまりの嬉しさに吐くかと思った。仲間は抱き合い、肩を叩く。隣の席の親子連れも、その輪に加わる。ついに逆転した。 それまで、時間を使い芝生の上で寝転んでいた鹿島の選手は、寝ることをやめた。誰も倒れない。それは、本当に足があたっていて、しかも大田さんの誤審のために鹿島に与えられるべきフリーキックが与えられなかったシーンでも同様で、けっして倒れることはない。 前半に激しくポジションを替えていた大橋のスタミナが完全に切れる。上野と那須の動きも追いつかなくなる。清水を入れて守備を固めるが、どうしても下がってしまう。 「上野〜!追いつけ!」 「頼む、上野、行ってくれ!!」 非難ではない、願いなのだ。 あきらかに帰りの混雑を気にしていた親子。荷物をまとめる。だが、そこまでだ。この試合だけは途中で帰ることができない。荷物を抱え、たちあがってフィールドのトリコロールに声援をおくっている。 試合終了のホイッスル。トリコロールの騎士達は、邪悪な外国チームを倒した。ゆずの歌が、勝利の躍動感に、これほど心地よくシンクロするとは知らなかった。 新横浜の横浜線、東神奈川行きは、いつも大混雑だ。どどっと押し込み斜めにひしゃげてぎゅぎゅ埋めに乗り込む。 「大丈夫、大丈夫、今日は、みんな機嫌がいいから、トラブルにはならないよ。」 今日のポイント ●とてつもない弾道の大橋クロス ●4トップとは何だったのか?もろに指揮官の差が出た試合運び。 ●皆無だった鹿島のサイド攻撃。 ●危なげなくゴールを守りきった哲也。 ●こういう試合には強い河合。 今日の査定
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