| malicia witness 2階の目線2006 | ||||||||||||||||||||||||||
| J1リーグ 06-07シーズン 7月26日 ジュビロ磐田 ヤマハスタジアム 結果は出なかった。 だが下を向く必要は無い。 中断明けの2試合では澱んだ内容で勝ち点1に留まった。相手は上昇機運で中3日と1日多い上に移動も無い。試合前は悪条件ばかりが目に付き閉塞間すら感じていた。しかし、目の前に展開された試合はここまでの2試合とは違う活気溢れるものだった。 布陣はトップに大島を据えた4231。 大島に当てて落としたボールを拾ってオーバーラップしたサイドへ預けて突破からクロス。これまでの左偏重のサッカーとは違い、バランスが良い。特に右サイドからの果敢な仕掛けが心地良いリズムを奏でる。前半は相手に何もさせなかったと言って良い程圧倒していた。この2日間で何があったというのだろうか。 以前指揮官が「久保の1トップは機能しない」と言っていたのを覚えている。その見識は正しいと今でも思っている。1トップの場合、普通はポストプレーに長けた選手を起用するものだ。世界には稀にこうした特徴に加えて自ら打開して点を獲れる選手も居る。 だが、久保は違う。 有る程度近くに味方が居てこそ、その獰猛性が発揮される選手だと思う。1トップで久保が輝くとしたら、広大なスペースを与えられるシンプルなカウンターをチーム戦術として採用した場合に限られるだろう。だが、チームはそういう状況にはない。 基本的にポゼッションは高い。抱えた陣容がそうさせるのか、志向するものがそうなのか或いは相手が必要以上にリスペクトしてくれるからかはたまた対応策として浸透しているのか、スペースは少なくマークはきつい。前節は苦肉の策か混乱したのか自ら禁を破って試合の半分を棒に振ったように見えた。 1トップならばポストプレーに長けた大島が居るではないか。 単純にそう思っていた。しかし、普段の練習でのアピール不足からかここ暫く大島の姿は見られなかった。久保をトップに据えて明らかな失敗を見た4231はこのまま苦肉の策で終わるのか、とも思っていた。 清水戦で、「何かを変える必要がある」と書いた。例えそれがギャンブルであっても、この閉塞感を打破する為には一度築かれた序列を見直すべきだと思っていた。 連戦の中で変化を求めるのは酷だ。新しい戦術を取り入れようにも連携を高めるだけの時間は無い。普通は疲労を取りコンディションを整える事に主眼を置くものだろう。だが、変わった。それも劇的に。 4231自体は恐らく中断期間中に有る程度熟成させていたのだろう。 機能していなかったものが人の入れ替えで見違えるように人もボールも動く有機的なサッカーに変貌していた。これまで使われなかった大島も期するものがあったのだろう。前線でボールを落ち着かせられるとこうも違うのかと驚嘆させられた。今まで何故そうしなかったのか、という後悔の念はあれど目の前に展開されるゲームを今は楽しみたい、と思った。前半をスコアレスで終えたが、素直に面白いと思えるゲーム展開に満足していた。それもそうだ。こんなゲームを見せてくれたのは春先以来初めてだったのだから。 好事魔多し。 前半は圧倒していた。負ける要素など見当たらなかった。だが、やはりそうした時間帯に点を獲れないと揺り戻しが来るものだ。 後半開始早々、失点。 左サイドを破られ、ボールウォッチャーとなったファーサイドから決められた。浮き足立っていたのか、攻撃にばかり意識が寄って守備への集中が切れていたのか。前半の余韻が残った目には事故のような失点に見えた。だが、まだ時間はたっぷりある。前半の勢いを殺さないためにも、一度落ち着かせるのではなくここは攻めるべきだと思った。 甘かった。まるでリプレイを見るかのような同じような形での失点。 2試合で1点も獲れていないチームにとって、2試合で1点しか獲られなかったチームにとって、2失点は重くのしかかる。1失点ならば一度守備を見直す事も出来たが、2失点ではもう攻めるしかない。こうした状況で今までは空回りしていたように思う。 開き直るしかなかったのが功を奏したのか、相手の時間を15分に留め、再びペースを握る。選手交替も納得のいくものだった。機能していた大島を残しつつ疲れの見えた狩野を下げて待ちに待った山瀬。そして吉田に替えて久保。勢いを取り戻す前線。再びゲームを支配する。 前線のターゲットが増えてマルケスの精度が活きてきた。ブラジル人トリオの連携も良い。大島のゴール。まだいける。試合前に危惧していた閉塞間など微塵も無かった。追いつくのは時間の問題だと思った。 だが。 前掛りになり過ぎたのか、カウンターに沈む。これでほぼ勝敗は決した。 しかしチームは誰一人諦めてなどいない。河合を下げてマイク。これまでならば大島を下げていた所だ。前線に聳え立つターゲット3枚をフルに使っての猛攻。こんなの相手にしたくない、とさえ思える迫力。積極的にシュートを放ち続ける。ポストやバーに嫌われるシーンもあった。 ただひたすら前へ。 届かなかった。あとほんの少しの運があれば、とさえ思えた。選手は最後の精度を欠いたという反省が必要なのだろうがあれだけ攻めての敗戦は仕方が無い。 スコアだけ見れば惨敗とも取れるかもしれない。だがチームは常に前を向いて闘っていた。こんなゲームが見たかったのだ。敗れたとはいえ、爽快感さえ残るゲームだった。これで勝ち点が付いてきていれば言う事がなかったのだが、連戦の中でこれだけのゲームを見せてくれたのだから満足だ。 課題はある。攻撃に比重が傾いた分、どうしても守備が薄くなる。特にサイドを割られてファーに振られた時の対応。はっきりしている分修正もし易いだろう。 このやり方を続けてほしい。 暫くはある程度の失点は覚悟しなければならないかもしれない。だがこの日の戦いは守備の安定以上に得られるものが大きかったと思う。願わくば、このゲームが契機とならん事を。 今日のポイント ●やれば出来る。 今日の査定
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