malicia witness 2階の目線2005
ヤマザキナビスコカップ 05-06シーズン

8月14日 準々決勝 大宮アルディージャ  三ツ沢球技場

お盆の決戦・ナビスコカップ。一方で世の中は夏休みでのんびりとした空気感。街には人が消え、住宅地にも静けさが漂う。そんな真夏に組んだ私のスケジュール。

13日
6時30分 起床 〜 8時 西が丘サッカー場(開門前に着く)
9時 全日本少年サッカー決勝 プライマリー2年連続の決勝進出
10時30分 表彰式終了
11時45分 東京湾大華火祭 晴海会場にシート貼り
12時20分 晴海発 12時40分 帰宅
12時50分 御酒所前集合
13時 〜 15時30分 神輿(町内および富岡八幡)
15時30分 友人が自宅に集合
16時 自宅発 16時15分 東京湾大華火祭 晴海会場着
23時20分 帰宅

14日
5時 起床
5時50分 御酒所前集合
 〜16時30分 神輿終了(深川〜木場〜白河〜箱崎〜新川〜深川・約8キロ)
16時40分 帰宅
17時 自宅発 18時30分 三ツ沢着

プライマリーが決勝戦に進出した以外は、すでに先月に予定が決まっていた。なので、柏戦の後に、こうもらした。
「今度の大宮戦は神輿の後で、俺、ぼろぼろだと思うんだよね。」
するとマリーシアの仲間M君が答えた。
「石井さん、大丈夫ですよ。石井さんが動けなくても選手がちゃんと動けば勝てますから。遠慮しないで神輿を担いできてください。でも、たまに、逆の場合があるんですよね。」

第一戦の大宮はアグレッシブなサイド攻撃が脅威だった。

勝ったものの、両サイドは押し込まれるケースが多かった。リーグ戦では組織的な中盤の守備にがんじがらめにされた。今回も三浦監督の術中にはまると危険だ。選手紹介のとき、三浦監督の名前が出ると
「こいつが一番まともだからなぁ。」
思わず声が出る。

ホーム&アウエーの正しい戦い方はコレだ。

勢い良く攻め込む。最初の決定的なチャンス。スルーパスに久保が抜け出してゴールキーパーと一対一になる。抜かれた奥野がスライディングで脚をさらに伸ばし、久保が倒れる。7千人台の入場者予想の、ほぼ大半がゴール裏とバックスタンドに集中していたために、劇混み状態のホーム側スタンドが一斉に跳ねて立ち上がる。
「カードだよ!カード!」
「退場にしろ!」
「赤だ!赤!」
その声にこたえるかのように、主審はレッドカードを夜空に掲げる。
「当然だ!!」
しかし、大宮の選手たちは食い下がる。
「おまえら、ルール知らないのなら、俺が教えてやるぞ!」

ペナルティエリアのすぐ外のフリーキックはマグロンが低くて早く、カーブをかけたボールでゴール強襲。これで先手を確実にする。駒が足りず機先を制された大宮は後手を踏み続ける。

マグロンはボランチだが守備的ミッドフィルダーとはちょっと違う。中盤の底を得意とするセントラルミッドフィルダーなのだ。そして、運動量が、ものすごく多い。特に、右サイドに顔を出すことが多く、サイドの攻防は、十分に数的優位を作り出してから料理にかかる。そのせいもあって、パス回しが、いつになくスムーズ。そして、テレビで見るヨーロッパ各国リーグのような、スピーディーなボール回しなのだ。

ボールは止まらず、動きはきわめて流動的。
コールの合間に飛び出す声は
「右だ!」「左だ!」「行け!」「動け!」
ではない。
「うっ!」「うぉ!」「マジか!」「そっちなのか!!」
といった驚きの感嘆符が付いてくる。

久保の、ものすごい働きっぷりに大宮は翻弄される。

得意のかたちでは跳躍力を見せ付けてヘディングシュートを叩く。際どい弾道もいくつもある。だが、少しでも体制が悪ければ飛ばない競らない焦りもしない。そんなマイペースながら、復活の色は、以前よりもグーンと濃くにじみ出ている。裏への動き出しが良い。そこにパスが入る・・・と思ったら、久保の横をすり抜けて、さらに裏に飛び出す坂田や山瀬や大橋がゴールに向かって突破する。久保は、完全に役が主任務に見える。久保の存在感が、大宮に圧力をかけている。だから、それに引っかかる。

サイドも中央も、なすすべなく翻弄され続ける大宮。これは、全て、アウエーの緒戦を制し、優位な精神状態で第二戦を迎えたからこそできることなのだ。でなければ、あの奥野の退場はなかった。

松田直樹は意気込みが空回りする男だ。

最初のオーバーラップは、見事なタイミングだった。だが、ボールはこなかった。代表漏れした松田が、暴走気味のオーバーラップを見せることに、誰も驚かなくなった。多くの人が見せる「あぁ、またか」という嘲笑気味の反応が、それを物語る。前半も途中から、松田は前に居座り続ける。冷静に考えれば、マグロンのポジションを前にしたほうが、攻撃にバリエーションは増える。だが、松田は、もっと前に居座るのだ。大切な一戦ながら、スタンドのサポーターたちは、それを温かく見守った。空回りする意気込みを温情で包み込んだ。この攻撃が有効なものではなく、身体能力とやる気が代表入りへの決め手にはならないことをわかっていながら、さまよえる背番号3の悩みを受け入れた。クロスをダイレクトに撃ち込めばゴールになった。だが、松田は、よこにちょこんと出して坂田にゴールを譲った。松田らしい気が利いたパスではあるが、なんとも不思議な間合いのアシストだ。リードを広げられない前半、そして、焦る必要のない前半であったが、みなが松田に付き合った。

誰かが不用意に飛び込まなければ失点しなかったであろう前半の西村のゴール、誰かのちょんぼをカバーした中沢の走力。何か、誰かのミスを書き出しているように見える。だが、大きなミスが絡まなければ、大宮にはシュートのチャンスすら見えなかったのだ。2点目は、これも枠にいってもよいコースだったが、大きく外れ、それを大島が判断良く折り返して松田が決めた。
「嬉しいけど、なんだかなぁ。」
「最初に決めろよぉ、嬉しいけど。」
勝敗が全てのカップ戦で、決まったゴールに、軽く注文がつけられるのは、やはりアウエーの緒戦を制し、優位な精神状態で第二戦を迎えたからこそできることなのだ。

3点目はクロスに合わせた動き、もたつきはない。

「よし!」
「きれいだ!」
「今度はビシッと決めたぞ!」
満足な3点目に笑顔で弾ける。
「今の誰だ?いい動きだった。」
「えっ、清水?」
「しまった、大事な1得点を使っちまったぞ。」
「こんな勝負がついた場面で使うなよ、大事な1得点なんだから。」

第一戦のアドバンテージもあり、大宮が準決勝進出するためには、残りわずかな時間で3得点を必要とする。これは困難なミッションだ。ボールを回すトリコロール。もちろん、コーナーでのキープは必要ない。余裕のボール回しだ。大宮の動きが完全に止まり沈黙。
「さすがに、両方とも攻めなくなっちゃったな。」
「90年イタリア大会を思わせるね。」
「得失点差があるリーグならともかく、カップ戦だから大宮も、もう無理はできないな。3点は穫れないと考えるだろう。」
「下手なことやって怪我するより、もう終わった方がいいって感じだな。」
ロスタイムはさらに長く感じる。お互いに必要としていない時間だからだ。延々と続く、単なるボール遊びに気が緩んだとき、不意にドリブルで猛然と2人3人とかわし、突破をはかる男が現れた。
「やっぱり松田だ!」
慌てて止めにかかる大宮のディフェンダー達。退屈だったロスタイムは、どっと盛り上がる。こういう、ファン・サポーター思いの松田の心意気は大歓迎だ。

「選手がちゃんと動けば勝てますから。」
まさに、動きで勝った闘い。それも、組織的に、よく訓練された、それでいて、様々な個人の発想が動きに小さなアクセントをたくさん付ける闘い。真夏に、それをフィールドから間近で見た1万人は、満足げに坂を降りる。
「ガンバと万博2連戦になっちゃったよ。」
「きっとガンバは、リーグとカップと両方狙って・・・。」
「両試合とも監督が采配を間違ってガンバはこけるよ。」
「う〜ん、行きたくなってきたぞ。」



今日のポイント

●三上のボールキーップに体を入れてあっさりと奪い取った大橋。
●やっぱり途中出場し存在感をアピールした上野。
●甲高い声が耳障りでヤジの対象となった藤本。
● 毎度おなじみ、全く同じ角度で、見事にクロスバーの上を通過する

 ドゥトラの左45度からのシュート。今回は2発














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