| malicia witness 2階の目線2006 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| J1リーグ 06-07シーズン 3月25日 浦和レッズ 日産スタジアム はたして「きょうのレッズのディフェンスは、本当に素晴らしかった。」のか。選手も監督も、そして観客席の私たちも、エンゲルスが仕切っていた頃の浦和を、昨年の千葉や大分の厳しい中盤を忘れてしまったのか。全盛期の鹿島の守備の厳しさは、この程度だったのか。この試合は、間違えなく勝てた試合なのだ。私たちは、今年の本命、浦和の幻影に怯えていたのではないのか。 全てはこの瞬間に狂ったのだ。右からのクロスは吉田にとってイージーなボールに見えた。外側にいる通訳の姿を確認した後に、頭を大きく振ってコーナーキックに逃げる。 「おい、おいおい。」 「そりゃねぇだろ、吉田。」 通訳との距離は遠かったし、榎本との間に障害もなかった。ワントラップして振り向いてクリアすることすらできるタイミングと距離感だ。前半の残り時間は、あとわずか。サッカーのセオリーで言えば、失点してはならないが、簡単にコーナーキックを与えてはいけないのは当たり前だ。 「絶対に守りきれよ!!」 声は飛ぶが選手達は気持ちを切り替えられてはいなかったのだろう。失点。 この試合のプランは全て狂う。序盤とはいえ、4連勝のチームを追う立場の本命浦和。前半をスコアレスで折り返せば、後半には前がかりになるはず。そこに、付け入る隙を見つけて逆襲することが、勝利への方程式のはずだった。立場は逆転した。 プレジーズンマッチからの大量得点で、トリコロールのサポーターも「爆発的攻撃力のF・マリノス」に強さの幻影を描いている。だが、考えてみてほしい。セットプレーからの得点の比率を。それは伝統の持ち味ではあるが、けっして崩して得点を重ねてきたのではない。むしろ、持ち味は中盤の守備。第一節のビデオ見直してみればわかる。中盤での囲い込みの厳しい守備。そこには、久保やマルケスも前線から参加している。ただし、終盤になると運動量は落ちている。 だからこそ、浦和との試合でトリコロールの爆発的な攻撃力が披露されていないとしても、それは問題ではない。きちんとした中盤の守備で浦和の攻撃を完封していれば、それで十分に持ち味を発揮している。後半の早めにセットプレーで得点し、前がかりになった浦和の裏をついて追加点を獲ればよいのだ。浦和の終盤は固く守ることを選んだ。闘莉王、坪井といった代表クラスの選手さえも、止めたボールを繋ぐことなくクリアーに徹する。これは、けっして堅い守備に支配されている試合ではない。ゲームはトリコロールのモノのはずだった。 そもそも、岡田監督は先発の布陣でスムーズに得点できるとは思っていない。なぜなら、2失点したとたんに、「反撃するのに先発の布陣では無理」と判断して選手を慌てて入れ替えていることが明白な証明だ。であれば、1失点した時点でも状況は変わらないはずだが。 結局、トリコロールのサッカーを行なったのは、54分から73分までの、極めて短い時間だけ。上野を失い、ボールはマグロンを経由しない。松田は全く無意味の中盤をさまよい、マルケスにまでポジションを指示する始末。松田不在の右サイドにはワシントンがポジションを取り、そのケアのために下がったハユマは攻撃参加のチャンスを完全に失う。右に開くのは久保だが、ドリブル突破もクロスも成果なし。では、清水は、どこへ行った。ハユマだけではワシントンを止めきれないために、やはり右サイドの守備的なポジションをとらざるを得ない。これで、なにをしようというのだ。 さらには、榎本は、なかなかボールを前線に蹴りださない。 「なんなんだ、この間は!!!?」 「いや、榎本が悪いんじゃないって。フォワードがちんたら歩いてるんだって!」 見れば3人もオフサイドポジションを歩いているではないか。それが繰り返される。 2階自由席バックスタンド側は、沈黙する。なんとかしてほしい、なんとか手拍子しコールしなければ、という気持ちがあっても、眼下に繰り広げられる絶望的な選手の配置に意気があがらない。このようなことはめったに起きない。これだけの観客がスタンドを埋めているのにもかかわらず、あきらめのムードが広がる。 キープに入ったと思われたサイドのボール。だが長谷部に戻ってきた瞬間に、それはゴールヘのチャンスボール。 「撃ってくる!!」 叫ぶも栗原の詰めは遅い。他の選手達もコースを塞ごうとするものはいない。 「馬鹿やろう!!」 「撃って来るに決まってるだろ!」 「見え見えのコースじゃないか!」 「油断してるんだよ。」 油断。だが、考えてみれば、そこにいるべきなのは、本来は松田のはずだ。 たった一つの臆病なプレーをきっかけに、すべてが狂った。それを立て直すチーム状態ではなかったことを判明した。ただ、負けたのではない。勝てる試合を失い、勝てる支柱が不在なのを露呈した。なぜ、松田は、あの場所にいることが許されるのか。なぜ、2失点目の直後に慌てて選手交代をするのか。いまのトリコロールには大人の年齢だけがある。しかしそこには、大人のコミュニケーションは存在しない。だが必ず、夏は来る。ここ数試合ですら、終盤には脚が止まっている。今のサッカーは子供の心の大人には荷が重いサッカーだ。本来は、その夏に向けての解決策が必要な今、どうするのだ。 今日のポイント ● 「痛い 」を理由に休んでいた方がよいほど何もしなかった久保。 ● 久保同様に体調が悪かったのか機能しなかった小野。 ● 大きなミスはあったが決定機を何度も防いだ榎本。 ● 2点差になって下げられるなら奥と吉田を先発起用する意味は不明。 ● 下がって守る相手に策がなかった右サイド。少ないサイドチェンジ。 今日の査定
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