malicia witness 2階の目線2006
J1リーグ 06-07シーズン

7月30日 アルビレックス新潟  日産スタジアム

半信半疑。磐田でのゲームは内容が良かった、と聞いている。だが、スコアだけを見れば完璧な負け。だから、このホームゲームを「信じる」と言ったサポーターも、きっと突き詰めて質問をすれば、何を「信じる」のか、それはわからなくなったに違いない。

なぜ、スタジアムへ行くのか、それの理由は自分でもわからない。でも、毎週のようにホームスタジアムに通い、アウエーも出来る限り行く。中国やベトナムやインドネシアにまで行く人がいれば、代表を追ってドイツへ行く人もいる。その理由を明確に答えられる人は、まずいない。

半信半疑の中で、試合前に手拍子でテンションをあげていく。選手入場の直前に上映される映像・音楽に合わせて、曲が終わるまで、まるまる手拍子をする人が、いつになく多い。

「信じられる?信じられない?でも、今日こそは。」
みんな、きっと、そんな心境だ。

正解の糸をたぐり寄せるのは、当たり前の行為だけだ。

坂田にこずるいテクニックは不要だ。後ろから来たボールをワンタッチで処理して振り向き、ゴールに向かって突貫ドリブル。スルーパスが出てくる前にディフェンスラインの裏に走り出す。序盤に見せた2つの、フォワードとして当たり前のプレーをするだけ。

半信半疑は坂田のファースとシュートで確信に変わる。なんとなく、ゴールに向かう意欲が稀薄なままに90分を終える、そんな去年と今年のいつものトリコロールとは違う、本来の強いトリコロールのサッカーが戻ってくることを。

トップ下にはテクニックがあり変化が創れる山瀬がいる。消えるテクニックで、必要な時だけ必要な場所に顔を出す。ボールを得れば、速い攻めを選ぶ時もあれば、ボールキープで時間を稼ぐ時もある。

両サイドはドリブル。ボランチはマグロンと上野が、バランスよくサイドや前線にまで顔を出す。ディフェンスラインの前に構えるだけではなく、ただ両サイドに捌くだけでもない。2人で舵を取る。

当たり前のこと、ただその通りなのだ。トリコロールは今まで、「ステップアップの為」や「ベストメンバーではない」を言い訳に、当たり前のことを蔑ろにし過ぎていたのだ。次々にセオリー通りの攻撃が行なわれる。当たり前の攻撃だ。だからといって、「当たり前」を物足りなく思う者などいないのだ。ただ歓声を上げるだけだ。

何度も放つシュート。新潟に攻め入る隙を与えない。

枠に飛ばすも跳ね返される攻撃。見事に崩し、奇麗にシュートを放つ。奇麗に創るのではなく、シュートを枠に撃つが故に美しく見える攻撃。何度も、何度もゴールマウスを強襲する。

「惜しい!」
「よし!」
「マジかよ!!」
腰を浮かせ絶叫する。

前半も、このまま終わろうかという時間帯に、ドゥトラの右脚が火を半分噴く。元トリコロールで上野の分身だった寺川によってコースが変わったボールは小さくネットを揺らす。
「ダメージ十分だ。」
「これは効いてるぞ。」
「新潟、ガックリくるだろ。」
そのうちカウンターで得点すれば良い、という新潟の展望を粉砕した。1−0のリードで迎え、久しぶりに笑顔のハーフタイムだ。

前半のシュートは11本。4点獲ってもおかしくない展開。

後半最初のシュートは新潟。その直後、ハーフウェーライン上でボールを奪うと松田が突進。力とタイミングで次々に5人を交わし、目の前にはゴールキーパーだけ。
「おっ!!」
「うぁ!!」
「撃て!」
「撃て!!」
「あー!!!」
なぜか、最後はシュートではなくパス。ゴールの予感に飛び跳ねていたスタンドは、着地。
「なんで、最後はパスなんだよ。」
「しかも左のアウトサイド。」
「一番難しい方法で・・・。」
「きっと、最後までマラドーナだったんじゃないか。」
いや、きっと、松田は自らのゴールよりも、チームメイトのゴールを希望したのだと思う。ワールドカップ後の松田は、有り余るほど、チームメイトへの愛が行き届いたプレーをしている。

その直後に、高い位置で上野、坂田、つないでマグロンが強烈なミドルシュート。跳ね返りをマルケスが折り返すと、坂田がスルーして無人のゴールに山瀬が流し込む。2点目。

誰もいないゴールの前に山瀬が立ったとき、スタンドは総立ちになった。

待っていた追加点。待ちに待っていた、流れの中での山瀬のゴール。しかも、ホームでの出場は久々だ。トリコロールの10番はゴール裏の看板前まで進み、「どうだ!」と見栄を切る。

ノスタルジックなムードを好むかのように、ユースではテクニックを活かし気迫に溢れたゲームが展開されている。活躍する選手の名字は「木村」「水沼」だという。

失いかけたトップチームのアイデンティティを再び蘇らせるには、何かに頼るのではなく、自らが創り出すトリコロールのスタイルが絶対不可欠だ。それは高齢の外国人選手でも、監督の大それた夢物語でもなく、選手達とスタンドが一つになって創り上げる。私たちの希望がカタチになって、トリコロールらしいサッカーは継続されるのだ。

ハユマ、上野、山瀬、上野。開幕当時の左サイドのようなコンビネーションを右サイドでやってのける。足りなかったピースが揃った攻撃陣はバラエティー豊かなコンビネーションで終止新潟を圧倒する(逆に言えば、ピースが揃わなければサッカーにならない闘いを続けていたことになる、それがこれからの課題だ)。喜びに沸くスタンド。躍動する選手達。このすばらしいサッカーを、これからのトリコロールのスタイルとして継続する方法を監督は考えてほしい。クラブのトップは考えてほしい。小手先のサービスや、大それた夢物語よりも、私たちは単純に、それを喜び、それを支持し、その素晴らしさを語るだろう。

今日の日産スタジアムには愛が溢れている。山瀬交代のときには、大きな拍手。バックスタンド2階はスタンディングオベーション。ゴールの時も総立ちだったが、それ以上に力の入った拍手と声が、ピッチを去る山瀬に贈られる。どんなコールよりも、自然に沸き起こる賞賛は大きい。そして長いロスタイムにはトリコロール・パラソルが回る。久しぶりのこの光景が、いつまでも、いつまでも続いてほしい、そんな空気がワールドカップ決勝スタジアムを包み込む。

放ったシュートは22本。圧倒するゲームは開幕直後以来。

「これなら、坂田は代表に選ばれてもおかしくないよね。」
「オシムは羽生みたいなトップ下を使うんだから、山瀬にだってチャンスはあるよ。」
弾む会話の、その先には、期待通りオシムの代表招集の声が待っていた。


今日のポイント

● 松下の松下が新潟に移籍していた。
● やっぱり決まらなかった清水の1対1。
● まったくアドバンテージを採らず、
 両チームともフラストレーションがたまる判定だった主審。


今日の査定
石井和裕

キモチが良い試合だった。メンバーが揃ったから、という理由、意外の理由を見つけたい。

これぞストライカーの坂田
800
必要なところに現れる山瀬
500
右脚ゴール
300
ゴール前に山瀬が見えた瞬間
600
なぜ左足のアウトサイドなんだ?
500
上野がいないと中盤が面白くない
600
右サイドのコンビネーションで上野が突破
200
程よいボールさばきのマグロン
100
抜きのサッカーを考えるのが難しいベテラン・マルケス
300
3900

今野隆之

下手な色気を出さず、よかったときに立ち返ればよかったのだ。待望の背番号10山瀬功治の復帰は、どうして今まで悩んでいたのか不思議なくらいにチームを変えた。決定機を何度も逸したことには目をつむろう。これで復活だと思うほどおめでたくはないが、今だけは勝利を喜んでいたい。次代の司令塔狩野は使い続けること。現状では、山瀬が抜けたときまた元通りになるのが目に見えている。

復帰戦としては十分な出来、今後に期待の坂田
700
頼れる背番号10、山瀬功治輝く
1000
例によって押していて得点できない展開
-200
打てば何かが起きるんだよを実証、切れていたドゥトラ
1000
それだけに、遅延行為で無駄なイエローは痛い
-300
まだまだ別格、上野円熟のボールさばき
500
名物1 松田の突破
500
名物2 清水一対一で決められず
300
相変わらず微妙なマルケス
100
3600

なかむ〜

相手の消極性にも助けられたが、形もできていたし、崩して点を取ったのは光明。やっぱり勝利はいい。

基本給
1000
ドゥトラの右
500
復活の山瀬功
800
あとは得点勘、坂田
300
松田のドリブル6人抜き
300
当たってた新潟GK
200
3100

stan

前線の決定力不足は相変わらずだが、坂田と山瀬の活躍が前への意識を高め、結果に繋がった。だが、これでチームも復活とするのは早計だろう。相手が低調だったのも確かだ。ドゥトラの居ない川崎戦で真価が問われる。

プレミアムモルツ
550
躍動する坂田
500
そうだ。シュートは撃たなきゃ入らない
500
松田何人抜いたんだ?
500
河合がDFだと安心
300
上野が居ると落ち着く
300
山瀬ありがとう
1000
清水お約束
-300
ドゥトラ次節出場停止
-300
3ヶ月振り勝ち点3
1000
扇谷主審
-50
4000







confidential 秘密 message 伝言 photo&movies reference 参考 witness 目撃
scandal 醜聞 legend 伝説 classics 古典 index LINK