malicia witness 2階の目線2005
J1リーグ 05-06シーズン

9月24日 浦和レッズ  埼玉スタジアム

優勝はなく降格も考えにくくなった。そんなときにどうする。そういう順位は、いわゆる名古屋順位なのだが、名古屋は慣れ親しんだポジションにありながら監督を解任した。だが、こんなときこそ、圧力の大きい上位ポジションのクラブとのアウエーに意義があるはずだ。

試合前の会話は自然と俯瞰したものになる。

「読売が入れ替え戦になったら、完売しないから見に行けるんじゃないの。」
「どっちのファンでもないから緩衝帯で見せてほしいね。」
「馬鹿やろう。入れ替え戦を興味本位で見に行く奴が一番たち悪くて危ないんだぜ。」
だが、そんな会話をするために浦和美園まで来たわけではない。
「雨が降らずに勝ち点3が獲れたら満足だよ。」
「そりゃ贅沢過ぎるだろ。」
いや、そうではないのだ。どれだけ相手に恥をかかせるか。それにつきる。4万人以上のサポーターを黙らせる、落胆させる、怒らせる、その味わいが深いのが埼玉スタジアム。なにしろ、自ら広告看板に「日本一のファン・サポーター」などと書いてしまうくらいだ。そこに作られたトリコロールのための閉鎖空間での歓喜、そして赤い沈黙。さぁキックオフ。

自由な中盤はポテンシャルに差を見せる。

まずは、那須のミドルシュートが浦和ゴールを強襲。ネットを直すために試合開始が遅れた向こう側のゴールを突き破らんばかりの弾丸シュート。都築に押さえられるものの、さい先の良いスタートだ。
「よし、いいぞ!!」
撃つべきところで撃たずにチャンスを逸し続けてきた今年のトリコロールだけに、こういうスタートは嬉しい。
「行け!縦だ!!」
「出せ!」
「撃て!」
コールの合間にプレーに声が飛ぶ。
「よし!」
「そうだ!!」
「ナイスプレー!!」
一つ一つのプレーに賞賛の叫びが自然に出る。黙っていろと言われても、黙っていることはできまい。なぜなら、今日のトリコロールは、緑のフィールドの上で勝負を挑み続けているからだ。トップに当てるボールをからだを張ってキープする坂田。そのリターンを受けるグラウ。走り込んでくる奥。中央へも顔を出すドゥトラとハユマ。そして、マグロンは、これまでの試合よりも守備のカバーが素早い。持つべきところで持ち、捌くべきところで捌く。

浦和の圧力はない。

浦和の応援はスタジアムを支配して、敵の選手とサポーターに圧力をかけるという。だが、その圧力が感じられない。そもそも、これはサッカーだ。プレーに圧力がなければ、スタジアムに力はない。
「浦和ってガチガチなのかな。動きが少ない。」
「中盤スカスカだよね。」
「あんな足下、足下にパスしてるんじゃ、永井なんか入れておく意味ないじゃんか。」
ポンテが加わり、攻撃にバリエーションが増え、浦和の攻撃はワンランクアップしたと聞いていた。しかし、試合が進むにつれて、それとは裏腹に、前線から中盤へのプレッシャーが少ないのは、さぼっているのではなく、今の浦和の戦い方だということがわかってくる。おそらく、試合終了まで、この戦い方は変わらないのだろう。

がっぷり四つに組んで、このトリコロールと個人技対決で闘おうとするとはブッフバルトもたいした度胸だ。いや、エンゲルスの厳しい中盤守備のサッカーを捨ててブッフバルト自らの色で戦い始めた浦和は、トリコロールを相手にして戦い方を修正するまでのレベルには達していないということか。それとも、裏を取られるのが、それほど怖いのか。
「ほんとディフェンスが深いよね。」
「これで、守りきれると思ってんのかな。」
「コーナーキックを続けていたら、そのうち点は取れるぜ。」

ボールも選手もよく動く、ストレスが少ない試合だ。

トリコロールは鹿島型の厳しい中盤守備が苦手だ。その代表格は去年までの浦和。そして今年のフロンターレやアルディージャ。
「どうもストレスが溜まらないと思ったら、大橋が出ていないんだな。」
好プレーを要所要所で出してくれる大橋だが、プレーの軽さで厳しい中盤にボールを奪われることが多く、それが印象を悪くしている。プレーが中断した間に、正直な感想が、ぽろりと飛び出す。だが、それよりも、重要なのは後ろへのパスが少ないことだ。悪いときに目立つ松田に戻す時間の使い方がない。バックラインでの極めて無駄な黄金のパス回しもなく「オーレ!」などと叫ぶタイミングがない。引いている相手にも、しっかりと目的意識を持ったパス回しで攻める。くさびのパスを坂田が、グラウが、しっかりとキープする。相手を背負っても、なんとか振り向いてパスを出す。常に前へ。

この3人ならば完封できる。

中央を打ち破られるシーンはない。セットプレーの空中戦も問題ない。スリーバックであるが故に、サイドを突破されるときはある。だが、それも、最後のカバーリングで食い止める。前にスペースがあれば、ポジションへの想いを断ち切るようにドリブルで突撃してくる長谷部の前に中沢が立ちはだかる。ボールは左に長谷部は右に。倒れる長谷部。シミュレーションを主張する中沢。
「中沢!シミュレーションじゃないぞ!!」
「もっと恥ずかしい、滑って転んだだけだ!」

あっという間に前半の残り時間が僅かになる。好試合は時間の経過が早送りのようだ。このペースで試合が進んでくれれば雨が再び降り出す前に試合が終わるかもしれない、と思ったりする。どんなに経過が早いと感じても、同じ90分なのに。

前半終了直前、再三にわたるサイドのスペースへの走り込みが、何度目かのコーナーキックのチャンスを得る。浦和サポーターの目前での最後のコーナーキック。
「絶対に決めろ!!」
「さぁ、決め時だ!!」
「あっち側で決めろ。あっち側で決めないと意味ないんだよ。」
「意味ないまで言うか。」
あの、自称「日本一のサポーター」達を黙らせたい。そんな想いが、叫びに混じり込む。
前半無得点、無失点。浦和の枠内シュートは0に終わる。

蘇る岡田サッカー。エコパでの衝撃。

あのとき、私たちは喜びを超え驚きで胸高鳴り、トリコロールの戦闘服のままで東名高速をひた走って帰ってきた。あのエコパでの劇的なシーン。岡田監督の攻める闘うサッカー。ボールを奪って、とにかく前へ。チャレンジにつぐチャレンジ。あのときの新鮮な攻撃姿勢が蘇りつつある。ミドルシュートを放った那須は、強気にパスを出す。苦しい姿勢でも身体を張って前方の味方にボールを繋ぐ。すでに、この予兆は、前節の河合に見えていた。今日は、河合だけではない。全ての選手が、闘うトリコロールのカラーに染まっている。見よ、あのスライディングタックルを。

那須はディフェンス、マグロンはオフェンス、というわけでもない。

ときにはゴール前にまで姿を見せる。シュートフェイントからスルーパスはグラウすらだまされる。決まっているのは、無理な体勢でも味方が見えれば前方にパスを送ること。背中が不自然な捻れを見せてまでも常に前へ。

カウンターが美しくなる。縦へ一目散で走る。

選手がクロスする。奥とハユマが中央に入ってくる。マグロンのためがあるからこそできる攻撃、と思っていたらドゥトラから時間をかけずにグランダーでディフェンスラインの裏にスルーパス。常に攻撃姿勢を崩さない。やっと岡田監督のサッカーらしさが戻ってきたシーンの数々。くさびのグラウからサイド前方へ走るハユマへ。ディフェンダーが並走する。
「撃て!」
「シュートだ!!」
ゴールへの向きは空いている。だが、その限られたコースには都築が待ち構えている。そこで、ハユマの選んだ選択肢はクロスだったので、並走していたディファンダーにボールが当たる。
「撃てよ!!」
「シュートだよ!シュート!」
すると、直後のチャンスでは、ハユマは角度のないところからでも左足でシュート。このスピリッツがサポーターを熱くするハユマの素晴らしさだ。
「よし!!」

過去に、背番号1に名指しで「穴」と指名された男がいた。

坪井が怪我で交代。代わりに出てくるのは
「よっ、待ってました!!」
「きたきたきたきた!」
「ついに内登場!!」
「こりゃぁ凄いスリーバックだ。」
「ネネ、堀之内、坪井。」
「これは勝てるだろ。」
「いや、勝たなきゃならないメンツだろう。」
「J1下位レベルのメンツだぜ。これは勝たないと。」
効果はすぐに生まれる。あまりになにもなくフリーになる奥。ロングボールをアーリークロスで受け胸トラップからシュート。決まったと思った。完璧なパス、そして見事なトラップ。だが、揺れたネットは上方のみだ。枠外。
「決めろよ!」
「決めてくれよ!」
「次だ次!」
「いやぁ、これは決めないと。」

怒濤の攻撃の時間。トリコロールタイムがやってきた。

フリーキックは正面。素早いモーションから大橋が放ち都築が弾く。美しい弾道であったが正面。得点にはならない。次はコーナーキックから栗原がヘッド。そして大島投入。コーナーキック崩れからアーリークロス。またしても奥と同じようにフリーだった栗原に渡り、栗原はニステルロイ風(と書く例えが大げさすぎ)のアウトサイドでのトラップ。完全に裏に抜き出た栗原。一対一。その時点で絶叫。右脚を思い切って振り抜いく。しかし飛び出した都築に当たったボールはゴールとは違う方向へ。それを見て別の絶叫。

前半から数えて何度目かの長谷部の枠外のミドルシュートシュート。病み上がりにはゴールの枠は狭かったのか。長谷部にしてはキレがない。ロスタイムに入り、右サイドでフリーキックのチャンスを得る。岡田監督は勝ちに行く。ディフェンダーにも上がれと指示を出す。が、蹴ったボールは直接ゴールラインを割る。大橋、こういう大切な場面でのミスは印象を悪くする。終盤に来て流れを一変させるプレーとなる。左サイドで田中が河合の股抜き。万事休すかと思った瞬間には、素早く戻ってきた那須のスライディング。次は右を突破した平川をハユマが間一髪で押さえる。大きなピンチが続くが凌ぐ。

試合終了のホイッスルが鳴る。静まるスタジアム。拍手はまばら。ざわめき。大きな屋根なし空間にFマリノスコールが響くが、ただ静か。
「引き分けかよ!」
「畜生、勝てたのに!」
「勝たなきゃダメだった。」
「でも、まぁいいんじゃねぇか。けっこういい試合だったし、よく引き分けたよ。今のうちなんだから。」
「いまのうちに勝てない浦和が優勝なんて身の程知らずだろ。」
あまりに静かに赤い衣装の人々は帰って行く。レッズの選手達がスタンドに向かっても罵声が飛ぶわけでも、声援が波打つわけでも、ブーイングが響くわけでもなく、ただ静か。思考回路を止めてしまったのか、淡々と帰路を急ぐ赤い人々。
「なんだ、浦和のサポーターって悔しくないのか?」
「全部勝つくらいじゃないと優勝できないだろう。」
「少なくとも、この試合は勝たなきゃダメじゃなかったのか?」
「1シーズンって、そんな長くないぞ。」
「まだ、うちが王者だと思ってるんじゃないの。」
「じつは勝ち点計算できないんじゃないの?」
「きっと気が付いていないんだよ。」
「でも、降格の時は、ちゃんと計算してただろ。」
「いやいや、ほら、やっぱり勝ち点計算苦手なんだよ。池田…。」
「あの福田に抱きついた奴。」
「やっぱ、浦和の人たちって計算苦手なのか。」
「きっと、スーパーサッカー見て、加藤が『レッズは厳しくなりましたねぇ〜。』って言われて、ハッと気が付くんじゃないの?」
「あ〜、こんなに悔しがらないなんてどうなってるんだよ!!!!!!」
「なんだよ、これだったら勝たなきゃダメだったよ!引き分けじゃ、お前ら悔ししさに気が付かないのか!!」
「せっかくのアウエーでの引き分けなのに、つまんねぇよ!!!」


今日のポイント

● 子供の発想のアレックスのロングスロー。
 自陣深くでのスローインは長く投げてゴールから遠くへ。
● ハユマはアレックスと競るのを途中でやめてファールのアピール。
 もう少し頑張ればアレックスは本当にファールするはずなのに。
● 右に左に1番の蹴るボールは、必ず奥のところへ飛ぶ。
● 決まっていれば快勝だった、2本外した中沢のヘッド。
● よくカードが出ないで済んだ倒れ過ぎのドゥトラ
●どっちを応援しているんだ。掲示板に出たメッセージ「がんばレッズ」。


今日の査定
石井和裕
これほど浦和ディフェンスが貧弱とは予想しなかった。今のトリコロールならば引き分けでも十分なんじゃないかな。マグロンの目処がついた。
攻撃はマグロンから
300
松田は不要のスリーバック
200
豊富な運動量で的確プレーの奥
300
栗原一対一だ!
200
那須の攻撃姿勢
300
復活ハユマがチャレンジドリブル
200
グラウの献身的で読みの良いプレー
200
よく引き分けたことにしよう
100
炎に包まれて消えるエンブレムの映像は使わなくなっていた
100
攻撃的で休みないサッカー
800
2900

なかむ〜

攻守ともに光明が見えた。引き分けだったけれども、現状では十分よくやった試合。あとは決定力が戻れば・・・。

基本給
400
機能したマグロン
500
踏ん張った3バック
500
停滞感の少ないパス回し             
300
試合後の埼スタの沈黙
1000
2700

今野隆之

前節と同じスコアレスドローでも内容は違う。これだけ前へ勝負できるならナビスコ準決勝第2戦は十分勝機あり。でもそろそろゴールを決めてくれよ…。これで危機感を抱かないようなら、上野は今季限りと思って欲しい。

3バックの安定
700
フィットしてきたマグロン
700
久々にコンディション良好の奥
500
どんどん好きになるグラウ       
500
もっとできるはずだ隼磨
500
2試合連続無失点
300
2試合連続無得点
1500
3000

stan

互いにDFの要が欠ける中、守備意識を高く保った見応えのあるスコアレスドロー。浦和とはこの所こんな試合が多い。それはこっちのペースで戦えたという意味でチーム状況を考えるとまずまずの結果。

-200
浦和サポの音圧
200
那須良かった
300
マグロンの個人技           
500
味方も出所が読み辛いマグロン
-200
奥が居る幸せ
500
3バック
1500
坪井怪我
-200
内舘in
100
坂田頑張った
200
大橋と大島はセットで入れて下さい
-200
3試合連続完封
300
長谷部ってあんなに汚かったっけ?
-100
サントスより平川の方が嫌だった
-100
あの3バック相手に点が取れない
-200
CK/GK差違え以外気にならなかった扇谷主審
100
2500








アルパイは去ったがドネルケバブは残った。



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