malicia witness 2階の目線2005
ヤマザキナビスコカップ 05-06シーズン

8月6日 準々決勝 大宮アルディージャ  熊谷陸上競技場

「日本一暑い街」熊谷へ戦々恐々として訪れる。
「おっABCマートがあるぞ!」
「ライトオンもある!」
至って普通の地方都市だった。駅前広場は清水くらいか。ビルの高さは3倍近くある。正面にあるのは大きなラグビーボールの像。そう、熊谷は埼玉県内のスポーツの拠点であり、ラグビーの盛んな街。秩父宮、花園と並ぶ大きなラグビー場がある(最近では日本最高のラグビー場は豊田スタジアムだが)。というわけで、ラグビーの街ということはサッカー人気は今ひとつ。

涼しく風が吹く。過ごしやすい夕方だ。

あまりに恐れすぎていたのかもしれない。
「なんだ、涼しいじゃん。」
ただ、風向きによっては、牛臭い空気が流れ込んでくる。

試合は夏の展開を守る。激しく攻め立てることはしない。隙をうかがって勝負する。だが、シュートが少なすぎる。何度か腰が浮くが、記憶に残らない攻めだ。
「いつ、どこで、だれとやっても相手合わせ、だね。」
トリコロールの伝統は岡田監督でも忠実に守られている。

サッカーでオレンジ軍団と言えばオランダだ。

大宮の三浦監督はクライフほどではないが、みごとな全員サッカーをまとめあげる知将だ。まさに、プチオレンジ軍団。消極的なトリコロールは、ペースをプチオレンジに委ねている。

ゴール裏からおきる「オーレ」の声は何度あっただろう。パスを繋いでいるのではない。出しどころなく繋がされているのだ。むなしく「オーレ」が響く。

プチオレンジの本領はサイドの連携で発揮される。

攻めのテンポが速い。時間をかけずに縦へボールが入る。そして、サイドでボールを持ったら、必ずフォローが入る。後ろから駆け上がって、さらに外のタッチライン際を追い抜いてくる。そこで、チョンっと縦にパスが渡されるか、その動きにトリコロールのディフェンダー達が外への小さなモーションをかける瞬間に中へ逆を突いてドリブルで仕掛けてくるか。このシンプルな常識的な攻め口に手を焼く。ハユマもドゥトラも、守備に回れば、ほぼ必ず数的不利なのだ。そんなこともあってか、守備に連動してサイドの攻撃も展開できないトリコロール。ボールを持つ時間は長いが、攻めている時間は短い。これではリーグの負けパターンを繰り返しているではないか。幸いなことに、横山というフォワードのレベルが低かったため、シュートが枠に飛ばず守りきる。

「おいおい、運だけで守りきれるのかよ。」

戦術の熟成度が違う。やはり、奥、久保、ジョンファンといったスーパーな選手の個人技に頼ってきたツケが、ここにきて出始めている。

「引き分けで良いのか!勝たなきゃダメなんだぞ!!」

コールの合間に声が飛ぶ。手拍子とコールで精一杯。フィールドに声を飛ばすことができない展開。試合前には
「山瀬を使わずに逃げたいね。」
と、語っていたのも忘れて、「早く山瀬を出してくれ」と願う。無得点の均衡状態とはいえ、前半終了間際にはポスト直撃の大ピンチも招いている。引き分けでは苦しい。勝たなければ。

「熊谷で、こんなに涼しいなんてめったにないんだぞ!勝ちに行け!」
父親の実家が熊谷近郊にあるというK林さんの声が飛ぶ。だが、後で調べてみれば、風があって涼しく感じただけで気温は30度以上あったのだ。
「ここから勝負だ!勝ちに行け!」

「引き分けではつらい」そんなムードの時間に異変が起きる。

それまでの機械仕掛けのようなプチオレンジがミスを連発し始める。簡単にプレゼントパス。
「よし、もらった!行け!!」
明らかに動きが落ちる。根性が足りなかったのはプチオレンジの方だった。トリコロールは、山瀬や清水を加えて運動量で上回り始める。そして厳しいボールを追いかけて足を出し、清水がコーナーキックをゲットする。
「よし!」
「よくやった清水!!」
最大限の拍手で賞賛しコーナーキックのゴールを向かい入れる準備をする。それに応える栗原。豪快にプチオレンジは弾け散った。

「とりあえず最低限の勝利は得たね。」
「もっと厳しくいかないと…。」
「いや、今は、これがいっぱいいっぱいでしょう。」
「しばらくは内容は問わずに一つ一つ勝っていくしかないでしょ。」
「まだ、半分だ。」
「勝負は三ツ沢。」

運転手がアナウンスルル。
「え〜…中の方へ詰めていただいて…。」
「え〜…はじの方から…。」
「おいおい!運転手、迷わずに『奥』って言えよ!」
心配された渋滞もなく20分かかるといわれたバスは15分弱で熊谷駅に到着する。
「熊谷駅前に到着です。順序よくお降りください。」
という運転手のアナウンスに間髪入れず
「勝者が先に降ります。」

辛勝で、まだ半分とはいえ機嫌がいい。オレンジ色のシャツの人々を残してバスを降りる。プチオレンジには、明らかにレベルが低い選手がいた。だが、それでも戦術の浸透度で互角の戦いを挑めてしまうのがサッカーの面白みであり怖さ。第二戦も油断はならない。まだ、この敵との闘いは半分を終えただけなのだ。

熊谷駅からの予想外に早い乗車で、深夜にならずに帰れそうだ。だが、ここから上野まで1時間以上ある。座りたい。なのに到着する車両は席が埋まっていた。座っているのは、みな、おとなしそうな男。サッカーシャツの奴もいる。さっきは意気揚々とバスを降りた勝者は立たされる。よく見れば座っているのはハロプロ、ガッタスのファン達だった。恐るべき偶然、そして、恐るべきオレンジ軍団達。まだ、闘いは終わっていなかった。


今日のポイント

●なんとしてもカードを出すまいという
 強い意思が感じられた序盤の柏原主審。
● やや切れが戻ったが
 ほぼ右でしかクロスを上げさせてもらえなかったドゥトラ。
●コーナーでキープするのは苦手。
 ならばボールを回した方が時間が有効に使えるはず。
● 個人旗まであった久永。









夕日をバックにヤマザキナビスコカップのロゴ。人知れず、静かに行われた。


国体会場として作られたため、スタンド最上段には、都道府県旗を掲げるポールが並ぶ。こじんまりとして見やすいスタジアムだ。


何度も何度も、アウエー側ゴール裏席に頭を下げた礼儀正しいリス。そして、ガチャピンとムック。


メインスタンドは立派だったが、観客はまばら。スタンドの規模は、ちょうど東大門運動場と同じくらいの感じ。


都内で3つももらった試供品。荷物検査で没収されなかったので、刃物を大量に持ち込むことになってしまった。





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