| malicia witness 2階の目線2005 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| J1リーグ 05-06シーズン 10月1日 大分トリニータ 日産スタジアム 秋の空が底抜けに透き通った純粋な青。その向こうに何があるのかなど感じさせない、単純に美しい色がそこにある。美は単純だ。だから、空を眺めて経過する時間は無駄を思わせない。例えば枯山水の庭もそう。目の前にあるものは、まったく単純な、直接的に感性に語りかけてくるものだ。 今、前節、埼玉スタジアムでの試合には、単純な喜びと美しさがあった。優勝争いとは遠く離れた勝ち点の状況で失うものなどないと思っていた。常に前を向いてゴールにひた走る闘いはレベルが高いものではないだろう。でも、その直線的な動きにも喜びや美しさは十分に含まれていた。みな、見え始めた方向性に期待していた。 だが、日産スタジアムでの試合を終え、「気になる他会場の結果」を知り、勝ち点計算をした後、私たちは、再び、失うものへの恐怖を感じた。残留争いに喜びはないことは記憶に新しい。私たちは見えない闇の中での闘いに再び放り込まれた。 ハーフタイムを終え、選手達の背番号を確認する。 「よし、前半はなかったことにしてやる!」 「こっからスタートだ!」 「いや、なかったことなんかにしないぞ。水曜日と同じシチュエーションだ。0−1からひっくり返せ!!!」 「そうだ!2点獲ってみろ!」 意気込みを見せて、攻勢に出る後半開始。坂田は前節と同様にスペースへ走り込む。あいかわらず、試合を支配するのは大分。それでも、トリコロールの時間はやってくる。それはシュートを放った後だ。 「撃て!」 「シュート撃て!!」 目に見えるもので比較してしまう。 トリコロールのサッカーは、それほど悪いのか。いや、今年はこんなものだったのかもしれない。きっと、これでも、誰かが個人の力でネットを揺らしてしまえば、それで勝ちだったのだ。もちろん、坂田が入った後半だけの話であって前半は論外だ。 しかし、目の前に展開されるのは、美しく強く、ひたむきさを発散する大分のサッカー。 「立ってるだけじゃ獲れないぞ!」 トリコロールの選手達をあざ笑うかのように、ボールは素早く三角形を描いて動いて行く。くさびのボールも簡単に下げず、横にはたいて…。 「これって、うちが3年かかってやろうとしていたサッカーなんじゃないの?」 「それをたった1ヶ月で作り上げてしまったのか、大分は。」 「悔しいけど凄すぎる。」 倒れる選手。審判の顔をうかがう。 「顔見る前に、立って追えよ!」 あまりにひ弱すぎるプレーの数々。ホームスタジアムの声援がむなしく響く。きっと悩みに沈む選手達には、声援は届いていない。届いていれば、こんな情けない姿を18000人もの人の前で晒すのは恥ずかしいと感じるはずだ。 終盤に「長袖のマラドーナ体型で前園顔の男」が登場する。 ドリブルで競り合う。 「競れ!」 「負けるな!」 「頑張れ!!!!」 私たちは知っている。ドリブルが得意とはいえ、競り合いには弱い「長袖のマラドーナ体型で前園顔の男」のことを。しかし、私たちは裏切られる。 「なんで木島、飛ばないんだよ!!」 「そこでシミュレーションしなきゃ、木島じゃないのに。」 「ちっきしょう!木島は成長しているぞ。」 私たちの知っている、思考に問題があって伸び悩んだ選手でさえも、よけいなことを考えるのではなく、しっかりと得意のプレーを展開している。ドリブルは勝負する。苦しくても簡単には下げない。苦しい自体を打開するために周辺の選手はパスを受けるための動きに労を惜しまない。そんな単純なことの積み重ねが、ダイレクトでの美しく効果的なパス回しを描き出している。 時間が進むにつれて動きが落ちるトリコロール。 あからさまなボールキープするのではなく、素早くボールを回して時間の経過を待つ。守備陣形が崩れればゴールを狙う。誰もが憧れる時間の稼ぎ方を、残留争いと経営危機で追いつめられているはずの小さなクラブが実践している。 「ぜんぜん、ボールに触れないじゃないか。」 「獲りに行かないと、ここまま終わっちゃうぞ。」 もはや、勝ち目は絶望的に薄い。なにしろ、選手達が目の前の試合に真摯に立ち向かっているように見えないのだから。それともスタミナ切れだったのか。 「諦めずに1点獲れよ!」 「まず1点だ!」 笛吹けど踊らず、という言葉があるが、誰か笛を吹いたのだろうか。前半の「跳んだ瞬間に入るとわかる」くらいの甘い守備の失点から、劣勢はずっと変わっていない。 そのボールは、ゆっくりとゴールに向かって飛んで行った。サイドのネットが揺れ、それが外側ではなく内側からの揺れであることを確認すると、巨大スタジアムは大きく2つの行動を促した。 一つは帰ること。一斉に席を立つ人々。無言の人、フィールドに向かって中指を立てたまま歩く人。怒鳴る人。バックスタンドは愚か、ゴール裏も空席がどんどん広がって行く。 もう一つはブーイングすること。試合中に味方からのブーイングに襲われるトリコロールの選手達はさらに意気消沈する。 あ、あともう一つあった。それは頭を抱えて黙ること。そして、そんなスタジアムの誘惑を振り切って歌をやめないゴール裏コアサポーター達。 試合が終わり、この空席でもこれほどの大きな音が出るのかと思ってしまうくらいの鋭い音に包まれて選手は去って行く。一方で大分のサポーター達は万歳をしている。 「こっちが万歳だよ。」 「お手上げ。」 「しかし、西山に、あんなの決められるかよ。」 「ぜんぜんサッカーのレベルが違う。」 「だめだ、くだらなすぎる。飲みに行こう。」 「今日は、ここに何しに来たんだよ。」 「そりゃぁ飲みに行く待ち合わせしにきたんだよ。」 0−2は完敗だ。だが0−3は、全く意味が違う。 今日のポイント ● 全国保証は借り入れに最も敏感な大分戦を ピンポイントで冠スポンサーを選んできたのだろうか。 ● レベルが高くないディフェンス陣をカバーする西川。 ● 意図が見えなかった攻撃。 ● 悲しみに暮れる私たちに追い討ちをかけた某居酒屋のボヤ騒ぎ。 今日の査定
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