malicia witness 2階の目線2006
J1リーグ 06-07シーズン

8月13日 川崎フロンターレ  等々力陸上競技場

等々力での豪雨には、忘れられない思い出がある。あれは、まだ二階席も屋根も工事中だった、小さなスタジアムだったときの出来事。頭上の避雷針に落雷し、逃げる場所なく、ただ大粒の雨の下で試合再開を待った1994年。その対戦相手はヴェルディ川崎。Jリーグ屈指の強豪。いつの間にか、川崎の強豪はフロンターレになっていた。

高い位置でのプレッシャー。横パスをさらいにくる出足。

サイドでディフェンダーを背負えば、すぐにもう1人がはさみ撃ちにしてくる。その守備力をかわすことが出来ない。どこかで、何度も見たような劣勢の展開。
「これは、ファールしない鹿島だ!」
「しかも、シュートする柳沢がいる鹿島みたいだぞ。」
最も苦手とし、何度も苦汁をなめさせられてきたサッカーが、そこにあった。
「これは、予想以上に強いな。」
いつもであれば、トリコロールは劣勢であっても、ここの選手のポテンシャルの高さだけはスタンドに感じさせるものだ。しかし、今、目の前に展開されているサッカーは劣勢そのもの。とにかく1−1のままで前半を終えることだけを望む。

山瀬にはマンマークに近いディフェンスが付く。

「後半から手を打たなきゃダメだろ。」
ハーフタイムを迎え、熱く後半の展望を語る。超満員で熱気に包まれた二階席は、油断ならないムード(知らないうちに席を奪われる危険なムードもあったからだが)。本来ならお約束の「ヒデキー!」の間の手も盛り上がらない。一瞬盛り上がったのは、スタジアムナビゲーターが
「お待たせしました、本日のメインイベント!」
と西城秀樹の登場を大げさに煽ったときくらいだ。
「メインイベントかよ!」
「オシムならば、こう言うだろう。『日本の記者の皆さんに質問したい。日本では私たちのフットボールよりもヒデキの歌が主役なのですか?』ってね。」

後半が始まる。選手は代わらない。坂田には得意のスペースへのボールが出ない。待って受けようとすれば、その直前にボールを奪われる。山瀬は中央で沈黙している。ボールを預けることが出来ない。本来のボールの預け先のドゥトラは出場停止で不在。左は捨てるしかない。マルケスは、最も良くない状況でパスミスから失点。

わかり切ったことなのに、わかり切った手が打てない。

山瀬にはぴったりとマークが来ている。だから、フロンターレの中央の守備は人数も足りているし、それ以外の選手も素早い出足でパスをカットにくる。本来であれば、山瀬がサイドに流れてフロンターレの選手を引き連れてスペースを広げ、トップの選手が中央で楔を受ければ良い。クレバーな山瀬がそれをやらない。
「そりゃそうだよ。坂田は良くないし、坂田はそういうプレーは得意じゃないし。それに、山瀬がサイドに行ったら、中央には誰もいなくなっちゃうじゃんか。」
マルケスに「中央でじっとしていろ」と指示を出すのは難しい。それはマルケス自体の否定に繋がるからだ。であれば、やることは一つ、のはずだ。
「このままやってたって、点を獲るのはそうとう難しいぜ。」

朝9:30のキックオフ。西が丘サッカー場のプライマリーの全国三連覇を応援し(プライマリーの試合は、いつも最初から最後まで歌いっぱなしだ)、本日は2試合目。喉に疲れが出てくる。幸運なことに、代表の我那覇の動きが落ちる。そして、フロンターレの外国人選手達の動きは、いつも本来のものではない。

やっと大島が登場。下がるのはマルケスだ。

「さぁ、ここからだ!」
「ここからやり直しだぞ!」
「勝ちに行け!!」
素人が見てもわかる効果的な采配でトリコロールは攻勢に転じる。松田が左に開いて絶妙のクロス。坂田の脇を通って、ゴール前に走り込んでくる大島にピタリと通る。
「やった!!!」
「よし!」
と思うも一瞬。副審はオフサイドフラッグを揚げている。
「かなり早いタイミングで揚げていたから、たぶん大島のオフサイドじゃないな。」
「惜しかったぁ。」
と言っていると、目の前を松田が横切っていく。
「やめろ!松田!!」
「オフサイドだって!!!!」
「止めてくれ!」
松田は、すでにカードをもらっている。あっという間に副審の目の前にまで到達すると、松田は何事かを言い、ユニフォームをまくり上げて顔に被った。言った言葉はわからない。言っていないのかもしれない。ただ、あの行為は、十分に審判への侮辱に値するのではないか。
「あー。」
「ダメだ・・・。」
絶望。やっと攻勢に転じ、ゴールまで、あとわずかに迫ったのに。頭を抱えてうつむく。主審の松崎さんは右手を上げている。
「あぁ退場だぁ・・・。」
「あれ、カード持っていないぞ。」
「おいおいおい、ただの間接フリーキックの手か!!」
「助かった。」
「よし、オフサイドだったけどついてるぞ。絶対に勝ちに行け!!」
「攻めるぞ!!」

押している。だが、ゴールは奪えない。逆に守備の距離が甘く簡単にクロスを入れさせると、決定的なシュートを浴びる。ポストに助けられる。
「行け!」
「撃て!」
「獲りに行け!!」
コール、歌、声援が交錯し、2万人を超えるスタンドは絶叫する。

その結論は、誰もが自分なりの解釈で納得するしかない引き分け。数名のブーイングは混じったが、それも理解できないことではない。誰もが、すっきりと納得するのではなく、解釈の中での納得だ。
「勝てる試合だったと言えば勝てる試合だった。だが、よく引き分けたと言えば、よく引き分けた。」
「よくやった試合だったことは間違えないよ。」
「最後まで白熱したよ。」

山瀬の復帰でトリコロールのサッカーは回復基調にある。だが残念ながら今日の采配は疑問だ。その采配と心中するのは避けてほしい。
「本番は鹿島のアウエーだよ。」
そう、その為の反省材料にして、現実を直視した采配さえあれば、きっと、これからの試合の結果は違ってくる。
「今日は1勝1分け。1優勝。西が丘に行った俺は勝ち組ね。」
「それは勝ち組だ。」
二冠目は国立競技場で。その為の一歩と、この試合を考えたい。


今日のポイント

● いつもどおりだった平野。
● 小宮山の最初のドリブル突破には割れんばかりの拍手。
● これまたいつもどおりだった中沢。
● 両チームともGKの攻守が光った。
● メインスタンドに、もの凄い立ち見の人。



今日の査定
石井和裕

選手は、よく頑張ったと思う。良い試合だったと思う。フロントスタッフも社長も、空回りはあるものの、よくやってくれていると思う。誰も監督とは心中するべきではない。今から、ナビスコと天皇杯と来年に向けて、前進してほしい。

監督不在でも見事なフロンターレの守備の出足
300
コーチ高畠!一世一代の選手紹介おおとり
200
フロンターレ10周年!なかったことになっている富士通時代
100
大島が試合を引き締め直した
200
オフサイドだったが松田のクロス
300
小宮山の突破
100
外人封じは松田
800
ハユマの縦への動き
200
ナイスクロスだゴールはハユマ
300
マルケスのミドルシュート
100
上野がいるから白熱の中盤
300
2900

白火

首位相手に臆することない戦いぶり。希望の見出せないあの頃の姿は消えていた。できれば、こういう試合をもっと早く見せて欲しかった。

ハユマのゴール間に合わなかった
-300
いつまでも機能しない平野 
-500
痛いミスからの失点
-200
カード基準が不安定な主審
-100
惜しかったオフサイド
-100
副審が切れちゃイケナイ
-100
互いにしまった好ゲーム
1500
90分間走りきった山瀬
500
安定していた達也
300
鬼神松田
300
2500

なかむ〜

主催者はヒデキがメインだったらしいが、試合もメインイベントに相応しい試合内容だったと思う。勝ち点1は松田のおかげ。

基本給
300
松田の守備
1000
前半の駄目さ加減
-300
後半の建て直し
200
メインイベントだったらしいヒデキ
300
1500

stan

故障明けや代表帰りの選手が多いせいか、相手の力量の差か、前節での躍動感が失われていた。相手が首位とはいえ、勝ち点1で喜ぶようではとても頂点は目指せない。それもそうか。17試合を終えて8勝分の勝ち点にすら届いていない。

雨上がった
100
席割は改善すべき
-100
シュータリング
300
左の方の4人
-400
下らないミスからの失点
-300
秀樹にノリノリのマリノス君
200
オフサイドだったけど美しかった
300
守備陣は頑張った
500
相手11番のクオリティの低さ
200
松田と上野を一度に失ったのは痛い
-200
松村主審
100
700







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