malicia witness 2階の目線2005
J1リーグ 05-06シーズン

8月24日 川崎フロンターレ  日産スタジアム

無駄としか思えない覇気のないロスタイムを終えるホイッスル。やれやれと、溜息が漏れる。すでに人の姿のない空席も多数。選手達がスタンド前へやってくるとブーイングがスタジアムを包む。いつもであれば、2階席も立ち上げって選手達を迎えるのだが、今日は腹が立つだけ。いや、あきれると言った方が正確な表現かもしれない。立ち上がることもなく、ブーイングに力を込めることもできず、頭を抱える。ちょっと目の前が滲んでいたか。

何を目指して試合をしているのだろう。

インターバルで作ったはずの4バックを諦めて、岡田監督は3バックを選択した。だが、システムの問題ではないのは、試合の前からわかっている。予想通り、両サイドは孤立したまま。マグロンが積極的なアクションで連携を取ろうとはするが、まだまだなのは致し方ない。それよりも、ほかの中盤が問題だ。こころなしか4バックよりも前線中央に選手の数が少ないだけ、パスコースが少ないように見える。要は、選手個人個人がポジションを動かしながら連携を取ろうという姿勢が見えないから、試合も選手も動かないというわけだ。

あまりに不評なエコパでの闘いを聞いている人も多く、最初の失点にも大きな驚きはない。ある意味、それは良いことかもしれない。羅針盤が壊れた状態で、たった1点を失っただけでヒステリックな空気がスタジアムを支配したら、選手には悪影響になるだけだ。

ただし、失点までの流れは、とても悪い。

松田が初めて前線にオーバーラップをかける。そして、いつものように得点にはならない。そこまでは良しとしよう。だが、松田は試合の流れを無視してゆったりと(ゆっくりではない)歩いて、時間をかけて自陣に向かう。ボールをこっちへ動かせ、と足をゆっくりと動かして進みながら、他の選手に指示を出す。スローインになったボールが戻ってくる。ディフェンスラインよりも前にいる松田の前にドリブルがくる。ここで信じられない出来事が起きる。相手を前にして、松田は大きなフェイントを見せて駆け引きをする、が、その動きの逆のコースをドリブルは難無く通過。
「あっ!」
「バカ!」
上から見れば、ドリブルのための最短ルートを門番が明け渡して、わざわざコースを開いたのだ。ボールは、そこからマルクスに渡り、ゴール。
「松田!お前はフロンターレ様の執事か!」

覇気のないプレーは、いつまでも続く。シュートはあったようだが、ゴールを強襲するシーンは数えるほどだ。
「撃て!」
「撃て!」
「撃て!」
声が揃う。だが、その後にはバラバラな罵声が待っている。
「撃たなきゃ点なんて入らないぞ!」
「そこで撃たなきゃ、どこで撃てるんだ!」
「なに逃げてるんだ!」
そして、また手拍子が始まる。

ボールは、なかなかペナルティエリアに入らない。足下のつなぎが多い。前線のスペースに流し込むが、坂田は走り負け続ける。今年の坂田にはキレがまったくない。秋風が吹き始めても、それが変わる気配はない。

最終ラインでのトリコロール自慢のパス回しが始まる。ゴール裏からは、この華麗なパス回しに「オーレ」の声で応える。なかなかボールが前へ進まない。いくら自慢のパス回しだとはいえ、さすがに、それを認められないサポーターも現れてくる。「オーレ」にはブーイングが混じるようになる。
「おまえら、勝負しろよ!」
「負けてるんだぞ!」
「こんなのじゃ、追いつけないぞ!」
「おまえら、プロじゃない!こんなの部活以下だ!!部活だったら全員坊主だぞ坊主!!」
怒りの乗り移った声は、多少はユーモアも交えているものの、誰も笑えない。

アウグストが上がってくれば勝負をかけてくることは誰でもわかる。

それはフロンターレの常識だからだ。キープ力のある左サイドが突破をはかれば、それは、ゴール前に人数をかけてくる合図なのだ。ボールを奪えず、パスが回る。マークが甘くなり突破される。さらにはサイドがかわり、ついにはゴールライン際まで送られるパス。長橋は、必死に思いで追いついてクロス。最後は中村がゴール。
「あぁ、やっぱり。」
平日のスタンドは静かになる。

優勝のための負けられない試合だと思ってスタジアムへ来た。

試合開始早々に、静かになったスタンド。優勝のための賭けと思われた4バックを3バックに戻したため、どんなサッカーになるのだろう、というムードが蔓延した。ところが、何も起きないうちに、普通に2失点をして、その後も流れは変わらない。そして、選手交代。
「おいおい、4バックかよ!」
中西が下がり、諦めたはずの4バックに戻った。苦笑いが出る。しかも、グラウと清水の投入で3トップ。だが、大島はいない。
「ちっちゃいのばっかり3人立たせて、どうするんだよ!」
中央のパスはつながらず、両サイドは孤立しての攻めもあって、まったく突破ができない。かといって、放り込めるような布陣には戻らない。
「4バックに戻したり、小さいのばっかりになっちゃったり、もう後手を踏んでめちゃくちゃだ。」

「もっと攻めていけよ!」
「わかってるのか、負けているんだぞ!」
2点のビハインドで、またしても華麗なバックラインでのパス回しが始まる。「オーレ」の声は少数のブーイングと衝突する。
「負けているのに、バックラインで回すなよ!」
「あと3点取らなきゃいけないんだぞ!」
と言っている間に、パスをさらわれて、カウンターの大ピンチ。
「世界のどこに2−0で負けててバックラインでパス回して、奪われてるチームがあるんだよ!」
「まぁ、がんばってくれよ。」
攻めに鋭さがない。たまに前にボールが運ばれても、坂田はやはり競り負ける。
「なんで坂田じゃなくて大島が下がるんだよ。」

フロンターレは守備を固める。前線には1名か2名しか残さない。だが、その周りに5名のトリコロールの選手達。
「なんで、2人に5人必要なんだ!」
「マンツーでいいだろ。2人で十分だよ!」
ふと前をみるとトリコロールの攻撃陣は敵陣に2名だけ。5名のフロンターレ守備陣に囲まれている。
「なんで前には2人しかいないんだよ!」
「2人で5人を相手にどうするんだ!」
「前も後ろもがっぷり四つかよ!!」
待てど暮らせどボールはこない。たまらずグラウはディフェンスラインにまで戻ってきてボールタッチする。
「グラウもマグロンも気の毒だ。」
「こんなチームだとは思わなかっただろう。」

試合開始から、いや、試合前から選手も監督も迷っていた。ディフェンスラインを迷ったあげくに変更した。だが、それだけで迷いは解けなかった。さらに、迷いを増幅する選手交代。さらには、もしかすると、松田のここ数試合の暴走ぶりが、終盤にディフェンスを減らして総攻撃に出ることを躊躇させてはいなかったか。もし、そうではなかったとすれば、スタンドとは相反して、選手達は優勝を諦めていたのだろう。2点差をひっくり返すつもりはなかった。いや、諦めたというのは失礼な表現だ。迷っていたのだろう。勝ちに行くべきかを。監督はシステム選択を迷い、選手はマグロンの入った組み立てに迷い、様々な迷いのあげくに、優勝を考えるべきか考えないべきかを迷っていた。そして結論は出た。

試合終了のホイッスルが鳴る前から、試合は終わっていた。
「前に運べ!」
「下げるな!」
「あと3点だぞ!」
「勝負しろ!」
声はむなしく響き、攻める意図を持って積極的にボールに絡みにいくのはグラウとマグロン、それに清水くらいか。この試合のロスタイムも無駄に終わるのが見えている。スタンドでは、無駄な時間を共有することを拒否した人々が帰り始める。

静かな試合終了。

終わった。悲しく終わった。昇格クラブへの連敗。もう、ここから先で「優勝を諦めない」と口にしたら、それは偽善者か現実逃避と評価されても仕方ないだろう。この試合が始まる前の時点で、すでに勝ち点はトップと降格圏の中間にあった。それをみんな承知で「優勝なんだ!」と叫んでいたのだ。だが、この連敗は、とてつもなく大きい。各地の途中経過を見る。柏と大分が引き分けたようだ。

「よし、これはでかい!」
思わず口々に声が出る。勝ち点差は7。連敗と連勝で、まだひっくり返ることはない。
「もう、これはアウエーのガンバは引き分けで十分。ナビスコも引き分けでいいよ。何が何でも引き分けてくれって感じだよ。」
「そこから、立て直そう。今より悪くなることはないだろう。」
「でもわかんないぞ。」
「落ち始めると一気に落ちるからな。急にプレシャーがかかってくる。」
「ガンバとか上位対決は、引き分けでもいいけど、直接対決は大切だぞ。」
「神戸、大分、セレッソ、読売、大宮、まだまだ残っているぞ。」
「しまった、柏が終わっている。」
「でも、柏は一人負けの可能性もあるからな。それならそれで助かる。神戸とか読売とかは外国人も入れ替えたし、そこそこ勝ってくると思うんだよ。」
「ガンバ戦は万博だし、ちいさなことからコツコツと!いかないと。」
「そう、西川きよし戦法だよ。小さなことからコツコツと!」
「小さな守備からコツコツと!」
「小さなダッシュもコツコツと!」
「小さなパスからコツコツと!」
「違うっ!小さなパスでチマチマチマチマやるのはダメだ!!」

信じること、諦めないこと、それは確かに大切だ。だが、私たちがスタジアムへ通う以上、そこではスタンドからフィールドに何かしらの関与はある。それは、跳ねて歌い叫ぶレベルから、座って手拍子だけするレベル、さらには、祈るレベルまで様々だが、きっと、何かはある。だからスタジアムへ通っている。優勝を信じるか、新たな目標に転換するか、それは大切な選択だ。

もし優勝を信じるならば、アウエーで0−0の大詰めに総攻撃を仕掛けなければならない。それを望んで声援をおくるのだ。0−1の大詰めに最低でも2点を奪う攻撃を望まなければならない。さらに1−0で勝っていても、3−0を狙って攻撃を仕掛けることを要求しなければならない。そこに、前掛かりによるカウンター失点の危機が迫ろうとも、絶対に勝ち点3が必要であり、大量の得失点差をひっくり返すことが必要だからだ。ガス戦と同様に「0−2でも0−4でも変わらない」という覚悟で総攻撃をするのだ。その結果、降格圏と勝ち点差4となっても、その場合は選手や監督を批判することはできないのだ。もちろん、最終結果で降格してもだ。望んだことだから。それが、優勝を最後まで諦めない、ということなのだ。

いま、そのような強がりが言える状況だろうか。まずは堅実な闘いを取り戻し、ホームのナビスコと天皇杯に照準を合わせる。そのために、小さなことの積み上げが必要だ。試すのは降格圏が確実の遠のいてからだ。選手達だけでなく、フィールドを見つめる私たちも、それは同じだ。声援は止めてはならない。だが、今、その瞬間に起きていることを見逃してもいけない。

試合が荒れる原因となった中西の足の裏を見せてのファールにも、後ろから足をさらった中沢のスライディングタックルにも、警告は出なかった。それであっても終盤に、倒れて審判の顔をうかがう選手達に、弱さ以上のひ弱さを感じた。振り返れば、今シーズンは、審判、試合数、その他、様々な不平不満を言い訳にしてきた。だが、言い訳なんて、その場しのぎであって、3年経てば記憶には残らない。今シーズンの監督や選手の発言の真意がどこにあるのかは推察するより他ないが、そんな推察の先にある真実など、記録としては残らないのだ。

footballに真実はない。歴史に残るのはただ事実のみ。


今日のポイント

●まったくキレがないままに夏が終わる坂田。
●攻撃の厚みを残すために交代は回避したかった中西だったが、

 交代理由はカードが影響か。
●普通にプレーできる気配もなかった奥。
●きちんとミドルを撃てばゴールを脅かしていた。


今日の査定

石井和裕

ばかばかしいよ。優勝を信じた自分が悪かった。

いいことなんて思い出せないよ
-100
-100

今野隆之

優勝の目が薄くなったから、残留争いで盛り上げようとしているんだね。残り14試合、最後まで目が離せないぞう。わあい。そうそう、磐田の皆さん、勘違いさせてごめんなさいね。うちに勝っても何の参考にもならないこと、もっと強く言ってあげればよかったよ。

万博遠征中止
-27860
-27860

stan

プライドを捨てて勝ちを拾う為に3バックに戻したにしてはメンバーを換え過ぎたのではないか。ボランチに同タイプを配した時点で無理があった。残り14節で首位と勝ち点差15。諦めがついただろう。次からは開き直ってひたむきなサッカーを。

スタジアムショップ新装
200
この時期にしては過ごし易い気候
100
茅ヶ崎高校チアリーディング
500
メンバー構成              
-500
シュートが嫌い
-1000
バックパスが大好き
-1000
川崎に2敗
-500
片山主審
200
-2000

白火

この試合内容で何を語れと…。

ひた向きさが感じられたトリコのグラウ
300
なんとかボールに絡もうとしたマグロン
100
やっぱり代えが効かないドゥトラ
100
それ以外のあれやこれやいろいろ             
-3000
-2500

三沢まりの

この試合内容では、今後も勝ち点3獲得は至難。さあ諸君、今から残留祈願の盛り塩を支度しておきたまえ。

懸命に前線を走り回るグラウ
150
懸命に中盤を走り回るグラウ
150
負けてるのに攻めないDFとMF
-1200
久々に生で観る我那覇             
200
川崎F観戦不敗記録更新
700
0







捨てられた栄光。


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